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想いは胸に秘めたまま……
6. 《弘和side》ふと、昔に聞いた手島の義母の言葉を思い出した。
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《弘和side》
しゃがみ込んでしまった手島になんと声をかけたらいいか判らなかった。
これ以上私の想いを押し付けたくはなかった。
タバコに火を付け、考えあぐねていると、手島はすっと立ち上がり背を向けたまま部屋を出ようとしていた。
「お役に立てなくて、すいませんでした」
そうぼそっと言い出ていく姿を見て、私はまた同じことを繰り返しているのではないかと怖くなった。
奴の心はどうしてこうも不安定なんだ。
『何かにつけてお金がかかるくせに、全く役立たずな子だよ』
ふと、昔に聞いた手島の義母の言葉を思い出した。
私はタバコを置くのも忘れ、駆け出した。
エレベーターホールまで出て、閉まりかけのエレベーターに手をかける。
驚いた手島の顔。
まだ震え、今にも泣き出しそうだった。
がっと腕を掴み引っ張り出す。
そして、自分の胸の中に手島の身体を押し込んだ。
「お前は、役立たずなんかじゃない!!」
きつく抱きしめ、そう叫んだ。
持っていたタバコの灰が床に落ちる。
だが、そんなこともかまわずさらに強く抱きしめた。
しゃがみ込んでしまった手島になんと声をかけたらいいか判らなかった。
これ以上私の想いを押し付けたくはなかった。
タバコに火を付け、考えあぐねていると、手島はすっと立ち上がり背を向けたまま部屋を出ようとしていた。
「お役に立てなくて、すいませんでした」
そうぼそっと言い出ていく姿を見て、私はまた同じことを繰り返しているのではないかと怖くなった。
奴の心はどうしてこうも不安定なんだ。
『何かにつけてお金がかかるくせに、全く役立たずな子だよ』
ふと、昔に聞いた手島の義母の言葉を思い出した。
私はタバコを置くのも忘れ、駆け出した。
エレベーターホールまで出て、閉まりかけのエレベーターに手をかける。
驚いた手島の顔。
まだ震え、今にも泣き出しそうだった。
がっと腕を掴み引っ張り出す。
そして、自分の胸の中に手島の身体を押し込んだ。
「お前は、役立たずなんかじゃない!!」
きつく抱きしめ、そう叫んだ。
持っていたタバコの灰が床に落ちる。
だが、そんなこともかまわずさらに強く抱きしめた。
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