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お見合い相手

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「住んでいるのは、隣の別邸だから。そうすると良いって。」

「そうする方が良いって。誰が?」

「父上の代から、お世話になっている親娘で、そこに住んでいてね。お隣さんが知り合いってだけだよ。」


そう話してくれた彼の笑顔を見れば、少しの違和感も霧散した。


その2日前。

私は、

見合いおばさんから連絡を受けた。
身内ではなく、知り合いの知り合い(遠い)

その人に紹介されたイケメン。

なんでも、指定された日に会える子が良いと突然の連絡で
急だがお見合いのセッティングとなったらしい。

「お会いして話すだけで良いから、来れるならどう?」

明るい、朗らかな声で言われると乗り気にもなる。
私、ミリアム・ウェンズデーは婚約者を探している。


結婚したいのだ。

お相手はどんな方かざっくり教えてもらった、
レインストール子爵、家持ち。

「結婚したら、ご両親と住むのね。」

好条件が出るのは、見合いの常識。その情報を鵜呑みにしたうダメだけど
お見合いのおばさまが確認してくれている情報でもあるから、まだ信頼できる方だ。

噂にも特に上っていない方だし、3歳年上なら学園でも会ったか怪しい。

「どんなものを持ってるかなあ。」良いところしかかかないのはまあ、わかる。

残念な性格?
趣味が悪い?
すごい秘密を持ってるとか?

「妥協と、今後にどうなるかよね。伸びしろよ。」


私の令嬢擬態能力もなかなかのもの。
これでも侯爵家の次女ですから?相手は自分で探す!って言っちゃったし。

ちょっおっと年齢を重ねた
大人の女に、なかなか縁がなかったけど。


彼、ケインの微笑みは蕩けるような眼福もので!
私には、祝福の鐘の音が聞こえた。

大成功と言える、時間を過ごして次の約束をして別れた。



「初対面オッケー!良い出会いを引いたわ」

なぜ彼にお相手はいないのかは、少し疑問だけど

「積極的なタイプじゃないのかしら?わからリードしないとね。」

次はご両親への顔合わせ。ここまですんなり約束を取り付けられたわ。
「もうすでに、結婚しちゃってる気分!」

上々の気分の勢いのまま

コーディネートを組み、次の約束の日を待った。


ご挨拶して、うちの両親とも会ってもらって

すでに私には、結婚式のドレスにデザインを妄想し始めていた。

振り返ってみても
この時点で浮かれるのはしょうがない。

だけど、その後の観察と注意力はいただけない?


いいえ、私は最善の選択をしたわ。
だって、あんな状況だったんだもの。

今、元気でいるんだから私に対応力もまあまあなものね。
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