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三兄妹と悪魔・前編
夜の夢こそ・1
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「だぁーっ、もう! 今思い出しても腹立つ!」
「人工血液パックを暴飲暴食してる……」
紅羽の前に転がる空のパックを見て、榛斗が呆れたように呟いた。サーペンティンに所属する吸血鬼に遅れをとったあの日からすでに一週間。紅羽の怒りは中々収まらない、というより、鎮火したと思ったら再燃するを繰り返している。
「あー! マズイ!」
「それじゃあ一昔前の青汁のCMだよ、紅羽」
「だって『弱い』って言われたんだよ! この私が!」
「どの私なんだろう……」
相変わらず榛斗は逆に神経を逆撫でしそうな返しをしている。碧都は二人のやりとりを眺めながら紅羽が飲み散らかした人工血液パックを片付ける。
「それにしても、吸血鬼のやけ飲みってこういう感じなんだな」
「いや……そもそもやけ飲みする吸血鬼を初めて見たよ」
妙なところに感心する榛斗に碧都はそっと現実を教えた。紅羽はいつもは人工血液パックを飲みたがらないので飲んでくれること自体はありがたい。
「それにしても、紅羽でも歯が立たない奴にも、紅羽よりも強い若い吸血鬼にも驚いたな」
吸血鬼は様々な弱点が知られてしまっているだけで、怪異の中では強い方だ。それなのにその紅羽が手も足も出ない怪異が現れ、それをあっさり倒す吸血鬼が現れたのは驚きだった。
「吸血鬼の強さって基本は魔力量で決まるよね?」
「そうだね。しかも人工血液パックは魔力量は少ないから、ほとんど才能で決まる。もちろん戦術的だったり戦略的な強さだったりで紅羽を上回る子がいてもおかしくはないけど。でも純粋な魔力量で負けてたみたいだからなぁ」
「生まれつきものすごく魔力がある子だったのか……」
しかしそれだけでは説明できない。榛斗は腕組みしながら考えていた。これまで仕事上で吸血鬼には何人も会ってきたが、その中でも紅羽は魔力量が多かったのだ。
「魔力を補給する薬がないわけではないから、それを使ってるのかなぁ」
「え、そんなのあるの?」
「一応ね。魔力がないと死ぬタイプの怪異が何らかの理由で魔力を一気に失ったときに使ったりするんだけど……」
しかしそれを使っているとは思いたくない。榛斗はこのままでは自分も使うと言いかねない紅羽を諭すように言った。
「副作用が強すぎるんだよ。もうかえって具合悪くなるくらい」
だから余程のことがない限り使われないものだ。仮にそれを使っているとすれば今すぐやめさせた方がいい。
「サーペンティンの子だから、副作用の少ない魔力量増強の方法が独自にある可能性はあるけどねぇ」
「サーペンティンって大手なんでしょ?」
「そう。新興だけど最近ものすごく実績上げててね。でも内情がよくわからないとは言われててね。秘密主義なんだよ」
その特徴は白い軍服のような制服。それ以外は構成員がかなり優秀ということを除いてほとんど知られていない。
「強くなる方法、ないかなぁ……」
結局、紅羽が気になるのはそこらしい。
あの悪魔を倒す方法もまだ見つかっていない。紅羽は素直に「強くなれば倒せる」と考えているらしいが、これ以上強くなるというのも難しいことなのだ。魔法の巧拙は年の功のところもあるが、純粋な魔力のぶつかり合いになると、生まれ持った魔力量がものを言う世界になる。
「魔力量が多い血を吸えば一時的にはすごく魔力が増えるんだよね。だから悪魔の血を吸って、そのまま倒すってのもちょっと考えたんだよ」
紅羽が言う。確かにそれは有効かも知れないが、まず悪魔の血を吸うのが難しい。それができるくらいならその前に倒せている可能性がある。
「悪魔の血って美味しいらしいしさ」
「それ都市伝説でしょ、紅羽」
「まあね。悪魔の血なんて吸えないからなぁ」
榛斗は紅羽が入れてくれたコーヒーを飲みながら思案する。まず悪魔の血が吸えない時点で無理な作戦ではあるが、一考の余地はあるのだ。しかし突然届いたハルコからのメールで思考を中断せざるを得なくなった。
「夢魔の出現警戒……か」
ハルコからのメールには最近、夢魔に精を奪われた被害報告が増えていると書いてあった。夢魔は人に良い夢を見せて、その精を奪っていくことで知られている魔物だ。精と言っても性的なものだけではなく、生命力と言った方がわかりやすいかもしれない。夢魔に襲われると、いい夢を見ながらも衰弱していくのだ。
ハルコから同じメールが届いたらしい碧都が言う。
「今は夢魔も吸血鬼と同じで代替食が普及してるはずなんだけどなぁ。まあ少しの精と引き換えにいい夢を見せるビジネスもあるらしいけど」
「行儀が悪い夢魔が出てきたってことかな。でも夢魔って捕まえるの難しいんだよなぁ」
榛斗の言葉に碧都が頷く。しかし紅羽は首を傾げた。
「捕まえるの難しいの?」
「だって寝てる人のところにしか来ないからね」
寝ていれば当然捕まえられないし、寝ている人の近くに起きている人がいれば警戒されて現れない。罠を仕掛けて寝るという方法もあるが、それも当然見抜かれる。夢魔の捕獲は優秀な民警でもかなり苦労するのだ。
「まあ大手も動いているみたいだから、俺たちは警戒しておくくらいかな。紅羽もね」
「私、あんまり夢見ないからなぁ」
「夢は見てないんじゃなくて覚えていないのがほとんどだよ」
「そうなの?」
「だってそもそも脳の情報を整理するために見るって言われてるからね」
榛斗はそれから夢のメカニズムの話を始めたが、話が長くなるのを察知した紅羽にあえなく流されてしまった。相変わらず紅羽は難しい話が嫌いだ。でも知識は武器になることもあるのだと榛斗はくどくどと説明を続けた。
「人工血液パックを暴飲暴食してる……」
紅羽の前に転がる空のパックを見て、榛斗が呆れたように呟いた。サーペンティンに所属する吸血鬼に遅れをとったあの日からすでに一週間。紅羽の怒りは中々収まらない、というより、鎮火したと思ったら再燃するを繰り返している。
「あー! マズイ!」
「それじゃあ一昔前の青汁のCMだよ、紅羽」
「だって『弱い』って言われたんだよ! この私が!」
「どの私なんだろう……」
相変わらず榛斗は逆に神経を逆撫でしそうな返しをしている。碧都は二人のやりとりを眺めながら紅羽が飲み散らかした人工血液パックを片付ける。
「それにしても、吸血鬼のやけ飲みってこういう感じなんだな」
「いや……そもそもやけ飲みする吸血鬼を初めて見たよ」
妙なところに感心する榛斗に碧都はそっと現実を教えた。紅羽はいつもは人工血液パックを飲みたがらないので飲んでくれること自体はありがたい。
「それにしても、紅羽でも歯が立たない奴にも、紅羽よりも強い若い吸血鬼にも驚いたな」
吸血鬼は様々な弱点が知られてしまっているだけで、怪異の中では強い方だ。それなのにその紅羽が手も足も出ない怪異が現れ、それをあっさり倒す吸血鬼が現れたのは驚きだった。
「吸血鬼の強さって基本は魔力量で決まるよね?」
「そうだね。しかも人工血液パックは魔力量は少ないから、ほとんど才能で決まる。もちろん戦術的だったり戦略的な強さだったりで紅羽を上回る子がいてもおかしくはないけど。でも純粋な魔力量で負けてたみたいだからなぁ」
「生まれつきものすごく魔力がある子だったのか……」
しかしそれだけでは説明できない。榛斗は腕組みしながら考えていた。これまで仕事上で吸血鬼には何人も会ってきたが、その中でも紅羽は魔力量が多かったのだ。
「魔力を補給する薬がないわけではないから、それを使ってるのかなぁ」
「え、そんなのあるの?」
「一応ね。魔力がないと死ぬタイプの怪異が何らかの理由で魔力を一気に失ったときに使ったりするんだけど……」
しかしそれを使っているとは思いたくない。榛斗はこのままでは自分も使うと言いかねない紅羽を諭すように言った。
「副作用が強すぎるんだよ。もうかえって具合悪くなるくらい」
だから余程のことがない限り使われないものだ。仮にそれを使っているとすれば今すぐやめさせた方がいい。
「サーペンティンの子だから、副作用の少ない魔力量増強の方法が独自にある可能性はあるけどねぇ」
「サーペンティンって大手なんでしょ?」
「そう。新興だけど最近ものすごく実績上げててね。でも内情がよくわからないとは言われててね。秘密主義なんだよ」
その特徴は白い軍服のような制服。それ以外は構成員がかなり優秀ということを除いてほとんど知られていない。
「強くなる方法、ないかなぁ……」
結局、紅羽が気になるのはそこらしい。
あの悪魔を倒す方法もまだ見つかっていない。紅羽は素直に「強くなれば倒せる」と考えているらしいが、これ以上強くなるというのも難しいことなのだ。魔法の巧拙は年の功のところもあるが、純粋な魔力のぶつかり合いになると、生まれ持った魔力量がものを言う世界になる。
「魔力量が多い血を吸えば一時的にはすごく魔力が増えるんだよね。だから悪魔の血を吸って、そのまま倒すってのもちょっと考えたんだよ」
紅羽が言う。確かにそれは有効かも知れないが、まず悪魔の血を吸うのが難しい。それができるくらいならその前に倒せている可能性がある。
「悪魔の血って美味しいらしいしさ」
「それ都市伝説でしょ、紅羽」
「まあね。悪魔の血なんて吸えないからなぁ」
榛斗は紅羽が入れてくれたコーヒーを飲みながら思案する。まず悪魔の血が吸えない時点で無理な作戦ではあるが、一考の余地はあるのだ。しかし突然届いたハルコからのメールで思考を中断せざるを得なくなった。
「夢魔の出現警戒……か」
ハルコからのメールには最近、夢魔に精を奪われた被害報告が増えていると書いてあった。夢魔は人に良い夢を見せて、その精を奪っていくことで知られている魔物だ。精と言っても性的なものだけではなく、生命力と言った方がわかりやすいかもしれない。夢魔に襲われると、いい夢を見ながらも衰弱していくのだ。
ハルコから同じメールが届いたらしい碧都が言う。
「今は夢魔も吸血鬼と同じで代替食が普及してるはずなんだけどなぁ。まあ少しの精と引き換えにいい夢を見せるビジネスもあるらしいけど」
「行儀が悪い夢魔が出てきたってことかな。でも夢魔って捕まえるの難しいんだよなぁ」
榛斗の言葉に碧都が頷く。しかし紅羽は首を傾げた。
「捕まえるの難しいの?」
「だって寝てる人のところにしか来ないからね」
寝ていれば当然捕まえられないし、寝ている人の近くに起きている人がいれば警戒されて現れない。罠を仕掛けて寝るという方法もあるが、それも当然見抜かれる。夢魔の捕獲は優秀な民警でもかなり苦労するのだ。
「まあ大手も動いているみたいだから、俺たちは警戒しておくくらいかな。紅羽もね」
「私、あんまり夢見ないからなぁ」
「夢は見てないんじゃなくて覚えていないのがほとんどだよ」
「そうなの?」
「だってそもそも脳の情報を整理するために見るって言われてるからね」
榛斗はそれから夢のメカニズムの話を始めたが、話が長くなるのを察知した紅羽にあえなく流されてしまった。相変わらず紅羽は難しい話が嫌いだ。でも知識は武器になることもあるのだと榛斗はくどくどと説明を続けた。
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