逆さの神様

KeiKou色

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第二話

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「め、夫婦…?」
 何かの聞き間違いであることに期待して少女に聞き返してみる。
 しかし、帰って来た言葉は「うむ、そうじゃ♪」という、肯定の言葉だった。
(いきなり何なんだ…)
 まず、格好がおかしい。
 キツネの耳に和服姿、これは俗に言うコスプレというものだろう。
 しかし、格好についたはひとまずどうでもいい。
 問題は、恐らく初対面であろう男に、いきなりプロポーズをして来たことだ。
(何だ、新手の詐欺か?)
 とにかく、丁重にお断りすることにしよう。
「いや、ありがたいけど、普通に断る」
「なぜじゃ!?」
(当たり前だろ、何でいけると思ったんだ)
 というツッコミは心の中にしまっておく。
「何でって…この際、その格好のことは一旦置いておくとしも、初対面で名前も知らない人にいきなりプロポーズされてOKする人はいないと思うけど」
 俺がそう言うと、その少女は不思議そうな顔をしながら「初対面…?なるほど…そういうことか…とりあえず、せめて自己紹介だけでもして帰るかの」と、ボソボソ呟いている。
「よし分かった、今日は諦めよう」
 よかった、わかってくれたようだ。
 なんだか、これからも来そうな言葉が聞こえた気がするが、聞こえなかったことにすることにしよう。
「とりあえず、自己紹介くらいは聞いてくれると嬉しいのう」
 自己紹介か、自己紹介くらいならいいだろう。
「分かった」
「わしの名は逆島 桜さかしま さくら、よし、これで初対面でも名前を知らぬ人でもなくなったな、それじゃあ、また会おう」
 不穏な言葉を残して、ケモミミ少女は去っていく。
 結局、彼女は何だったのだろう。
(とりあえず、帰って寝よう)
そう思い、俺は家に帰った。

 結局、あいつは何だったんだろうか。
 昨日、あの公園で会ってから、ずっとあのケモミミ少女のことを考えている。
「何かの罰ゲームって雰囲気でも無かったしな…」
 罰ゲームでやった。なら、あの奇行も納得できる。
 しかし、
(あれは完全に自分の意志でやっている感じがしたんだよな)
 どういう理由であの行為に及んだのか。何か辛いことでもあったのだろうか?
 そんなことを考えながら、俺は昼飯を買いに家を出る。
 島のスーパーへ行くのに、神社を通る必要がある。
 神社には逆ノ神という神様が祀られているらしい。何でも、その神様は、大型犬くらいのキツネの姿をしているとか。
 そんなことを思い出しながら、その神社の前を通り過ぎようとしたとき、また、あの声がした。
「おぉ、お主、今度はそっちから来てくれたのか?嬉しいのう」
「……いや、別にあんたに会いに来たわけじゃないけど…」
「なんじゃ、そうなのか」
 何故か少し残念そうにしている。
 本当にこの人は何なのだろうか。
「あんた、何なんだよ、変な格好してるし、いきなりプロポーズしてくるし…」
「ん?わしか?昨日言ったじゃろ?逆島 桜じゃ」
「いや、名前じゃなくて…」
「そんなことより、どうじゃ、寄って行かんか?」
 そう言って、桜と名乗るコスプレ少女は、神社の方を指差した。
「いや、別に神社に用は無いし」
「いいからいいから」
 そう言って、コスプレ少女は俺の手を引いて神社へと連行する。
(何でこんな強引なんだよ…というか、力強!?)
 グイグイと引っ張られて、神社の中にある、とある建物の所まで連れて来られる。
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