[完結済み]メイドの私から証拠隠滅できると、お思いですか？

城

帝国流

落ち着いたのだからと、お茶会を開くことになりました。
ホストは私、マライヤ・チェンバラスです。

ご招待には御令嬢を3人招く。

招待状を出し、

建国祭の日が無事済んだ挨拶と、お茶会のお誘いを書く。
場所は公爵家のお庭をお借りしています。

公爵家のメイド長とお話しして、形にしました。
従っていた方から指示を出す立場になりましたが、流れは理解できています。

お義母様に確認して、メイドをつけてもらい着々と進められましたが。


“あの方、メイドだったんでしょう？”
と噂されてもおかしくない状況ですが私の耳には入りません。

(公爵家のメイドは、レベルが高い。)

表向きには、女主人として敬ってくれている様子。
まだお義母様を介したお付き合いしかしていないものね？

今回のお茶会は、帝国流を少々取り入れこの時期にお招きする
のが目的です。

次期王妃様が示され、貴族の動きも活発化した今。
労いと今後の話の場に、女同士息抜きにお茶をしましょう

という意味がある。

他の意図として
“公爵家の嫁としての試験”と思いきや、多分私付きのメイドの選定も兼ねている事に気がづきました、

主人として相応しい振る舞いか？を見られているのと同時に
私との相性はどうか、メイドの態度を見られていると気づいているのは何人でしょうか。


(きっと、休みの時間の会話も覚えられているんだろうなあ。)
情報収集の時を思い出し、気を飛ばして美味しいお茶を飲んでいる。

休憩中にやっと肩の力を抜けるようになりました。


考えすぎとは思わない。
私がやっていた仕事は

人がどう思っているか、それが害意になりえるか？

見極める仕事でもある。それを正す立場になった訳だけど。
立場が上になるっていうのは、色々変わるのね。

以前見ていた、視点とは違うのが不思議だわ。
同じものを見ているのに。

考えまで変わっていく。

けど、
動きがわかる。メイドにとって、どんな態度なら仕える主人たり得るかも思い描ける。

背筋が伸びる、マナーで習ったお茶の飲み方も馴染んできたかしら。

「フフフ。美しくなって、自慢の娘だわ」
ご一緒しているお義母様は褒めて成長を促すタイプだ。
しっかり嫁として、やれるところをみせて安心させたい！

お茶会の開催に漕ぎ着けました。

公爵家のお庭は、整えられ薔薇が咲き誇っている。
ピンク色で花弁の多く凛とした美しさを持つ花々がお客様をお迎えします。


アイナ様、ナナミ様。そしてイザベラ様だ。
王城から騎士が護衛しています。

(あら見た顔の方がいらっしゃいますが、秘密ですのね？)

「皆様、おいでくださり有難う御座います。」


「いいえこちらこそ、呼んでいただいて嬉しいですわ」

ナナミ様が自然と受ける。

「少し帝国風なんだね素敵。」

お菓子をお持ちいただいたアイナ様。

「趣きがあって流石公爵家ですわ。」
イザベラ様が柔らかく微笑まれる。

お褒めの言葉を受け、お茶を自ら淹れておもてなしします。
「帝国から購入した茶器ですの」

白地に花が描かれることの多い王国風と比べ、
黒地に金を使った重厚感のあるティーカップが並んだ。


「近頃は、周りが賑わって大変な事でしょ。今日この時くらいはお心休められていただければと。」
「ええ。本当に。」

イザベラ様に集中している模様ですが、お二人もため息が。

「あたしは売り込みが凄くて、一緒に商売を！って。産業、自慢も頭に入っているから躱せば
情報収集ですけど。」

「そうですね。海から離れないと断ると、お婿にして欲しいと迫ってきて…。」

貴族方の勢いにお疲れな様子。

「噂の方は、落ち着きましたが皆様今後どのよう振る舞われるのですか？」

王妃教育が始まるイザベラ様、お2人はと言うと。

「今回のことで商人として、判断が甘いとわかったよ。あたし、帝国に乗り込む！
甘い蜜を探すんじゃなく、金の卵を見つけるんだ！

お嬢様な女じゃできない事をしたい。帝国流の根性を学んでくる」

既に道をお決めのようです。


「ナナミ様は、ご実家に戻られるのですか？」

「ええ。実は」


そう言葉を続けるナナミ様は、女の同士の秘密話のように気をもたせてお話しくださったのです。