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第九話
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それから、お昼までは特に何事も無く過ごす。釣りをしたり、周辺の森を歩いたりして、キャンプを楽しんでいた。
ただ、一つ気になることがあるとすれば、何だか妙に裕貴がソワソワしているというか。
「なぁ、裕貴。お前何かあったのか?何だか妙にソワソワしてるけど…」
「ん?いや、何も無いよ。ただ皆で遊ぶのが楽しくてソワソワしてるだけだよ」
そうか。それならいいんだけど。俺が気にし過ぎなだけかな。ダメだな、夢のことを引きずっているのかも知れない。あんまり深く考えないでおこう。用心にするにこしたことは無いけど、気にしすぎるのも良くないもんな。
「そっか、悪いな変なこと聞いて」
「おう」
そんな風に、少し違和感を感じながらも普通にキャンプを楽しむ。あっという間に辺りは暗くなって、今は焚き火の前でみんなで集まって話をしている。
「でさ、そん時にこいつが…」
「裕貴…俺が必死に忘れようとしてる話を思い出させないでくれよ」
「私はもっと聞いてたいです」
「桜まで…」
と、まぁこんな感じで他愛もない話を楽しみ、そろそろ夜も遅くなってきたということで、各々寝る準備も進めていく。ただ、トイレに行った裕貴が中々帰って来ない。
「遅いなぁ…」
「確かに…少し長すぎますね、途中で迷ってしまったんじゃ…」
逆上さんの言うとおり、迷ったんだろうか。さすがに心配になってきたし、一度見に行ってみようと「俺、ちょっと様子を見てくるよ」と二人に行って、トイレの方へと向かって行く。
トイレに着いたはいいものの、裕貴はいないみたいだった。
(入れ違いになったのかな…)
(念の為、この辺探してみようかな。あんまり奥の方へは入って無いといいんだけど…)
と、周囲を探していると、森の方に入って行く裕貴を見つけた。しかし、様子が変だ。呼んでも反応が無いから、急いで追いかけた。
(どこに向かってるんだ?テントの方とも違うし…)
相変わらず呼びかけても反応は無い。中々追いつけないから、とりあえずついて行ってるような状態だ。
どれくらい進んで来ただろう。気づけば、少し開けた場所に出たあたりで、裕貴が止まった。どうやらここが目的地らしい。
(こんな所があるのも知らなかったけど、何で裕貴はこんな所に?何かあるのかな)
そんな風に考えていたら、突然裕貴が口を開いた。
「ん、あれ…どこだここ…俺確かトイレに…って、明?何でこんな所に?」
「それはこっちのセリフだよ、帰って来るのが遅いから探しに来たら、裕貴は何か様子が変だし、ここに来るまで止まろうとしなかったし…覚えてないの?」
「何だそれ…全然覚えてねぇ…」
どうやら本当に覚えてないらしい。とりあえずみんなの所に戻りたいけど、どうやって来たか覚えて無いしな…どうしよう。
「とりあえず…早く戻らないとな…」
そんな風に話していると、何もいなかったはずの、正面の大きな木の所から声が聞こえてきた。
「む?呼んだのは一人のはずだったが、まぁよい、1匹も2匹も変わらぬ」
そいつは、一言で言うなら化け物だった。上半身が男、下半身が蛇の様になっているが、目は蛇のそれだ、口も大きく裂けていて牙もある。
「何だよ…あいつ…」
「分からない…けど…」
俺も裕貴も、今まで感じたことの無い恐怖を感じている。足が竦むとは、こういうことを言うのだろうか、全く動けない。
「俺は運が良い。あのよそ者の神がここらの妖共を退治して回っていた時も生き延びた。一人だけのつもりが二人になった」
そんな風なことを言いながら、ゆっくりとこちらに近づいて来る。早く動けないのか、それとも動く必要が無いと言うことか。とにかく、逃げないと…
「裕貴!」
「あ、あぁ!」
意図が伝わったようで、俺が走り出すと同時に裕貴も走り出す。
「む、逃げるつもりか。逃さぬ!」
さっきよりも速く、その化け物は追って来る。このままじゃ、いずれ追いつかれる。
「裕貴!このままじゃ追いつかれる!だから、俺が残って時間を稼ぐから!そのすきに逃げてくれ!」
「はぁ!?何言ってんだよ!このまま逃げようぜ!あと少しで…」「裕貴っ!危ない‼」
「明!!」
「裕貴!お前は早く逃げてくれ!早く!」
「絶対助けを呼んでくるから!それまで待ってろ!」
「クソっ…明…!」
(俺が油断したばっかりに、明が化け物に捕まっちまった。早く助けを呼んで来ないと…!)
どれくらい走ったかわからないが森の外に出ることはできた。後は助けを呼びに行くだけだけど…
「ここからじゃ、どう頑張っても1時間はかかるし…」
(化け物のことを伝えて信じてくれるのか…?いや、今は考えてる場合じゃないな…)
「今川君!?今までどこに…」
「心配してたんですよ?…所で、明…竹内君は?」
「逆上!逆島!明が…」
俺は今までのことを手短に二人に話した。
「二人はそのまま逃げてくれ!大人達にも声をかけて明を助けに行く…逆島?」
何だか、逆島の雰囲気が変わった様な気がする。なんというか、少し怖い。
「裕貴…栗美…主らは先に戻っておれ、わしが明を助けに行く」
逆島が助けに?ダメだ。自殺しに行く様なものだぞ!絶対に止めないと…
「何言って…相手は化け物だぞ⁉早く逃げ…」
「口答えするでない!早く逃げるんじゃ!」
それだけ言い残して、桜は森の奥へと走って行ってしまった。俺も追いかけようとしたけど、それは逆上さんに止められてしまった。
ただ、一つ気になることがあるとすれば、何だか妙に裕貴がソワソワしているというか。
「なぁ、裕貴。お前何かあったのか?何だか妙にソワソワしてるけど…」
「ん?いや、何も無いよ。ただ皆で遊ぶのが楽しくてソワソワしてるだけだよ」
そうか。それならいいんだけど。俺が気にし過ぎなだけかな。ダメだな、夢のことを引きずっているのかも知れない。あんまり深く考えないでおこう。用心にするにこしたことは無いけど、気にしすぎるのも良くないもんな。
「そっか、悪いな変なこと聞いて」
「おう」
そんな風に、少し違和感を感じながらも普通にキャンプを楽しむ。あっという間に辺りは暗くなって、今は焚き火の前でみんなで集まって話をしている。
「でさ、そん時にこいつが…」
「裕貴…俺が必死に忘れようとしてる話を思い出させないでくれよ」
「私はもっと聞いてたいです」
「桜まで…」
と、まぁこんな感じで他愛もない話を楽しみ、そろそろ夜も遅くなってきたということで、各々寝る準備も進めていく。ただ、トイレに行った裕貴が中々帰って来ない。
「遅いなぁ…」
「確かに…少し長すぎますね、途中で迷ってしまったんじゃ…」
逆上さんの言うとおり、迷ったんだろうか。さすがに心配になってきたし、一度見に行ってみようと「俺、ちょっと様子を見てくるよ」と二人に行って、トイレの方へと向かって行く。
トイレに着いたはいいものの、裕貴はいないみたいだった。
(入れ違いになったのかな…)
(念の為、この辺探してみようかな。あんまり奥の方へは入って無いといいんだけど…)
と、周囲を探していると、森の方に入って行く裕貴を見つけた。しかし、様子が変だ。呼んでも反応が無いから、急いで追いかけた。
(どこに向かってるんだ?テントの方とも違うし…)
相変わらず呼びかけても反応は無い。中々追いつけないから、とりあえずついて行ってるような状態だ。
どれくらい進んで来ただろう。気づけば、少し開けた場所に出たあたりで、裕貴が止まった。どうやらここが目的地らしい。
(こんな所があるのも知らなかったけど、何で裕貴はこんな所に?何かあるのかな)
そんな風に考えていたら、突然裕貴が口を開いた。
「ん、あれ…どこだここ…俺確かトイレに…って、明?何でこんな所に?」
「それはこっちのセリフだよ、帰って来るのが遅いから探しに来たら、裕貴は何か様子が変だし、ここに来るまで止まろうとしなかったし…覚えてないの?」
「何だそれ…全然覚えてねぇ…」
どうやら本当に覚えてないらしい。とりあえずみんなの所に戻りたいけど、どうやって来たか覚えて無いしな…どうしよう。
「とりあえず…早く戻らないとな…」
そんな風に話していると、何もいなかったはずの、正面の大きな木の所から声が聞こえてきた。
「む?呼んだのは一人のはずだったが、まぁよい、1匹も2匹も変わらぬ」
そいつは、一言で言うなら化け物だった。上半身が男、下半身が蛇の様になっているが、目は蛇のそれだ、口も大きく裂けていて牙もある。
「何だよ…あいつ…」
「分からない…けど…」
俺も裕貴も、今まで感じたことの無い恐怖を感じている。足が竦むとは、こういうことを言うのだろうか、全く動けない。
「俺は運が良い。あのよそ者の神がここらの妖共を退治して回っていた時も生き延びた。一人だけのつもりが二人になった」
そんな風なことを言いながら、ゆっくりとこちらに近づいて来る。早く動けないのか、それとも動く必要が無いと言うことか。とにかく、逃げないと…
「裕貴!」
「あ、あぁ!」
意図が伝わったようで、俺が走り出すと同時に裕貴も走り出す。
「む、逃げるつもりか。逃さぬ!」
さっきよりも速く、その化け物は追って来る。このままじゃ、いずれ追いつかれる。
「裕貴!このままじゃ追いつかれる!だから、俺が残って時間を稼ぐから!そのすきに逃げてくれ!」
「はぁ!?何言ってんだよ!このまま逃げようぜ!あと少しで…」「裕貴っ!危ない‼」
「明!!」
「裕貴!お前は早く逃げてくれ!早く!」
「絶対助けを呼んでくるから!それまで待ってろ!」
「クソっ…明…!」
(俺が油断したばっかりに、明が化け物に捕まっちまった。早く助けを呼んで来ないと…!)
どれくらい走ったかわからないが森の外に出ることはできた。後は助けを呼びに行くだけだけど…
「ここからじゃ、どう頑張っても1時間はかかるし…」
(化け物のことを伝えて信じてくれるのか…?いや、今は考えてる場合じゃないな…)
「今川君!?今までどこに…」
「心配してたんですよ?…所で、明…竹内君は?」
「逆上!逆島!明が…」
俺は今までのことを手短に二人に話した。
「二人はそのまま逃げてくれ!大人達にも声をかけて明を助けに行く…逆島?」
何だか、逆島の雰囲気が変わった様な気がする。なんというか、少し怖い。
「裕貴…栗美…主らは先に戻っておれ、わしが明を助けに行く」
逆島が助けに?ダメだ。自殺しに行く様なものだぞ!絶対に止めないと…
「何言って…相手は化け物だぞ⁉早く逃げ…」
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