『毒蛾転生〜仲間と共に異世界巡り〜』

ユーキ

文字の大きさ
49 / 51
第3章『冒険者の街アーバン』

代償

しおりを挟む
『起きろ!アーシャ!!』

 俺はすぐ[気付け薬]を使ってみたが、全く目を覚ます気配はない。他に何か使える薬はないのか?


――――――――――――――――――――――――

【生成可能な薬剤を表示します】

【下級】

[回復薬][毒薬][麻痺薬][睡眠薬][毒消し][麻痺消し][気付け薬]

【中級】

[SP回復薬][MP回復薬][石化薬][混乱薬][溶解液][鎮静剤]

【上級】

[継続回復薬][媚薬][精力剤]

――――――――――――――――――――――――


 最悪だ、薬の種類は増えているけど、[継続回復薬]ぐらいしか使えそうな薬はない。

『くそっ、何でだよ!』

 何とかして起こそうとしてもアーシャのHPはジワジワと減っていく。今は何とか[回復薬]を使って現状維持しているが、心なしか減少の速度が早まっている。

『頼むから起きてくれよ!アーシャがいないと俺はダメなんだ、生きられないんだよ!!頼む、頼むから目を覚ましてくれ……』

 このままではジリ貧だ、何とかしないとアーシャが死んでしまう。アーシャは俺の光だ、誰もいない闇の底から連れ出してくれた。アーシャがいないと俺はまた、この死と隣り合わせの世界でひとりぼっちだ。たった1人ではいつか言葉も人間だった事も忘れ、獣に堕ちてしまうだろう。

『俺を置いてかないでくれ!』

 俺はアーシャの隣にいたい、アーシャの笑っている顔を見たい、アーシャが作ってくれたご飯を食べたい、もう1人に戻りたくないんだ!!

 何でアーシャなんだよ、他にも……いやそれ以上は考えたらダメだ。アーシャの運が悪かった、ただそれだけ。2人は何も悪くない、アーシャじゃなかったらなんて少しでも考えてしまった俺は屑野郎だろう。



 ……もう終わりだ。あと数回[回復薬]を使ってしまえば、俺のSPはなくなる。そして俺は[ハングリーラーヴァ]のせいで暴走し、辺りの物を食い散らかすだろう。そうなれば目の前で意識を失っているアーシャはどうなる?答えは簡単だ、俺に食べられる、俺が食べてしまう。アーシャを食べてしまうぐらいなら、死んだ方がマシだ。

 何かSPを大きく回復できる物はないか?木や土では消費する方が早いからダメだ、例えば肉みたいな栄養のある物でないと。俺の視界の端でターニャとソフィー、そして2人の従魔がアーシャを襲ってきた蜘蛛と戦っているのが見えた。両者ともかなり傷付き、消耗しているようだった。

 ……丁度良い。アレを喰らえば、俺はまだアーシャと一緒にいられるんだ。躊躇する必要、そして理由なんてない。アーシャの為なら、俺はなんだってするって決めたのだから。アーシャに[継続回復薬]を使ってからこの場を離れ、飛び掛かった。

 ブチブチッ!グチャッ

「ギチチチチ!?」

「えっ!?ネラ、何をしているんですか!そんな事今すぐ辞めて下さい!!」

 ターニャの言う事は今は無視だ。早く食べてアーシャの回復に戻らないと。

「うっ……オエッ」

 吐きたいのは俺だって同じだけど、そんなもったいない事はできない。コイツの味だけは美味しい事が、俺にとって救いであると同時に嫌悪感を抱かせる。



 体の7割を食べたところで、あの蜘蛛は死んで魔石になってしまった。これでSPは全体の半分ぐらいは回復できた。……もしこんな状況じゃなければもっと苦しめてやったのに。

 アーシャのHPは既に回復よりも減少の速度が上回っていた。もう、ダメなのか?…… [薬剤生成]のレベルが上がっている。もしかしたら何か使える薬があるかもしれない、そんな一縷の望みは――。


――――――――――――――――――――――――

【生成可能な薬剤を表示します】

【上級】

[幻惑薬][覚醒薬]

【特殊】

[死の微睡][中和剤:死の微睡]

――――――――――――――――――――――――


 あった!これでアーシャは助かる、アーシャと一緒にいられるんだ!![中和剤:死の微睡]を使うとHPの減少が止まった。まだ眠っているが、ただ眠っているだけだろう。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~

さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』 誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。 辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。 だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。 学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!

さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。 冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。 底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。 そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。  部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。 ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。 『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

処理中です...