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第3章『冒険者の街アーバン』
代償
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『起きろ!アーシャ!!』
俺はすぐ[気付け薬]を使ってみたが、全く目を覚ます気配はない。他に何か使える薬はないのか?
――――――――――――――――――――――――
【生成可能な薬剤を表示します】
【下級】
[回復薬][毒薬][麻痺薬][睡眠薬][毒消し][麻痺消し][気付け薬]
【中級】
[SP回復薬][MP回復薬][石化薬][混乱薬][溶解液][鎮静剤]
【上級】
[継続回復薬][媚薬][精力剤]
――――――――――――――――――――――――
最悪だ、薬の種類は増えているけど、[継続回復薬]ぐらいしか使えそうな薬はない。
『くそっ、何でだよ!』
何とかして起こそうとしてもアーシャのHPはジワジワと減っていく。今は何とか[回復薬]を使って現状維持しているが、心なしか減少の速度が早まっている。
『頼むから起きてくれよ!アーシャがいないと俺はダメなんだ、生きられないんだよ!!頼む、頼むから目を覚ましてくれ……』
このままではジリ貧だ、何とかしないとアーシャが死んでしまう。アーシャは俺の光だ、誰もいない闇の底から連れ出してくれた。アーシャがいないと俺はまた、この死と隣り合わせの世界でひとりぼっちだ。たった1人ではいつか言葉も人間だった事も忘れ、獣に堕ちてしまうだろう。
『俺を置いてかないでくれ!』
俺はアーシャの隣にいたい、アーシャの笑っている顔を見たい、アーシャが作ってくれたご飯を食べたい、もう1人に戻りたくないんだ!!
何でアーシャなんだよ、他にも……いやそれ以上は考えたらダメだ。アーシャの運が悪かった、ただそれだけ。2人は何も悪くない、アーシャじゃなかったらなんて少しでも考えてしまった俺は屑野郎だろう。
……もう終わりだ。あと数回[回復薬]を使ってしまえば、俺のSPはなくなる。そして俺は[ハングリーラーヴァ]のせいで暴走し、辺りの物を食い散らかすだろう。そうなれば目の前で意識を失っているアーシャはどうなる?答えは簡単だ、俺に食べられる、俺が食べてしまう。アーシャを食べてしまうぐらいなら、死んだ方がマシだ。
何かSPを大きく回復できる物はないか?木や土では消費する方が早いからダメだ、例えば肉みたいな栄養のある物でないと。俺の視界の端でターニャとソフィー、そして2人の従魔がアーシャを襲ってきた蜘蛛と戦っているのが見えた。両者ともかなり傷付き、消耗しているようだった。
……丁度良い。アレを喰らえば、俺はまだアーシャと一緒にいられるんだ。躊躇する必要、そして理由なんてない。アーシャの為なら、俺はなんだってするって決めたのだから。アーシャに[継続回復薬]を使ってからこの場を離れ、飛び掛かった。
ブチブチッ!グチャッ
「ギチチチチ!?」
「えっ!?ネラ、何をしているんですか!そんな事今すぐ辞めて下さい!!」
ターニャの言う事は今は無視だ。早く食べてアーシャの回復に戻らないと。
「うっ……オエッ」
吐きたいのは俺だって同じだけど、そんなもったいない事はできない。コイツの味だけは美味しい事が、俺にとって救いであると同時に嫌悪感を抱かせる。
体の7割を食べたところで、あの蜘蛛は死んで魔石になってしまった。これでSPは全体の半分ぐらいは回復できた。……もしこんな状況じゃなければもっと苦しめてやったのに。
アーシャのHPは既に回復よりも減少の速度が上回っていた。もう、ダメなのか?…… [薬剤生成]のレベルが上がっている。もしかしたら何か使える薬があるかもしれない、そんな一縷の望みは――。
――――――――――――――――――――――――
【生成可能な薬剤を表示します】
【上級】
[幻惑薬][覚醒薬]
【特殊】
[死の微睡][中和剤:死の微睡]
――――――――――――――――――――――――
あった!これでアーシャは助かる、アーシャと一緒にいられるんだ!![中和剤:死の微睡]を使うとHPの減少が止まった。まだ眠っているが、ただ眠っているだけだろう。
俺はすぐ[気付け薬]を使ってみたが、全く目を覚ます気配はない。他に何か使える薬はないのか?
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【下級】
[回復薬][毒薬][麻痺薬][睡眠薬][毒消し][麻痺消し][気付け薬]
【中級】
[SP回復薬][MP回復薬][石化薬][混乱薬][溶解液][鎮静剤]
【上級】
[継続回復薬][媚薬][精力剤]
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最悪だ、薬の種類は増えているけど、[継続回復薬]ぐらいしか使えそうな薬はない。
『くそっ、何でだよ!』
何とかして起こそうとしてもアーシャのHPはジワジワと減っていく。今は何とか[回復薬]を使って現状維持しているが、心なしか減少の速度が早まっている。
『頼むから起きてくれよ!アーシャがいないと俺はダメなんだ、生きられないんだよ!!頼む、頼むから目を覚ましてくれ……』
このままではジリ貧だ、何とかしないとアーシャが死んでしまう。アーシャは俺の光だ、誰もいない闇の底から連れ出してくれた。アーシャがいないと俺はまた、この死と隣り合わせの世界でひとりぼっちだ。たった1人ではいつか言葉も人間だった事も忘れ、獣に堕ちてしまうだろう。
『俺を置いてかないでくれ!』
俺はアーシャの隣にいたい、アーシャの笑っている顔を見たい、アーシャが作ってくれたご飯を食べたい、もう1人に戻りたくないんだ!!
何でアーシャなんだよ、他にも……いやそれ以上は考えたらダメだ。アーシャの運が悪かった、ただそれだけ。2人は何も悪くない、アーシャじゃなかったらなんて少しでも考えてしまった俺は屑野郎だろう。
……もう終わりだ。あと数回[回復薬]を使ってしまえば、俺のSPはなくなる。そして俺は[ハングリーラーヴァ]のせいで暴走し、辺りの物を食い散らかすだろう。そうなれば目の前で意識を失っているアーシャはどうなる?答えは簡単だ、俺に食べられる、俺が食べてしまう。アーシャを食べてしまうぐらいなら、死んだ方がマシだ。
何かSPを大きく回復できる物はないか?木や土では消費する方が早いからダメだ、例えば肉みたいな栄養のある物でないと。俺の視界の端でターニャとソフィー、そして2人の従魔がアーシャを襲ってきた蜘蛛と戦っているのが見えた。両者ともかなり傷付き、消耗しているようだった。
……丁度良い。アレを喰らえば、俺はまだアーシャと一緒にいられるんだ。躊躇する必要、そして理由なんてない。アーシャの為なら、俺はなんだってするって決めたのだから。アーシャに[継続回復薬]を使ってからこの場を離れ、飛び掛かった。
ブチブチッ!グチャッ
「ギチチチチ!?」
「えっ!?ネラ、何をしているんですか!そんな事今すぐ辞めて下さい!!」
ターニャの言う事は今は無視だ。早く食べてアーシャの回復に戻らないと。
「うっ……オエッ」
吐きたいのは俺だって同じだけど、そんなもったいない事はできない。コイツの味だけは美味しい事が、俺にとって救いであると同時に嫌悪感を抱かせる。
体の7割を食べたところで、あの蜘蛛は死んで魔石になってしまった。これでSPは全体の半分ぐらいは回復できた。……もしこんな状況じゃなければもっと苦しめてやったのに。
アーシャのHPは既に回復よりも減少の速度が上回っていた。もう、ダメなのか?…… [薬剤生成]のレベルが上がっている。もしかしたら何か使える薬があるかもしれない、そんな一縷の望みは――。
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【生成可能な薬剤を表示します】
【上級】
[幻惑薬][覚醒薬]
【特殊】
[死の微睡][中和剤:死の微睡]
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あった!これでアーシャは助かる、アーシャと一緒にいられるんだ!![中和剤:死の微睡]を使うとHPの減少が止まった。まだ眠っているが、ただ眠っているだけだろう。
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