【完結済み】ハニーBeeは香り高い味がする<BLジャンル>

BBやっこ

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水ください

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もう帰っても良いんだけど、城内でふらふらするのもトラブルのもとだし。

1箇所寄りたい場所ができた。
食堂

下ごしらえの準備中だろう。慌ただしさはなく、少し間延びした空気をかんじた。
端的に、ヒマそうだ。

用事は一つ。
僕は水が飲みたいです。
砂糖とは違った甘さのケーキはとても美味しかった!

証拠隠滅も無事終えたものの、喉が乾きました。
「水くださーい。」

ここでは、飲料水はサービスです。水は豊富で各所に汲める場所があるけど
飲み水は選んだ方が良い。

なんらかの技術でろ過っぽいことをした水のが良いとい結論。
こういうところちゃんと気をつけねば。

腹痛でベッドの住人だ。
何人かみたけど、外で飲んだ水が合わない子もいたらしく。
他の大人の場合、酒の飲み過ぎが大半だから子どものうちだけのことかも。

そういえば、まだ生まれたバッカなんだよなあ。
既に知識があって、それほど動じず働き始めた。

不思議な生態だと感じるのは、前世の記憶が思い出されるから。
紅茶が飲みたいな、と思うのもそうかな。

まだ飲んだことがないのに。
慣れたようにコップに水を一杯もらって座り、喉を潤した。
甘さが流れていってしまう悲しさもあるけど、スッキリした。

前の記憶が残っていたり、思い出せそうなのは
景色より食べ物や香りから。

絵のように思い出す
それと同時に思い出せるのは味覚の前の嗅覚。

水のニオイはわからないけど

まだ、ハニーな甘さを口の中で転がす。
ああ。良い気分だなあ。

集団行動とは違って勝手にやってる自分。
お世話になりっぱなしな今だけど、初任給でお礼をできると良いかな?
食べ物のレシピを提供して、材料を持ち込むとか。

食堂で会話するのが一番多いから、会話するのもその辺の関係者が多い。
食事関係の人と仲良くしておけば、おこぼれがあるからねという下心もあるけど。

まあ今世、仲良くやってる。下っ端だもの。無理せず動こっと。
水を飲み干してコップを戻した。

帰るかと目に入ってきた巨体は、さっき別れた56(ゴロー)さん<仮>だった。

「さっきぶりです」と愛想笑いを向ければ、大きな手のひらが光を遮る。

わあ。背もでっかければ、手もだわー。
と呑気に見ていれば、頭に置かれて撫でられた。

ワシワシっと髪が乱れる。

その仕草に、強面の顔も可愛く見えるから不思議だなと見上げる角度で思った。

荷物を運び込んだ仕事が終わったばかりらしく、少し汗ばんだ筋肉が男の色気を増す。
会話もなく立ち去って行った。

話せないのかな
とその後ろ姿を見送る。

やっぱり、ムスクの香りが郷愁を誘っているのか
なんとなく、物悲しい気持ちになった。
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