爛漫ろまんす!

平野ポタージュ

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時の一族と実

紫色の記憶

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この山藍シャンランの寺院には、薬師の尼が居た。

沁華シンファ様、龍仙女ロンシィェンニュ五龍ウーロン山藍シャンランへと…」

薬師如来像に手を合わせていた沁華シンファという名の尼に、修行僧は少し慌てた様子で報告をする。
然し、少しも微動だにせず「そう…」と一言───
凛とした声が室内に響く。

シャラン!……

「やっと…、この時が来たのですね…」

沁華シンファは真横に置いていた自身の錫杖を掲げ、錫杖頭の真ん中部分に美しく光る紫色の玉を人差し指で優しく撫でる。

「…虚空こくう様…──貴方にこの"瞳"を返す時が来ました…」





片目を失くした僧侶は、弟子の尼にこう言いました。

『お前は何も悪くない───…オレが殺した。』

『ち……違います!!……私が……私が!!!!』

自身の乱れた法衣と身体をを抱き締めながら沁華シンファは震えた。
傍には血に染った短剣と、高貴な衣服を身に纏った年配の男の死体────皇帝専属の太医だった。

『こ、虚空こくう様……ッ!』

『さっきこのオッサン……蛇人じゃにんに刺された目……使い物になんねーけど……、お前を護る力くらいは宿ってんだろ』

これを持ってれば、護身用になるかもな。
もう襲われる事もないだろーけど、もし…何かの縁で誰かのところに嫁ぐってなったら…

『その時は、返してくれよな』

その僧侶は笑って左眼から血を流しながら、紫色の玉を尼に渡した。

「参りましょう─── 龍仙女ロンシィェンニュ五龍ウーロンを……我々は仕留めなければなりません。」

過去の淡い甘い苦い記憶────
貴方の苦しみは私の苦しみ……

「その使命を…私が責任を負って、終わらせましょう」

愛した貴方の為に
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