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使用人?

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通り抜けた先には、骨。

「あ…これ、作り物だわ」


服が着せられた骨の骨格は、その場に崩れるようにあった。
「こほっ。何の部屋かしら…」

埃っぽい室内には机と棚。実験器具が見えたけど。
腕の力だけでは机の上さえ見えない。


「埋まったのかしら?埋めたのかも。」

僅かに光が入った地下室の光景をぼんやり見せる。
落ちていた紙を薄暗い中見れば、計算の後や薬品の跡?

研究室として使っていたみたい。

他の書類の束みたいなものを探りたいけど。

「いつ、動くようになるのかしら。この足!」
“もどかしさ”しかない。


奥までハイハイのように進んだ。この上を這っていくよりかは
埃がつかないでしょうと希望的に思いながら。

低い水場のコックを捻ると、水が出た。
土や染められてしまっている箇所があることから

採取した植物の洗う場とか?
染め物をする時に使う洗い場を想像させた。

綺麗に見える水だけど…
煮沸しましょ。飲み水はあるが、身体を拭きたい。
私、土だらけよ?


くたびれた布を濡らして足に貼る。ひと部屋移動するだけでも
この大変さだ。けど、また隣に行ってリュックと水の回収をしてと予定は詰まっている。

(軟禁されているより、立て篭もった方が危険じゃないわよね。)

「ふう」と埃っぽい空気に嫌気がさすも、ハイハイしてもうひと頑張りだ。


土っぽい鍋や火を使うための道具を集め、飴茶を飲む。

カッコ良く言ったけど、飴を口に入れて白湯を飲む。

「食料は…この葉っぱ食べられるかしら?」


足は相変わらず違和感がすごいけど、ちょっとはマシ?
ツツかれても大丈夫よ。走れそうにはないけどゆっくり一歩進める。


「ここに、篭りましょう」


庭と同じ土?屋敷の敷地内として助けを待つにも遠くに逃げ込むより
空気穴もあるし保存食があった。


「いつのかわからないけど」


火を通せばなんとか、立て篭もろう。
レナが無事だと信じて。

私は、他に何かないかと書類の束を解読していくことにした。





「いやあ。怖いなあ~。」

狩人姿の男が1人。もう1人は街道に転がり気を失っていた。

馬がいななき、転げ落ちたのだ。それを見ていた女は、
前髪の長い狩人姿の男に、細いナイフを向けていた。


「メイドの嗜みですから?」

にへらと愛想笑いをした、男のそれは本当っぽい顔。
メイド服のレナは、この男を訝しんでいたが冷静に観察する。


“御者をしていた男を、街道に転がしたのを見た。”

その上で
「“荷物”の積み込みと、御者をお願いできますか?」

否と言われたら、同じところに寝てもらおうと薬品を用意する。


「女性のお願いでしたら喜んで。」

態とらしく、騎士のように言った男。
その通りに、街道に転がった男を馬車に乗せる。


再び街へ向かったのだった。
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