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2人の狼

狼たちの寝床 notR18

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「セリちゃん、真ん中ねー!」
心持ち上向きの、いつもの“装ってない声”でカナンが言った。

「んなわけないだろ。」
テントに入った俺が、ビシっと言った。
建前でなく、カナンが俺のつがいに構う。

俺の番だから、気にかけるのはわかるが、
セリの可愛さは俺だけのものだ。

テントで致さない理由にならない。
俺の見張りか?
元々セットになるのは、感覚が似ているから。音に敏感、臭い、習慣。
人属とはちがう鋭利な感覚が、少しずつストレスになる。

慣れた組み合わせにしている。俺とカナンはセット。
他は、見張りの都合で変わったりって感じだな。

マジックボックスから毛皮を探す。
色は白!で大きいものを出した。

スノウケープの毛皮にした。
日が暮れて、セリには少し肌寒いかもしれないからちょうど良いだろう。

毛が密で空気を含んでいる、くるっとした長さが肌に柔らかくあたる。
セリの柔らかい肌にも痛くないだろう。


大きい毛皮を敷き、俺が真ん中に座った。
「入り口で寝れば良いんじゃないか?」とカナンをつき離す。

「冷めてーヤツ~」意に介さず自分の荷物を漁っている。

セリは、ぽそりと「ふかもこ」と言った。
気に入ったようで良かった。

寝る準備に外へ出るというので、ついていき

外で見張りをしているグスタフに手をふり
テントに戻った。

入り口で、邪魔だなカナン。サッと避けたのは付き合いの長さか?
流石に今は蹴りを入れる気なかったぞ。
セリを抱えているからな。ちょっと体温が下がったんじゃないかって心配なんだ。

カイロでも出そうか。セリ用に魔道具があっても良いな。

セリを抱えて、俺が真ん中。後ろにカナンだ。
はあ。両方セリだったら挟まれて幸せなのに。

もぞもぞと動くセリは、スノウケープの毛皮を気に入ったらしい。
緩んだ表情をしている。ナデナデ。

「オイ、俺がいるからな?」後ろがうるさい。
お前は、見張りの交代で未明に起きるだろ?

セリとの空間を邪魔しやがって。
うとうとしているセリの邪魔をするな。しかし、寝つきがいいな。

カナンは飲みだした。寝酒か?これだけ人の気配がすると寝ずらいからな。
ハンドサインで喋りだした。
「眠ったか?」
『まだ寝てない。』安心して寝て良いぞとポンポンとセリの背に触れる。


小声で「寝そうだな~」と酒を飲むカナン、
『見るな!減る。』とサインを送った。

ふにふにのほっぺた
じっくり寝顔を堪能した。

酒よりセリの顔を見ていたい。




何気なくセリちゃんを盗み見た。
デロデロに甘いロードはこっちを向かないが。
いい酒の肴だわ。

ひとり酒を楽しんだ。
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