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旅の支度
もふっ
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セリは不貞腐れていた
アレから、5日経っていた。しかも…
未だにベッドから出られない。
ロードにストライキ、は喜ばれてしまう。
ベッドの上にずっと居るという事だから。
そういう意味じゃないという意味で、狼を巻き込んでいた。
だって、
この駄犬のせいでもある。
(立てないし!!)
その鬱憤を持ちながら、背後からハグし
もふもふとその毛皮を堪能する。
「セリ、喉渇かないか?」
「風呂は?」
ロードの事は無視だ。
((怒ってるんだからね?))
つーんっ
もふもふを自由に触って、癒されている最中だ。
全身でふかふかと遠慮なく使っている。
拒否権はない。
「くぅーん(もう満足しただろー?)」
「まだダメ。」
狼も強くは出てこない。身に覚えがあるから強く出られない。
ロードも苦笑して、そのまま午前の時間を過ごした。
「そろそろ行こうか?」
昼食の時間に誘われたので、ロードに無言で両手を突き出す。
抱っこを要求した。
当然の権利である!
という気分で。
ロードには、笑って抱き上げられてしまったけど。
セリ自身に怒りはないのが、憮然とした気持ちになる。
好き勝手されて、ちょっと不服だ。
気持ちの整理に、少し時間がいった。
今は、食欲の方が優先。
台所をのぞくとシュルトが料理をしていた。
「アラ、久しぶり。」
元気だった?ときかれる挨拶に
(まあそうなるよね。)
時間の経過を思った。
ポトフを食べながら最近の何をしていたかの話を聞く。
話す方はしない。ナニをしていたんだから、ね。
やさぐれそうだな私。
抱きつきたくなる毛皮さんは、おいしそうに取り分けられた食事をわふわふ食べている。
平和なもんだなあ
ちょっと癒される。
そして、時たまタイミング良くロードがセリの世話をやいた。
口元をぬぐったり、飲み物を注いだりと豆まめしい。
呼吸を読み、好みを把握して瞬時に反応している。
何気に達人級だった。
そんな様子も最早、お馴染みの光景と化していた。
和やかに食事は進む。
今はキースもグスタフも部屋にいるらしい。
2人とも自室からほとんど出ずに、没頭しているようだ。
「ちゃんと食べてるか怪しいワネ」
それもいつも通りだった。
カナンが狼から戻るのに数日かかるらしいと聞き、
戻るまでもふもふして過ごそうか、真剣に考えるセリ。
当のシュルトは、最近まで
王都の家に帰っていたらしい。その事でセリは気づいた。
「まだ王都をほとんど歩いてない。」
今の身体では
ガチガチでグキっといきそうだった。
負荷(=ロード)をかけ過ぎたのだ。
そんな話をしていると、キースがやって来た。手紙を見せて
「あー。出かけてた方が良いかも?」
厄介ごとだろうか。
「よし。出る。
セリ、どこ行くか決めよう。」ロードが即決した。
「ウォン!」
「わかってる。お前もな。」
「ハネムーンに出発しよう?」
告白をするように膝をつき、
セリの両手をぎゅっと握る。
ロードの宣言から、
2人と1匹の旅が、始まるかもしれない。
「ウゥー(戻るっつうの!)」
3人(予定)旅のようだ。
アレから、5日経っていた。しかも…
未だにベッドから出られない。
ロードにストライキ、は喜ばれてしまう。
ベッドの上にずっと居るという事だから。
そういう意味じゃないという意味で、狼を巻き込んでいた。
だって、
この駄犬のせいでもある。
(立てないし!!)
その鬱憤を持ちながら、背後からハグし
もふもふとその毛皮を堪能する。
「セリ、喉渇かないか?」
「風呂は?」
ロードの事は無視だ。
((怒ってるんだからね?))
つーんっ
もふもふを自由に触って、癒されている最中だ。
全身でふかふかと遠慮なく使っている。
拒否権はない。
「くぅーん(もう満足しただろー?)」
「まだダメ。」
狼も強くは出てこない。身に覚えがあるから強く出られない。
ロードも苦笑して、そのまま午前の時間を過ごした。
「そろそろ行こうか?」
昼食の時間に誘われたので、ロードに無言で両手を突き出す。
抱っこを要求した。
当然の権利である!
という気分で。
ロードには、笑って抱き上げられてしまったけど。
セリ自身に怒りはないのが、憮然とした気持ちになる。
好き勝手されて、ちょっと不服だ。
気持ちの整理に、少し時間がいった。
今は、食欲の方が優先。
台所をのぞくとシュルトが料理をしていた。
「アラ、久しぶり。」
元気だった?ときかれる挨拶に
(まあそうなるよね。)
時間の経過を思った。
ポトフを食べながら最近の何をしていたかの話を聞く。
話す方はしない。ナニをしていたんだから、ね。
やさぐれそうだな私。
抱きつきたくなる毛皮さんは、おいしそうに取り分けられた食事をわふわふ食べている。
平和なもんだなあ
ちょっと癒される。
そして、時たまタイミング良くロードがセリの世話をやいた。
口元をぬぐったり、飲み物を注いだりと豆まめしい。
呼吸を読み、好みを把握して瞬時に反応している。
何気に達人級だった。
そんな様子も最早、お馴染みの光景と化していた。
和やかに食事は進む。
今はキースもグスタフも部屋にいるらしい。
2人とも自室からほとんど出ずに、没頭しているようだ。
「ちゃんと食べてるか怪しいワネ」
それもいつも通りだった。
カナンが狼から戻るのに数日かかるらしいと聞き、
戻るまでもふもふして過ごそうか、真剣に考えるセリ。
当のシュルトは、最近まで
王都の家に帰っていたらしい。その事でセリは気づいた。
「まだ王都をほとんど歩いてない。」
今の身体では
ガチガチでグキっといきそうだった。
負荷(=ロード)をかけ過ぎたのだ。
そんな話をしていると、キースがやって来た。手紙を見せて
「あー。出かけてた方が良いかも?」
厄介ごとだろうか。
「よし。出る。
セリ、どこ行くか決めよう。」ロードが即決した。
「ウォン!」
「わかってる。お前もな。」
「ハネムーンに出発しよう?」
告白をするように膝をつき、
セリの両手をぎゅっと握る。
ロードの宣言から、
2人と1匹の旅が、始まるかもしれない。
「ウゥー(戻るっつうの!)」
3人(予定)旅のようだ。
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