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異世界転移前 準備
成人の儀と信託
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やがて、エルフの成人とされる年月が経ちエルシオンも成人の儀式を受ける日がやって来た。
長寿の種族はある程度成人した後は緩やかに成長し、生体のピークから老化も緩やかな為若作りである。
その為、儀式の場である村の協会でルピナスとエルシオンが並んでいても兄弟に見える。
正装したエルシオンの姿に親族一同は様々な感慨にふける。真名を授かってこれからルピナスの次代神託者として村を頼むと願う者も少なくはない。
静まり返る協会の講堂で大勢が見守る中で同じく正装したルピナスとエルシオンが向かい合う。真名を告げるといっても口に出すのではなく額同士を合わせるだけで母から子へ真名は渡すことができる。
習わしに従い、二人は瞳を閉じて額を合わせる。すると二人の頭上から無数の光の粒が詣りてきた。ここまでの現象は一般の成人の儀式でいつも見慣れている様子であった。
が、次の瞬間光の粒は二人を隠す程に周囲に
溢れ何が起こったのかわからなくなった。
エルシオンはそんな異変に気づくことなく、真名をルピナスから授かった。
胸が熱い。
確かに心に真名が刻まれるのがわかった。
これが自分の真名。
「ーーーー」
初めて心の中で呼ぶ真名だったが、あの光の洪水はまさにこの直後に起きていた。
そのままエルシオンは昏倒し、夢を見る。夢の中で信じられない事実を知る事となる。
・・・夜の神託の泉・・・
幾千、幾万の瞬く星々はまるで宝石のよう。降り注ぐホウキ星は流星のシャワーを浴びるようだった。
夜空の深い彩りと星のコントラストが、今までの自分が知っている夜の神託の泉とは似て非なる情景に思え、美しく、神秘を感じた。
エルシオンは鏡のように映す水面に一人立っていた。
泉の上でしばし水面や夜空に見惚れていると、頭に響く言の葉があり、これは神からの神託だと悟った。
ーーーー
そなたは他とは違う運命を担っている。
神託者の宿命を持つ者よ
今こそ前世の善行、愚行を知るがいい
彼らの願いを受け継ぐ者よ
その運命を生きる覚悟を示せ
さすれば
彼の愛しき者との再会を許す
突然の出生に関わる神託に戸惑いは隠せなかったが、はっきりと、確信する。自分に足りない何かが今こそわかる。
エルシオンは愁眉を開いた。
そして、神に迷わず
「我、エルシオンは真名
ーーーー
に命を懸け此処に誓う
如何なる前世も受け入れ
彼の者との再会を希う」
・・・・許す・・・・
この言の葉を最後に、エルシオンは己の知り得ない筈の前世での善行と愚行を知るのであった。
長寿の種族はある程度成人した後は緩やかに成長し、生体のピークから老化も緩やかな為若作りである。
その為、儀式の場である村の協会でルピナスとエルシオンが並んでいても兄弟に見える。
正装したエルシオンの姿に親族一同は様々な感慨にふける。真名を授かってこれからルピナスの次代神託者として村を頼むと願う者も少なくはない。
静まり返る協会の講堂で大勢が見守る中で同じく正装したルピナスとエルシオンが向かい合う。真名を告げるといっても口に出すのではなく額同士を合わせるだけで母から子へ真名は渡すことができる。
習わしに従い、二人は瞳を閉じて額を合わせる。すると二人の頭上から無数の光の粒が詣りてきた。ここまでの現象は一般の成人の儀式でいつも見慣れている様子であった。
が、次の瞬間光の粒は二人を隠す程に周囲に
溢れ何が起こったのかわからなくなった。
エルシオンはそんな異変に気づくことなく、真名をルピナスから授かった。
胸が熱い。
確かに心に真名が刻まれるのがわかった。
これが自分の真名。
「ーーーー」
初めて心の中で呼ぶ真名だったが、あの光の洪水はまさにこの直後に起きていた。
そのままエルシオンは昏倒し、夢を見る。夢の中で信じられない事実を知る事となる。
・・・夜の神託の泉・・・
幾千、幾万の瞬く星々はまるで宝石のよう。降り注ぐホウキ星は流星のシャワーを浴びるようだった。
夜空の深い彩りと星のコントラストが、今までの自分が知っている夜の神託の泉とは似て非なる情景に思え、美しく、神秘を感じた。
エルシオンは鏡のように映す水面に一人立っていた。
泉の上でしばし水面や夜空に見惚れていると、頭に響く言の葉があり、これは神からの神託だと悟った。
ーーーー
そなたは他とは違う運命を担っている。
神託者の宿命を持つ者よ
今こそ前世の善行、愚行を知るがいい
彼らの願いを受け継ぐ者よ
その運命を生きる覚悟を示せ
さすれば
彼の愛しき者との再会を許す
突然の出生に関わる神託に戸惑いは隠せなかったが、はっきりと、確信する。自分に足りない何かが今こそわかる。
エルシオンは愁眉を開いた。
そして、神に迷わず
「我、エルシオンは真名
ーーーー
に命を懸け此処に誓う
如何なる前世も受け入れ
彼の者との再会を希う」
・・・・許す・・・・
この言の葉を最後に、エルシオンは己の知り得ない筈の前世での善行と愚行を知るのであった。
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