逆さの神様

KeiKou色

文字の大きさ
11 / 12

第十一話

しおりを挟む
 桜と喋っていたら、学校が終わる時間になっていた。桜が裕貴と逆上さんが毎日御見舞に来てくれていたと言っていたから、もう少ししたら来るかもしれない。
「ん?もうこんな時間か。そろそろ二人が来る頃じゃな」
 桜も同じことを思ったようでそう呟いた。
「そうだね、いつもの姿になっといた方がいいんじゃない?」
「あぁ、そのことじゃが…」
 と、桜が何かを言おうとすると同時に病室の扉が開く。
「明~、今日も見舞いに…って、起きてんじゃん!」
「来たか明。すまんな、わしはけーたいとやらを持っておらんから、連絡してやれんかった。栗美はどうした?」
「あぁ、逆上さんならもうちょっとしたら来ると思うよ」
(あれ?桜が元の姿なことにも、口調が学校の時と違うことにもツッコまない?どういうこと?)と、困惑していると、その答えは桜が話してくれた。
「そうそう、さっきの話の続きじゃが」
 桜の話では、どうやら俺が森で裕貴を逃した後、裕貴は桜や逆上さんと合流して俺が化け物に襲われていると言うことを伝えた時、桜はいても立ってもいられなくなり普段の口調で裕貴達に逃げるよう伝えて俺の元まで駆けつけたらしい。それで後日、あれは何だったのかと事情をしてる逆上さんと共に、裕貴に問いただされて全部話した…というわけだった。
「いきなりでびっくりしたんだけどさ。実際明を助けてくれたのは桜だし…色々飲み込むしかなくてさ。それに、神社の巫女さんやってる栗美までそう言うんだもんな…」
「俺も初めて聞かされた時はびっくりしたし、桜の口から言われた時は信じられなかったし…」
「お主ら…もう少しわしの言うことを信じてもバチは当たらんと思うが?」
 そうは言われても、いきなり自分は神だと言われて信じる人の方が少ないと思う。なんて思っていたら、また病室のドアが開く。
「失礼します。竹沢君、大丈…あ!目を覚したんですね!大丈夫ですか!?」
 何だか今の光景、既視感があるな~なんて思いながら「うん、大丈夫。傷もそんなに痛く無いし」と、返す。
「よかったです」
 桜や裕貴がいることに触れない所を見ると、本当に毎日来てくれていたんだなと実感する。
「みんな、ありがとう。桜から聞いたよ。毎日来てくれてたんだよね」
「当たり前だろ!親友なんだし、こっちはお前に助けられたんだぞ!」
「友達が大変な時に来ない人なんていませんよ」
 と、裕貴達が即答してくれる。俺はいい友達を持ったなと思っているとの桜が「わしも毎日来ておったのだが…」と呟いていた。
(そっか、桜にもお礼言って無かったな)
「逆島さ…」
 普段、みんながいる前での呼び方で呼ぼうとすると、桜が「桜でよい、もうここにいる者達は大体知っておる。それに、桜と呼ばれる方がわしは好きじゃ」
「そっか、それじゃあ桜も、毎日ありがとう」
 そう言うと、桜は満足そうに「うむ、それでよい」とニッコリ笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...