【完結済み】俺たちと番の女のハネムーン[R-18]

BBやっこ

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旅の行き先

贈り物交換 ⑤

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夜着を再び身につけて、女は暖炉の前にある背もたれのない椅子に腰掛けていた。
手をかざしながら火の揺めきを何となく眺める

年の瀬、年の暮れ。
その気持ちの寂しさか嬉しさかわからない感慨に耽っていた。

瞬く間のように過ぎ去った日々は実は、
数えられる程であるにもかかわらず、これから

男と共にいる日常だった。

「新しい年に」
そう男が女に渡したのは、赤紫に液体の果実酢だった。

美味しそうな甘酸っぱい香りに、ニッコリ受け取る。
2人でグラス一緒に持ち上げて、乾杯した。

喉の渇きに染み渡っていく。
その味を舌で味わった。

そういえばとふと思い出したことを言った。

「そういえば私の贈り物を見せてなかったわ」
女は用意していた贈り物を、取りに立った。

最初の贈り物としては無難で使えそうな物を。
酒や食べ物の好みや習慣はわからないので

少し変わり種のよく見るもの。
あって困らない物を選んだ。

女が取り出したのは
酒よりも小さく、見慣れている瓶だった。

「美味しいポーション」

お洒落なリボンで飾りつけられているが、確かにそうらしい。

ポーションの味は、総じて草の味。
薬草を煮て、魔力を入れて作る薬の扱いだ。

低級と言われる物は、買い求めやすいが
不味い。日持ちが良いのは助かっているが子供は嫌がる。

“吹かない程度の味”と言う評価が的を射ている。

美味しいなら売れるか?は微妙だ。
効果や日持ちが重視されると、疎かにされるのは納得だ。

酒と同じで、飲みすぎて良い物でもない。
子供が大量に飲むのも避けたい。

そんな理由から常用する物、売っている物は
イマイチの味で作られている。

作っていけない訳ではない。
それが地味に嬉しい場合もある。効力が度外視される。だいたい効きが悪い。

既にそれは不味いジュースなんじゃないか?とツッコミが入る。
そんな物を冒険者は買わないが、女の出した物は違う。

『美味しい、その上に』と続く。
女は薬屋で働ける腕を持っているのだ。

「鑑定してもらい済み!(鑑定人、キース)」と自慢げに伝える。

爽やかなミントティーを思わせるスッキリした味わいを実現させた。
キースもちゃっかり貰っている。紅茶に淹れようかと思ってる。

『味の保証期限、疲れた時の一杯に。』
飲みすぎや、小さな切り傷にも使える。街に住む家族のが喜ぶかもしれない。


それに対して、男の用意したものは“おもちゃ”だ。

女と楽しむことしか考えていない物選びだったが、
メンバー達もそうなるだろうと予想して、贈っているので理解ある仲間だ。

それにまだ辿り着いていない女には分からせないとな?



大人のおもちゃを使い始めるのに、
瓶に入ったとろりとする液体。グスタフの贈り物に入ってた

ローションと呼ばれる潤滑油。
紅い縄をもう一度使おうか?


とろっと液体を手に垂らすと冷たく感じる。高揚感のせいだ。
マッサージ用だが、性行為にも使える安心安全な液体。


『ロード大人のおもちゃシリーズ』
はどういうものなのか?


女の身体に聞いてみるしかない。
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