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旅の行き先
新年を祝う会
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久々に全員が、
『竜の翼』が拠点に集まった。
元々いた、セリとロードも顔を出して揃っているのだから“初”といえる。
「久しぶりだな~」
「数日前には居たけどな」
カナンとグスタフの会話は、少々酔ったようなズレがあるが
酒ではなく、新しい年を祝う雰囲気の陽気に当てられて来たらしい。
「スープあったまったわヨー!」
キビキビ、通常運転だったのは、シュルトだ。
商人として挨拶や催事などより、職人達の世話に動いていた。その感覚のまま
今も元気そうだ。
「これもある。」
セリが収納鞄から、食事を出す。メロンは食後に出そうとロードと話す。
シュルトが実家の方から料理を持ってきてくれているので、
王都の森の近くにある拠点では食事会のような、昼食になるところだ。
食事の準備をシュルトがして、セリとロードが
その配膳と手伝い。
カナンとグスタフはテーブルを整え、酒を味見しながら
待っていた。
その少し離れた場所で、
キースは噛み締めるように紅茶を飲んでいる。
人に会う忙しさとウザい人間との交流に疲れた、心の消耗を癒やしている。
振り切って出てきた避難先(『竜の翼』の拠点)で、やっとひと息つけている時間だった。
お疲れ様。
という総意の元、料理が出揃うまで庭を眺めていることだろう。
「隠居のジジイみたいだわ」カナンの揶揄いも無視だ。
何も植えていない庭、ボーっとするのには目に優しい自然の風景に心が洗われる?
(森には魔物がいるけどね?)
準備を終え、全員が座ったところで、
年始めの忙しさを潜り抜け、いつもより明るい雰囲気からか
これからの事が話題にのぼる
「抱負?」
『今年の抱負は、うまい酒に出会う!』『ワタシは面白い商品の取り扱いね』
『仕事をひと区切りしたいな』『目障りな奴の始末』
カナンやシュルトの物欲と、グスタフの切実そうな要望。
キースの危ない目標の相手は誰だろうか?
セリは困った、
今までなら『この環境に慣れる事』だったけど。
この和やかな雰囲気に囲まれ、仲間に入ったセリは
その抱負は叶っていると思う。他を考える。
その横では、
『予定通りハネムーンだ。』ロードの宣言だった。
「旅行か。定番は南か?強い酒がありそうだな。」
「最近の流行は、川を上っていって東の国にいくのヨ」
グスタフが口を開く。
「北に戻るのも、風景が変わって真新しい旅になるらしい。」
「グスタフが帰りたいだけじゃ?」
「ああ。そろそろパートナーの顔を見たい。」
「南への旅が貴族のステイタスで、北は長期の滞在目的。東へ出る変わり者って
話を聞いたけど、最近手に入れられる東の書物は、面白い物が多いよね?」
キースが話をまとめた。
「時間はある。南に行って、たまに依頼を受けるのも楽しいな。」
暑い国と知っているセリは、持ち物の心配に思考を巡らせる。
手持ちの物はほとんど合わないなら、購入しないとな。
「僕はセリの実家の方が気になるけど?」
キースから話を振られ、セリは簡潔に答えた。
「元実家かな。傍系の家が乗っ取っちゃったし。」
その後、結婚を迫ってきていた子爵家はどうなったかな
孤児院に迷惑かけてないかが、やっぱ心配。
そんな様子を察せられたのか、ロードの提案があった。
「貿易街、セリの街に滞在してから南へ行くか。
今なら飛竜も平気な気候だ。」
「南か。旅っぽくて良いな!また貿易街に戻って、飛竜を置いて海に出て船で東に行くのも
目新しいくて良いな?」
「南はパスだケド、東は興味あるワ。」
「暑いのはパス。北なら寒くなる前に行こうかな?」
「北に行くまでに、仕事を終わらせよう。」
それそれが良いとこどりで参加を表明する。
「まずは、貿易街で準備、食い倒れだな!今の時期の酒もな。」
「そこから、カナンが南に着いてくる。
再び貿易街で落ち合えば、東に船で行ける。」
「ソレで東から、船で北に行くノ?大移動ねー。面白そう!」
乗り気なカナン、ロードが捕捉し、シュルトが日数を頭の中で計算する。
「王都に戻らず、北へ帰る?誰かに捕まるか、依頼を強制されそー。」
キースの指摘も尤もだ。高ランク冒険者が通れば、目立つ。
「北は、長期滞在しよう。冬を過ごすのも良い。」
グスタフは北に行きたい思いを隠さない。
「どうだ?」
リーダーへの確認に、メンバーの動きを合わせ長旅の予感に
胸を躍らせる。
『素敵な旅をしたい』セリの抱負ができた。
「何日か依頼を受ければ黙らせられる。
それで良いか?」
そうして、『竜の翼』が旅立つ事が決まったのだった。
『竜の翼』が拠点に集まった。
元々いた、セリとロードも顔を出して揃っているのだから“初”といえる。
「久しぶりだな~」
「数日前には居たけどな」
カナンとグスタフの会話は、少々酔ったようなズレがあるが
酒ではなく、新しい年を祝う雰囲気の陽気に当てられて来たらしい。
「スープあったまったわヨー!」
キビキビ、通常運転だったのは、シュルトだ。
商人として挨拶や催事などより、職人達の世話に動いていた。その感覚のまま
今も元気そうだ。
「これもある。」
セリが収納鞄から、食事を出す。メロンは食後に出そうとロードと話す。
シュルトが実家の方から料理を持ってきてくれているので、
王都の森の近くにある拠点では食事会のような、昼食になるところだ。
食事の準備をシュルトがして、セリとロードが
その配膳と手伝い。
カナンとグスタフはテーブルを整え、酒を味見しながら
待っていた。
その少し離れた場所で、
キースは噛み締めるように紅茶を飲んでいる。
人に会う忙しさとウザい人間との交流に疲れた、心の消耗を癒やしている。
振り切って出てきた避難先(『竜の翼』の拠点)で、やっとひと息つけている時間だった。
お疲れ様。
という総意の元、料理が出揃うまで庭を眺めていることだろう。
「隠居のジジイみたいだわ」カナンの揶揄いも無視だ。
何も植えていない庭、ボーっとするのには目に優しい自然の風景に心が洗われる?
(森には魔物がいるけどね?)
準備を終え、全員が座ったところで、
年始めの忙しさを潜り抜け、いつもより明るい雰囲気からか
これからの事が話題にのぼる
「抱負?」
『今年の抱負は、うまい酒に出会う!』『ワタシは面白い商品の取り扱いね』
『仕事をひと区切りしたいな』『目障りな奴の始末』
カナンやシュルトの物欲と、グスタフの切実そうな要望。
キースの危ない目標の相手は誰だろうか?
セリは困った、
今までなら『この環境に慣れる事』だったけど。
この和やかな雰囲気に囲まれ、仲間に入ったセリは
その抱負は叶っていると思う。他を考える。
その横では、
『予定通りハネムーンだ。』ロードの宣言だった。
「旅行か。定番は南か?強い酒がありそうだな。」
「最近の流行は、川を上っていって東の国にいくのヨ」
グスタフが口を開く。
「北に戻るのも、風景が変わって真新しい旅になるらしい。」
「グスタフが帰りたいだけじゃ?」
「ああ。そろそろパートナーの顔を見たい。」
「南への旅が貴族のステイタスで、北は長期の滞在目的。東へ出る変わり者って
話を聞いたけど、最近手に入れられる東の書物は、面白い物が多いよね?」
キースが話をまとめた。
「時間はある。南に行って、たまに依頼を受けるのも楽しいな。」
暑い国と知っているセリは、持ち物の心配に思考を巡らせる。
手持ちの物はほとんど合わないなら、購入しないとな。
「僕はセリの実家の方が気になるけど?」
キースから話を振られ、セリは簡潔に答えた。
「元実家かな。傍系の家が乗っ取っちゃったし。」
その後、結婚を迫ってきていた子爵家はどうなったかな
孤児院に迷惑かけてないかが、やっぱ心配。
そんな様子を察せられたのか、ロードの提案があった。
「貿易街、セリの街に滞在してから南へ行くか。
今なら飛竜も平気な気候だ。」
「南か。旅っぽくて良いな!また貿易街に戻って、飛竜を置いて海に出て船で東に行くのも
目新しいくて良いな?」
「南はパスだケド、東は興味あるワ。」
「暑いのはパス。北なら寒くなる前に行こうかな?」
「北に行くまでに、仕事を終わらせよう。」
それそれが良いとこどりで参加を表明する。
「まずは、貿易街で準備、食い倒れだな!今の時期の酒もな。」
「そこから、カナンが南に着いてくる。
再び貿易街で落ち合えば、東に船で行ける。」
「ソレで東から、船で北に行くノ?大移動ねー。面白そう!」
乗り気なカナン、ロードが捕捉し、シュルトが日数を頭の中で計算する。
「王都に戻らず、北へ帰る?誰かに捕まるか、依頼を強制されそー。」
キースの指摘も尤もだ。高ランク冒険者が通れば、目立つ。
「北は、長期滞在しよう。冬を過ごすのも良い。」
グスタフは北に行きたい思いを隠さない。
「どうだ?」
リーダーへの確認に、メンバーの動きを合わせ長旅の予感に
胸を躍らせる。
『素敵な旅をしたい』セリの抱負ができた。
「何日か依頼を受ければ黙らせられる。
それで良いか?」
そうして、『竜の翼』が旅立つ事が決まったのだった。
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