私はモブのはず

シュミー

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「これからお試しとして一週間ここに勤務することになった《レイ》だ」

 アルノ父様からピリピリとした雰囲気が感じる。これが宰相モード。勿論名前は偽名だ。暗殺者時代に使っていたニックネームと言うか、呼び名というか。そんな感じのだ。あ、それとここは執務室の中。さっき教えてもらったけど、ちゃんと支部ごとに分かれてるんだって、部屋が。ここは各支部の本部らしい。部屋は資料の山でいっぱいだ。床が資料に埋もれて見えないぐらいに。

 この床にある奴も大事な資料じゃないのかな?踏んじゃってるけどいいの?

「アルノド」

 気安く宰相であるアルノ父様に話しかけてきた茶い髪のこれまたイケメンが現れた。けど、言うけど、ここは乙女ゲームの世界で、二次元をそのまま3Dにした感じだから、私にとってイケメン。多分他の人から見たら普通なのだろう。

「こいつまだ子どもじゃないか。アルノドが良いって言うなら多分大丈夫だろうけど、仕事とかついていけるのか?」
「当たり前だ。文字も読めるし、計算も並の文官よりは早い。それとレイは5歳だ」
「5歳!!それってまだ文字を習い始めるぐらいの年齢じゃないか!計算なんて以ての外じゃないか!」
「レイは例外だ」

 レイは例外......だじゃれ?それにしても周りの人たちは黙って聞いてるけど、この茶髪イケメン(私視点)に同意してるみたい。多分アルノ父様に気軽に話しかけられるのはこの人しか居ないのかもしれない。だって、ここに入ったばかりっぽい若い青年が顔を青くして茶髪イケメン(私視点)を見てるし。

「私の補佐をやるから、もし、ミスなどがあれば私にだけが負担がかかる。お前らに負担がかかることは無い」

 おお!アルノ父様、そこまで私を信頼しているのか!.....まあ、多分私がエルじぃに頼んだから、自分が尻拭いやろうって思っただけだろう。

「よろしくお願いします。なるべく皆様の迷惑にならないように仕事に励みたいです。まだ5歳という未熟な時しか生きてはいませんが、なにとぞよろしくお願いします」

 礼。(90°)さすがに5歳でこんな自己紹介は出来ないだろう。皆様口をあんぐり開けて驚いておらっしゃるようで。でも私もそっち側だったら子どもがこんなに悠長に自己紹介+完璧な挨拶してきたらちょっと引く。あくまでちょっとだよ?

「宰相殿。それで私は何をすればよいのでしょうか?いつも業務に追われていると聞いたのですが....」
「ああ。早速私を補佐してもらう。こちらの部屋に。私の部屋は個室となっているからな」

 私の言葉で山ずみ、というか床にも散らばってるけど、それらを対処しに戻った。納得してない顔してたけどね。

「ふ、さすがリナだな。面白い自己紹介をする」
「アルノ父様も宰相モードかっこ良かった」
「そうか?じゃあ、早速この資料を任せたいのだが....」

 私はアルノ父様専用の執務室に入って、演技を解く。アルノ父様専用の執務室は前屋敷の執務室にあった資料の数倍の量の資料が散らばっていた。

 これがブラック企業.....!よく国を支えるためには多くの仕事をこなさないといけないって言うけど、これは一人に任せる仕事の量じゃない。因に私に渡してきた資料はこの部屋にある資料のほんの少し。少しといっても国語辞典と同じぐらい太い紙の束だ。

「うん。わかったすぐにやるね」

 私は部屋の壁際に設置されている小さめのテーブルに資料をおいて、ふかふかな椅子に座った。エルじぃが用意した物だろう。

「よし、やるか」

 ×  ×  ×

「アルノ父様。終わりました」

 4時間後。私はアルノ父様に渡された資料を返した。

「出来たか。どれ.....ちゃんと出来ているな」

 優しい手つきで私の頭をなでる。アルノ父様資料一山分もう終えていた。

「それとこれ」
「なんだ?」

 私が渡したのは大体50枚ぐらいある紙の束。紐で結んでおいたから昔の日本の本みたいな奴だ。それを4冊。

「これは騎士団がらみで、こっちは村の人たちからの要請、それは貴族からで、最後のはその他。床に落ちてたの全部やった。すべてに目を通すのも時間がかかるから、重要な要点だけをまとめた。それで、こっちがアルノ父様のサインが必要な奴ね」

 私はすぐに渡された奴を終わらせたので、床に落ちている資料を拾い集め、綺麗に片付けておいたのだ。片付けたと言ってもちゃんと目を通して、重要なポイントだけ新しい紙に書き写して、本にしたのだ。それからアルノ父様が実際に目を通しておかないといけないのと、サインが必要ので分けて片付けたのだ。

 前世って本当に役立つよ。昔の腐れ縁でたまに仕事でタッグ組んでた奴が結構なお偉いさんで、山ずみの資料を無理矢理手伝わされたことが今回吉とでた。あいつも結構社畜だったのかも。

「な...!!!」

 アルノ父様は部屋を見渡して、資料が綺麗に並べられていることに気がつく。ずっと集中してたのか私が整理してるときは全然気づいてなかったようだ。

 眉間にしわを寄せ手しかめっ面しているアルノ父様は絵になりました。スキル収納に入っていたカメラ使って保存しましたよ。美形って何しても様になるわ。

「本当にリナ、お前がやったのか?」

 ぱらぱらと私が作った本をめくって、読んでいく。読む速度早い。どっかのドラマでやってた主人公の能力よりは遅いけど、これってかなり早いわ。

「うん。がんばった。この短時間でこの量は疲れた。あと残ってるのはアルノ父様の机にあるそれだけ」

 実際私でもこの量を短時間で処理するのは難しい。まぁ、そこは神様がくれたスキルとか、日本の最新技術とかいろいろ使ったからね。

 この力....前世でも欲しかったわ....

「.......よくやった。これでしばらくとれていなかった睡眠が取れそうだ」

 今度はガシガシと少し強めになでられる。というか徹夜やっぱりしてたの!?それにしてはやつれてないし隈も浮かんでない!これは乙女ゲーの効果!?なんてうらやましい!でもさっきの人たちは隈とか紙とかぼさぼさだったし、これは登場人物西か聞かない補正かな?

「これならすぐに終わるね」
「そうだな。少し待っててくれ」

 アルノ父様は私が片付けたサインしないといけないのと、読まないといけない資料を見始める。

 時間もちょうどいいし、アフタヌーンティーでも用意しよう。私は集中していて気づいてないだろうアルノ父様の前で収納魔法からカップ、ポット、お菓子などを出す。紅茶はその場で入れる。だって。すでに作って注いだ物を収納魔法に入れたとしても、熱々なままだけど、その場で入れた方がなんか雰囲気ある。

「ずずず」

 カリカリカリ。

「ぽりぽり」

 シュッシュッ

「こぽこぽ」

 トントン。カッカ。ぱさ。

「ふぅ、終わったぞ。こんなに早く仕事が終わったのは初めてだ。ん?アフタヌーンティーか?」

 書類を整理する音が数分響いてから、アルノ父様はこちらに来た。あれ?さっきのもかなりの量があったはずじゃ....宰相の書類処理能力、侮れないね。

「うん。アルノ父様の分もある。座って」

 アルノ父様はわたしの隣に座って、私が用意した紅茶やお菓子の手をつけ始める。

「本当に助かった。最近は30時間ずっと仕事をしているときも多くてな」

 え?一日24時間しか無いよね?ん?

「なんでそんなに忙しいの?」
「ああ、そうか。リナは知らないんだったか。来月に国王の誕生日があってな。国を上げて祭りをするんだ」
「エルじぃの?」
「そうだ。なんであんなやつの為に祭りを開くんだか」

 さすが国王様。規模が違う。私はまだ前世と今世会わせてしか祝われたことないぞ?どっちとも小さくて、暖かい誕生日会だったけど。

 まてよ、これってエルじぃに誕生日プレゼント渡した方が良いのでは?まだ会って少しだけど、かなり助けてもらっている気がする。

「そうだ。ほかの人ってまだやってる?」
「たぶんな。私よりかは早く帰る人が多いが、深夜までは全員まだ居る」

 まじかよ。マジで国というなのブラック企業....私が前世で働いてたのもある意味ブラックだけどね!

「ちょっと手伝ってきても良い?」
「...まだ働くのか?」
「このままだと皆倒れちゃうし。ばれないように、少しづつ処理しておくの」
「......わかった。確かに家に帰る時間がなくて、妻と喧嘩したと言っていた職員が居たからな」

 うわ...そこまで来てたのかよ....さすがにそれはないでしょ。

「アルノ父様は仮眠でもとっておいた方がいいよ。それとこれ。ホットアイマスク」

 私はポケットからホットアイマスクを出して、アルノ父様に渡す。これは収納スキルにあった地球の物を取り寄せることが出来る。道具を使って取り寄せた物だ。

 書類整理ばかりして目が疲れているだろう。

「何だこれは?」
「これを耳にかけて、この所を目に当てておくの。すぐに眠れると思うよ」
「..リナが言うならため居てみようか」

 アルノ父様はソファーに横なって早速私が渡したホットアイマスクを付ける。そしたら5秒もしないうちにスースーという寝息が聞こえてきた。

 やっぱり疲れてたんだ。にしても中世の格好に現代のホットアイマスクってなんかシュール。

 よし、それは置いておいて、助っ人に行きますか!気配遮断を使ってね!
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