【完結済み】俺たちと番の女のハネムーン[R-18]

BBやっこ

文字の大きさ
40 / 70
友の章

打ち合わせ

しおりを挟む
「仕事の方はもういいの?」

シュルトさんが、寡黙な性格らしいグスタフさんに質問を投げかける。

コクリと頷くだけで終わってしまったが、普段らしくシュルトさんは続ける。
「とりあえず、手紙のチェックをお願い。せっつくトコからは来てないわ。」

『竜の翼』としては、休息期間で個人の活動をしていると聞いている。
その過程で、ロードとカナンは冒険者の依頼を受け2人で行動、私セリと会ったらしい。

シュルトさんは王都の店にいたり、この拠点で仕事に集中しているとか。
いない時は使用人の人を派遣してもらっているらしい。


グスタフさんは了承の意味で頷いている。普段からこうなのだろう。
“声が聴けただけ、貴重。“ってことはないよね?

仕事という言葉が出たけど、冒険者の格好ではない。
揃いの上下とベストも着ていて、礼節の求められる場所

高位の貴族に会いに行く服装に思える。
背の高いグスタフさんにピタリと似合う高級素材の服。

それを今は上着を横に、楽に首元をくつろげて紅茶を飲んでいる。
その姿は礼儀作法を学んだそれだ。


全体的に落ち着いた雰囲気から、どうも冒険者の雰囲気より
学会に所属の教授といったものだ。体格はしっかり冒険者で、その中でも長身だろうけど。


(少し、聞いてみても良いかな?)


「お仕事って何だったか聞いても良いものですか?」

ロードがリーダーの『竜の翼』につがいとしても関わりを持つことになるし、メンバーのことを知りたい。
失礼にならない程度に、他のメンバーとも交流したいものだ。


私のお腹にまわっている腕が、ちょっと強まってスリスリと頬擦りしてきたことをスルーした。
無口っぽい人に、会話を試みる。

グスタフさんと目線が合えば、キツくみえる目があるがその瞳に嫌悪などはなかった。
会話の拒絶はないようだ。


「研究の発表をしてきた」
ぽそりといった声量で低い声でも聞き取れた。態度に愛想はないが
避けることもない、か。


再び間が空くが、会話が成り立っただけ上々だ。

「ダンジョンで見つかった仕掛けの解き方だったわね。場所は何処だったカシラ?」
「北部の土属性ダンジョンだ。」

冒険者としては気になるところだ。罠の回避も先を進むにも立ちはだかる。
ただ、冒険者に不評である。

ダンジョンの研究家は理論などが先行しているからだ。
理由は冒険者のようにダンジョンに潜り、自分の身を守る腕がないため実地を知らず威圧的な態度だ。

知識を与えてやる!っという知識人が多いこと。
“冒険者はに理解などできるか”もあったな。態々著作に書かなくてもって思いながら読んだ。

どこかの本の受け売り
想像だけで実証されてないもの
自分は偉いと綴る本(既にダンジョンのことが書かれていない表紙詐欺)

そんな本が多いから、余計読みたくなくなるんだけど。
手に届くものも限定され、紙は高価だし。実際にダンジョンで役立つ本というのは少ない。

「本の出版とかされてますか?」
読んだ本があるかもと聞けばタイトルを教えてもらった。


「『ダンジョン宝箱の見つけ方』の著者ですか?!」

つい声が大きくなった、セリだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

黒の神官と夜のお世話役

苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

処理中です...