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ミーラは薄暗く、土に埋まった地下んの部屋で書類を読んでいた。

とても文字を読むのには向いていない環境だが、その内容を興味深く見ている。

観察記録、薬液の計算に図解の草案のような束。

ここの主はマメな性格だったらしく、読みやすくまとまっている。
字は少し強い筆跡で、この部屋の光源でも読めるのに一役かっている。

記録の日時を見ると、前の伯爵様が残したものかな?


もし、旦那様達がここを私に調べて欲しかったとして。
考えすぎかもしれないけど。

何を探していたのかしら?


危険なものは、殺虫剤の作り方くらいだろうか。
薬品の残っているものも、特に危険なものはないように思うけど。


ラベリングされて、ほぼない薬品たち。
でも、ラベルのものが本当に入っているとは限らない?


そろそろ、よろつくけど歩けるくらいになった。
そもそも、私に使われた薬は何だろうか。

食べ物はレナと一緒のものをほとんど食べたし、
そうなら一緒に閉じ込めればいいんだもの。


人質は一人で私の方なのは、お金目的の誘拐として。
それならレナは無事よね?私がこの屋敷にいるって証言する必要があるもの。

その筋書きなら、


「オイ!女がいねえ。」
「あー。穴に入ったんじゃねーの?あの変なトコ。呼んでみろよ」

旦那様達の仲間かしら?


「こっちにはメイドがいるんだぞ!出てこい」

(嘘かな。)



「たおれてんじゃねーか?」
「死なすのはやばい!食い物の匂いで釣るぞ!」

私を何だと思っているの?お肉で令嬢を釣るって、バカなのね。


狩人姿の2人にしては、声が違うかな。別行動してた人達?ここで使用人とは思えない。

組織なのかな。伯爵家と密接な盗賊団、とか。
それにしては間抜けなような。

(あ、いい匂いしてきた。)


「これで出てくんだろ。昼飯食おうぜ」

時間がわかった。ひっそり、息を潜めていよう。


「おーい。生きてっか~?」
「確認した方が良いかな。」

「別に明日の昼には移動だし、それまで…」


(明日、昼に移動?)

重要な情報だ。というかダダ漏れって罠なのかしら?


それにしては…お粗末よね。令嬢相手って事で舐められているの?

レナが戻って来れるのも、今夜の内は難しいわよね。
明日が決戦のね。


出迎えられるように準備しなきゃ。


足は、もう走れるくらいには回復してるわ。
食べ物もあるし、

この部屋にあった保存食はやめておくけど。


使える薬品を集めて。
脱出路はあの穴だけ?


ちゃんと寝るのも大事ね。
私はこんなところでも寝れる令嬢なのよ?


とアイツの顔が浮かんだ。
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