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第1話 異世界追放
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平民出身でありながら、聖剣に選ばれて勇者になった俺――アルスは、長きにわたる旅の末、邪神の討伐に成功した。
歓喜とともに王都に帰還した俺に待ち受けていたのは、フロンディア王国の国王ガルフェンによる驚くべき宣告だった。
「邪神を討伐した今、邪神をも超える勇者という存在は、民にとって新たなる恐怖を生み出すだけ。よって勇者アルスをこの世界から追放する!」
勲章授与の場になるはずだったその場所で、ガルフェン王は高らかにそう告げた。
「な……っ!」
驚愕とともに、俺は周囲を見渡す。
だが、既にこの話を知っていたのが、ここにいる貴族たちに動揺は見られなかった。
「どういうことですか? なぜ、私が追放されなければならないのですか?」
尋ねると、国王は歪な笑みを浮かべる。
「今言ったことが理解できなかったか? 邪神を上回る実力を誇る貴様は、邪神以上の災厄をこの世界にもたらす可能性があるということだ。そんな状況では民が安心して日々を送ることができない。それは我が国にとって、いや、世界中全ての人々にとって望むことではない!」
すると、この場に参列していた周辺国家の貴族たちも含めた全員が、そうだそうだと賛成の意を示す。
俺を追放することは、ここにいる彼ら全員の願いらしい。
その光景はさながら、共通の敵を排除しようとする者たちの主張にも見えた。
ああ……そういうことか。
それを見て、俺はようやく理解した。
彼らが守りたいのは民ではなく、自分自身の立場なのだろう。
邪神は、およそ200年周期でこの世界に現れる。
そのたびに新しい勇者が誕生し、邪神を倒してきたのだ。
邪神討伐後、勇者は世界の英雄として、世界中の誰よりも大きな権力と名声が与えられてきた。
俺は平民の出。聖剣に選ばれていなければ、そもそも彼らと話すことさえ許されない存在。
そんな俺が彼らより上の存在になることは、とても許せることではないらしい。
さて……問題はここから、俺がどうするかだ。
10秒もあればここにいる奴らを全員粉くずに変え、その後世界を支配することもできるだろうが、それだとこいつらが危惧していた通りの未来になってしまう。
さすがにそれは避けたいところだ。
なら、素直に追放を受け入れる?
正直に言って、俺はもう疲れた。
人々のために勇者として必死に戦い、無事に戻ってきたと思えばこの仕打ち。
俺を知っている人が誰もいない世界に行ってみたい、という気持ちは確かにある。
だけど――
「お言葉ですが、私がいなくなれば邪神がすぐに復活すると思います。というのも――」
「ええい、しつこいぞ! 次に邪神が現れるとすれば、200年以上先の未来、それは確定した事実だ! 無駄な足掻きはやめろ!」
――1つだけ大きな問題があることを忠告しようとしたのだが、それすらガルフェン王によって止められる。
ここにきて本当に、この世界のためにこれ以上何かをしてやる気持ちが消え失せた。
俺の無言を、了承の意と捉えたのだろうか。
ガルフェン王は薄汚い笑みを浮かべると、満足げに言った。
「ふむ、理解してくれたようだな。それではさっそく転移魔法を発動しよう。と、その前に……」
ガルフェン王の従者が俺に近付き、地面に置いていた聖剣を取っていく。
「この聖剣は我が国に伝わる秘宝ゆえに返してもらうぞ。仮に貴様が言ったように、邪神がすぐにでも復活するようなことがあれば、新たな勇者が現れて討伐してくれるであろう。安心するといい!」
もはや俺には反論する気もなかった。
その後、俺を中心として巨大な魔法陣が出現する。
「世界中の人々から魔力を集めて使用する、我が国に伝わる最大の魔法である。それでは発動せよ!」
ガルフェン王の言葉に応じるように、魔法陣が眩い光を放つ。
そして、俺はこの世界ではない、別の世界に転移するのだった――――。
歓喜とともに王都に帰還した俺に待ち受けていたのは、フロンディア王国の国王ガルフェンによる驚くべき宣告だった。
「邪神を討伐した今、邪神をも超える勇者という存在は、民にとって新たなる恐怖を生み出すだけ。よって勇者アルスをこの世界から追放する!」
勲章授与の場になるはずだったその場所で、ガルフェン王は高らかにそう告げた。
「な……っ!」
驚愕とともに、俺は周囲を見渡す。
だが、既にこの話を知っていたのが、ここにいる貴族たちに動揺は見られなかった。
「どういうことですか? なぜ、私が追放されなければならないのですか?」
尋ねると、国王は歪な笑みを浮かべる。
「今言ったことが理解できなかったか? 邪神を上回る実力を誇る貴様は、邪神以上の災厄をこの世界にもたらす可能性があるということだ。そんな状況では民が安心して日々を送ることができない。それは我が国にとって、いや、世界中全ての人々にとって望むことではない!」
すると、この場に参列していた周辺国家の貴族たちも含めた全員が、そうだそうだと賛成の意を示す。
俺を追放することは、ここにいる彼ら全員の願いらしい。
その光景はさながら、共通の敵を排除しようとする者たちの主張にも見えた。
ああ……そういうことか。
それを見て、俺はようやく理解した。
彼らが守りたいのは民ではなく、自分自身の立場なのだろう。
邪神は、およそ200年周期でこの世界に現れる。
そのたびに新しい勇者が誕生し、邪神を倒してきたのだ。
邪神討伐後、勇者は世界の英雄として、世界中の誰よりも大きな権力と名声が与えられてきた。
俺は平民の出。聖剣に選ばれていなければ、そもそも彼らと話すことさえ許されない存在。
そんな俺が彼らより上の存在になることは、とても許せることではないらしい。
さて……問題はここから、俺がどうするかだ。
10秒もあればここにいる奴らを全員粉くずに変え、その後世界を支配することもできるだろうが、それだとこいつらが危惧していた通りの未来になってしまう。
さすがにそれは避けたいところだ。
なら、素直に追放を受け入れる?
正直に言って、俺はもう疲れた。
人々のために勇者として必死に戦い、無事に戻ってきたと思えばこの仕打ち。
俺を知っている人が誰もいない世界に行ってみたい、という気持ちは確かにある。
だけど――
「お言葉ですが、私がいなくなれば邪神がすぐに復活すると思います。というのも――」
「ええい、しつこいぞ! 次に邪神が現れるとすれば、200年以上先の未来、それは確定した事実だ! 無駄な足掻きはやめろ!」
――1つだけ大きな問題があることを忠告しようとしたのだが、それすらガルフェン王によって止められる。
ここにきて本当に、この世界のためにこれ以上何かをしてやる気持ちが消え失せた。
俺の無言を、了承の意と捉えたのだろうか。
ガルフェン王は薄汚い笑みを浮かべると、満足げに言った。
「ふむ、理解してくれたようだな。それではさっそく転移魔法を発動しよう。と、その前に……」
ガルフェン王の従者が俺に近付き、地面に置いていた聖剣を取っていく。
「この聖剣は我が国に伝わる秘宝ゆえに返してもらうぞ。仮に貴様が言ったように、邪神がすぐにでも復活するようなことがあれば、新たな勇者が現れて討伐してくれるであろう。安心するといい!」
もはや俺には反論する気もなかった。
その後、俺を中心として巨大な魔法陣が出現する。
「世界中の人々から魔力を集めて使用する、我が国に伝わる最大の魔法である。それでは発動せよ!」
ガルフェン王の言葉に応じるように、魔法陣が眩い光を放つ。
そして、俺はこの世界ではない、別の世界に転移するのだった――――。
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