魔術学院の最強剣士 〜初級魔術すら使えない無能と蔑まれましたが、剣を使えば世界最強なので問題ありません。というか既に世界を一つ救っています〜

八又ナガト

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第一部 最弱魔術師から最強剣士への成り上がり

24 同行、そして

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「くそっ、なんでアイツが第一学園に入れるんだ!」

 俺――ヌーイ・フランジェは王都の路地裏で一人、壁に殴りながらそう叫んだ。
 鬱憤が溜まりすぎていたからだ。

 アイツとはクズルークのことだ。
 ほんの少し前までアイツは魔術を使えない落ちこぼれだった。
 第二学園ではトップクラスの実力を持つ俺にとって、怒りを発散する対象でしかなかった。

 けれどアイツは突如として様々な結果を残し始めた。
 Aランク依頼を達成したとか、転入試験でAランクパーティを圧倒したとか。
 それで第一学園に入れることになったなどと聞いても納得できるわけがない。

 アイツは雑魚だったはずだ! 俺より弱かったはずだ!
 絶対に不正をしているはずだ! だというのに兄のミカオーも、学園長も、アイツの実力は本物だとほざく!
 冷静な判断ができないクズばかりだ!

「本当は俺の方が何倍も、クズルークより――」
「あら、いい憎しみの色ね」
「――ッ」

 突然聞こえた女性の声に驚きそちらに視線を向ける。
 さらなる衝撃の光景がそこにはあった。
 その美しい女性の頭には角が二本伸びており、さらに背中から黒色の羽が生えている。
 ――魔族。その単語が頭を過った。

「お、お前は……」
「そんなことはどうでもいいでしょう? 大切なのは貴方が復讐したいと考えているかどうかよ」
「……復讐?」
「そうよ。憎らしい相手がいるのでしょう? クズルークくんだったかしら? その者を殺したいとは思わない? 私ならそのための力を与えられるわ」
「ち、から……」

 頭がぼんやりとし、女性の言葉が内部まで浸透していくかのようだった。
 疑うこともできないまま、俺は手を伸ばす。

「ああ、アイツを、殺すための力が、ほしい」
「ふふふ、契約は成立ね」

 瞬間、俺の足元に魔法陣が現れる。
 そこから溢れ出る魔力の奔流が俺に力を与えてくれる。

 ああ、これならアイツを殺すことができる。
 そう確信できるだけの力だった。

「これで騒ぎくらいは起こせるかしら? まあどっちでもいいのだけど」

 あまりの力に興奮していたからか、その言葉を俺は聞き逃すのだった。


 ◇◆◇


 俺とティナが冒険者ギルドに登録してから数日。
 既に幾つものAランク依頼を達成している俺たちに、フルールから呼び出しがあった。
 その場で一つのお願いをされた。

「他の冒険者の依頼に同行してほしい?」
「うん、その通り。ルークさんとティナさんの実力はもう疑うべくもないからね。溜まっていたAランクの依頼も片付いたし、今は手持ち無沙汰でしょ? だからよかったらなんだけど」
「うーん、俺はいいけど。ティナはどう思う?」
「お兄様と一緒ならば、私はどこでも構いませんわ」
「そうか、分かった。フルール、今の会話の通りだ。同行しても構わない」
「本当に!? ありがとう二人とも!」

 フルールはそう言って、嬉しそうに跳びはねる。
 ちなみに彼女の頼みもあって、俺はここでは言葉を崩すようになった。
 ティナは相変わらずだが。

 それから改めて、ダンジョン攻略に挑むメンバーが集められた。
 俺とティナを除いて10人ほどだ。

「ここにいるのは一つのCランクパーティのメンバーだよ。彼らを連れてBランク依頼に挑んでもらいたいんだ。依頼内容は王都の南にある遺跡の奥にいる魔物、グラウンドリザードの討伐。順調にいけば一日で帰ってこれる場所だから安心して行ってきてほしい」
「ああ、分かった」

 冒険者たちも、俺とティナが同行することに文句はないようだ。
 それどころかほっと安堵している者もいる。
 歓迎してくれるのなら、それに越したことはない。

「……ん?」

 その中で一人、違和感のある人物に気付いた。
 ローブを羽織っているため顔を窺うことができず、何を考えているのかが分からない。
 気配から察するにCランク程度の実力だとはとても思えないが、何か事情があるのだろう。
 とりあえず触れないことにしておく。

 気を取り直し、集まった冒険者たちに告げる。

「じゃあ行こうか。とは言っても俺たちはあくまで同行だ。基本的には皆で依頼達成することを目指してほしい。誰か指揮を取れるものはいるか?」
「ああ、俺がこのパーティのリーダーのカルドだ。もう少しでBランクに上がれそうなんだが、その前に実戦経験を積んでおきたくてな。Aランクの二人がついてきてくれるなら百人力だ。どうかよろしく頼む」

 カルドは見た目は二十代半ば程の、魔術師としては珍しい鍛え上げられた肉体を持つ男性だった。
 人当たりのいい印象を受ける。

 その後、他のメンバーからも軽く自己紹介を受けた後、俺たちはギルドを出発した。
 ローブの男の名はセマーカというらしい。
 どこかで聞いたことのあるような声だったが、思い出せなかった俺は考えるのをやめた。

「それでは行きましょう、お兄様!」
「っと」

 ティナが俺の腕を抱きしめた瞬間、鋭い視線が向けられた気がしたが無視することにしておいた。
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