【完結済み】魔王はせこい技しかありません

①召喚された俺

充実した毎日を送っているとたまに
昔の夢を見ることはないだろうか。

今日、見た夢がそうだった。
自分が動いているのがゲームのようで
だけど、その現実に合わせようと一生懸命になる。

起きれば夢だとその境界はわかるのに。
夢の中では当たり前に、いつかあった過去を
切り抜いて映像が使われたような、現実と虚実を編集された物語。


俺の事実で、現実味のない本当。


学生時代、彼女がいたこともあったが
自然消滅。涙は出たかもしれないが


それほど落ち込まなかった気がする。
予感があったし、呼び止めるほど思いも強くなかったのだろう。互いに。


よくいる男

そんな俺が目覚めたのは
黒基調の調度品のある寝室

1人で寝るのは広すぎて、12方向にローリングした初日。

夢じゃなかったと確信ていたが、順応性のある自分に驚いた。
知らない場所で、広いベッド。事実を受け入れ、軽く説明を受けた後
「お疲れでしょうから」と部屋に案内された訳だが、とりあえずその日は寝た。

そこまで、危機感や警戒感がなかったのは、
ここの雰囲気が好きなゲームと似ているし
住人も体育会系の能天気な空気が心地よい

わかりやすいのが良い。

説明や教え方が丁寧で好印象だ。
俺は1から説明してもらわないと理解ができないタイプで

真面目とか
社会に出てからは、面倒臭いと言われた。
上手く理解ができなかったのが原因なんだが。

『要領は良くないが、理解力はある』が俺の評価の常だった。

職場でも水が合わず、課の移動を3回短い期間に経験した。
必要ないと言われているようで、趣味の方に力を入れる！と決めて

地道に動画投稿をしていた人生だった。
もちろんパッとしない。


そんなおれに過度な期待をかけられても出せるものなど
「はぁ」いう情けないため息くらいのものだろう。
召喚でも勇者になれと言われず、巻き込まれるタイプだ。

今回は魔王の方だったけど。


そして！そんな俺が
動画で食っていけるようになるとわな！

去年の俺の願い『給料アップしますように』でまだ会社におる予定だったわ。

今のセキュリティ管理の仕事は、
罠に嵌めるゲーム
クリエイトするゲーム

を混ぜた感じ。
それに加えてこの世界の道具を組み合わせると？

あのエンターテインメント番組をもう一度！


懇切丁寧なインキュのフォローと視聴者さんのおかげで
人気がうなぎ上りの俺の動画たち。


動画配信の実況者に魔王という称号が付いただけ。
それもこれも、俺を呼び出した話から始まってそんなに時間がかかっていない。

このシステムと
俺とこの国の人たちとのウィンウィンな関係を説明しよう。

登録よろしくね！って頼む。それから、
次の動画アップを待っててくれ。


「呟きのフォローもよろしく」ってな。