<完結・7話 >目隠れ令嬢は何も見ていません!血の気の多い婚約パーティーは逃げたいですが、私が相手です!

BBやっこ

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4-決めた

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戦はなくとも魔物の討伐がある騎士

その真似事は違和感を抱かせず終われたようだ。


自国の令嬢に存在を気づかれなかった悲しさが少しはあるが。

だから、少し意趣返しに
彼女の前髪を、その瞳をのぞいたんだが。

(まさか、ね。)

自分の気持ちを精一杯抑えて、彼女と別れた。
立ち去る彼女の姿を焼き付ける。


「彼女が良い」

「決めたのか?」

影共が答えた。
乳兄弟でもある男は、影の性質とは違いお喋りだ。

もう1人は王子役をしている
そっちのが無口という正反対のようだよね。


「あの輪の中心で見えるものなんてない」

令嬢達が餌に群がる。

甲高い声
騎士達が抑える様子に、小柄な男は見えない。

「ドレスの海に沈んで溺れる一歩前だろう。」

「屍は拾う」

「死んでないと思うよ?」

魔物との戦い、死線をくぐり抜け生き延びた
男が、令嬢にやられるのは無念だろうな。


そんな危険地帯に送り込んだのは僕だが。
護衛の任務の一端として送り込んだ。


囮作戦だ。

生け贄は頑張っている。

これも王子をあの場から遠ざけ、安全を確保するため。

建前だが。

「父王も無茶を言う。」


あの、獲物を狙う令嬢達の檻に落とし込んで、運命を見つけろって?


「強くなければ、隣にも立てないが…」

「誰かは必要。」

「僕でだって可愛い奥さんが欲しいよ。」

でも、王家の一員に迎えるのに弱い者はたちまち狩られてしまうから。

王が守るだけであってはならない。
共に支え合う

腕力はいらない。虚勢の威嚇もだ。



「平伏せるものがあれば。
それを彼女が持っているだろうか?」



影の仕事に、令嬢の釣書が追加された。

家柄、人柄、学業の優良
最近の行動など。

調査は親戚から友人まで広がっていく。

パーティで餌にした従者を控えさせた執務室でそれらを眺める。
ひと言も話はしていないが、雄弁な視線で非難を受ける。

従者の役目ではない
影武者は護衛の本分に含まれるか?

あの肉食獣がいる檻の中は2度と入りたくはない。


そんな内容を感じつつも
王子は手に持つ絵姿に触れながら名前を呼ぶ

「マーテル嬢」


恋する男のため息だった。
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