2 / 15
【1章】峠との出会い①
しおりを挟む「涼太(りょうた)ー!お前、愛車(CBX400F)どうしたの?」
「もう気付かれたか~!」
「隼人(はやと)、俺たちもうすぐ高校卒業だぜ。いつまでもガキの女(乗り物)にまたがってちゃ、大人になれねぇぜ!」
「どうした涼太? 頭でもイカれたのか」
「まぁ隼人、いいから帰り俺ん家寄って行きなよ。驚かせてやっからよ!」
鳴海(なるみ)隼人 (18)と上川(かみかわ)涼太 (18)の二人は中学校からの親友だ。
小学校は、わずかな校区の違いから別の学校となってたが近所の間柄だった。
A中学校を卒業後、別のN市内にあるN工業高校へと共に進学を決めるほどの親友なのだ。
それほどの仲であるのに涼太は、今回の件を隼人には気付かれまいと年末に密にと遂行していたが案の定、年明け早々に気付かれることとなってしまった。
二人は電車に乗り5駅ほどで到着する地元の駅の改札口を抜けると、自転車を漕ぎ涼太の家へと向かった。
N市からわずか5駅ほどで着く市内であるが、N市ほどの高層ビル群は無くなり、緑の景色が広がるのどかな場所だ。
しばらく自転車を漕ぐと二人は涼太の家に着いた。隼人は何かに気付いた。
「涼太!お前まさかB子(CBX400F)売ったんじゃないよな!?」
「まぁ隼人、そう慌てんじゃねぇぜ!」
「今から俺の新しいスケ(女)を紹介してやっからさ!」
涼太は自宅に到着するなりポケットからスマホを取り出すと素早く操作する。するとスマホの操作でシャッターが上がり出した。
上川家は一戸建てだ。平均的な家庭の家柄だが、五年前に家を建て直しているため現代のシャレた造りの家となっている。家の正面には楽々車3台収納可能なシャッター付きの車庫が備わっている。今、完全にシャッターが開放された。
「ジャジャーン♪ これが俺の新しい彼女シルビアちゃんだぜ!」
「平成元年式S13シルビアの、あえてのQsだ。Ksと違ってターボは無くパワーも低いが、キャンキャンと鳴く甲高い声(音)が魅力だぜ!」
「涼太ふざけんなよ!」
「お前、漢(男)は単車一筋って言ってたよな!」
「隼人、それは本当の女を知らないガキ(中坊時代)の頃の話だぜっ!つまり平成の頃の話であって、今は令和だぜっ!」
「まぁ俺たちも大人になったってことだ。いつまでも跨(またが)るばかりじゃなくて、時には相手に包み込んでもらってもいいんじゃねえかってことよ。分かるか!?」
隼人は一瞬、お互い女を知らない童貞の身で何を上から目線で言ってるのかと思ったが、そこは涼太には言わないようそっとしておいた。
「早速なんだが隼人、お前週末空いてんよな」
「涼太、俺をいつまでも女の居ない暇人扱いすんじゃねえぞ!」
「まぁだけど、お前がどうしてもって言うなら付き合ってやってもいいけど」
「おいおい隼人、急に忙しい男ぶってんじゃねえぞ!まぁでも結果的にはOKってことだよな。お前に楽しい世界、魅せてやるよ!」
週末の約束を交わしている二人の横で、涼太の新しい愛車シルビアは真紅なボディ(色)を纏(まと)い妖艶に輝(微笑んで)いていた。
このS13 シルビア Qsは、派手なパーツこそは身に付けてはいないが、足回りやマフラーなどの排気系をカスタムした、ライトチューンな仕上がりとなっている。俗に言う『峠仕様』ってところだ。
中学を卒業後、涼太と一緒に単車の中型免許を取り単車を買ってツーリングを楽しんでいたが、今回隼人は涼太に何の相談も無く先を越される形となって、少し複雑な気持ちだった。
40
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる