魔術学院の最強剣士 〜初級魔術すら使えない無能と蔑まれましたが、剣を使えば世界最強なので問題ありません。というか既に世界を一つ救っています〜

八又ナガト

文字の大きさ
43 / 55
第二部 剣神と呼ばれた男

46 ピスタ村 魔物大発生

しおりを挟む
 ラピス遺跡までの旅路は比較的順調に進んだ。
 比較的といったのは、普通のパーティなら壊滅しそうなBランク以上の魔物に何度か遭遇したが、このパーティの前では全く敵ではなかったからだ。
 自分で言うのもなんだが、少し強すぎる。

 そんなこんなで、王都を出発してから四日後。
 予定よりずいぶん早く、俺たちはラピス遺跡のすぐ近くにあるピスタ村に辿り着こうとしていた。
 村まであと数キロと迫った時、俺とレオノーラは同時に立ち上がった。

「この気配は……」
「うん、魔物がいるな。それも大量に!」

 俺の物理感知と、レオノーラの魔力感知が大量の魔物の気配を捉えたのだ。
 僅かに遅れて、ティナとユナも気付く。

「急ぐぞ!」

 俺たちは馬車を降りて、身一つで駆け出した。
 ものの数十秒で辿り着いたその場所には、目を疑うような光景が広がっていた。

「この魔物たちは!」
「ワイバーンですね!」

 体長3メートル近くにも及ぶ怪鳥――Aランク魔物ワイバーンの群れがそこには存在していた。
 数は100体を超えているだろうか。
 これだけでも相当な脅威だが、それだけでは終わらなかった。

 ワイバーンの群れの先にあるピスタ村から、ワイバーンを超える強力な気配を感じる。
 どうやら急ぐ必要があるみたいだ。
 しかしワイバーンも放っておけない。
 俺はすぐさま、二手に分かれるべきだと判断した。

「レオノーラとティナはワイバーンの群れの討伐にあたれ! 俺とユナは先にピスタ村に向かう!」
「ああ!」「はい!」「うん!」

 大規模魔術が得意な二人を残すという意図を三人とも理解してくれたようだ。
 了承の言葉をもらった後、俺とユナはワイバーンの群れの中を駆けて行った。
 俺の速度とユナの防御力をもってすれば、被害を受けることなく突破するのは容易い。

 そうして辿り着いたピスタ村は、悲惨な状態だった。
 家屋は潰され、人々が必死になって逃げまどっている。
 そんな中、一際目立つ巨大な魔物が存在していた。
 体長10メートルを超える巨躯を持つ、茶色の鱗に覆われた最強の竜種――アースドラゴン。
 Sランク上位の、国の騎士団が総出で立ち向かい、半数が犠牲になってようやく討伐できるレベルの敵だ。

「どうしてそんな魔物がこんなところに……」

 ラピス遺跡にはAランク以上の魔物がいるとは聞いていたが、最深部に生息しており、外に出てくることはないはずだ。
 ということはあの魔物は外部から現れたと考えるのが自然だろう。

 何はともあれ、いつまでも思考していられる余裕はなかった。
 一時的に動きを止めていたアースドラゴンが再び動き出したからだ。
 逃げ遅れた人々が集まる場所に向かい、雄叫びを上げながら進行していく。

「グォォォオオオオオオオオオオオオ!」

 大地が震え、鼓膜が破れそうになるほどの巨大な雄叫び。
 この環境で声は通らないと判断した俺は、アイコンタクトでユナに指示を出す。

 ――俺がアースドラゴンを倒す。ユナは人々を守ってくれ。

 こくりと、ユナが頷く。
 それを確認した俺は剣を構え、高速でアースドラゴンに迫る。

「――――喰らえ」

 背後から放たれた鋭い斬撃。
 だが、アースドラゴンはその巨体に見合わない素早い動きで斬撃を回避する。
 しかしその程度は織り込み済み。
 俺はアースドラゴンの懐に潜り込むと、胴体目掛けて剣を振り上げる。

「はぁあああ!」
「グルァァアアア!」

 切り裂かれた胴体から勢いよく血飛沫が上がる。
 アースドラゴンは完全に俺をターゲットに定めたのか、二つの金色の目で見下ろしてくる。
 相手がどんな行動を起こすのか注意しながらも、俺は連撃を加えていく。

 そんな俺たちの戦いぶりを見た村人たちは、各々に驚愕の声を上げていく。

「な、何が起きてるんだ? あの少年がアースドラゴンと戦っているのか?」
「最上級魔術でも傷一つ付かないような相手だぞ!? あんな訳の分からない武器で勝てるはずない!」
「でも、ちょっとずつ押していってるような……」

 動揺と驚愕に支配された村人たちのもとにユナが合流する。

「安心して! もう大丈夫だよ! ルークならあの程度の魔物、簡単に倒して見せるから!」
「あ、貴女も彼の仲間なのですか? ――危ない、ワイバーンが後ろに!」
「平気だよ。気付いてるから――えいっ!」
「ギャウッ!?」

 ドンッ、という鈍重な音と共に、ワイバーンの断末魔が聞こえる。
 ユナは問題なく他のワイバーンを倒してくれているようだ。

「なら、こっちも頑張らなくちゃな」

 この一分足らずの攻防で理解した。
 アースドラゴンは確かに強力だが、俺の敵ではない。
 力も、反射速度も、勘も、全てにおいて俺を下回っている。

「グルゥ、グラァァアアアアアアア」
「――む」

 アースドラゴンは真正面から立ち向かっても俺に勝ち目がないと悟ったのか、自身のみが持つ翼を羽ばたかせ空高く舞う。
 そして巨大な口を開け、莫大な魔力を溜めだす。
 空中から一方的に攻撃を仕掛けてくるつもりなのだろう。

 けれど甘い。
 空中にいる敵と戦ったことは、一度や二度ではない。

 俺は大地を蹴り飛び上がった後、さらに空を蹴り、空中を加速しながら駆けあがっていく。
 そして俺はアースドラゴンに向け、剣を振り下ろした。

「クラディウス・アーツ流、一の型――天地」

 シュンと、いとも容易くアースドラゴンの体が真っ二つになる。
 同時にアースドラゴンの口に溜まっていた莫大な魔力が行き場をなくし、盛大な爆発を生み出した。

 その爆風を背に受けるようにして、俺は無事に着地する。
 アースドラゴンの討伐完了を確認した俺は、残りのワイバーンも全て倒しティナたちと合流した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件

言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」 ──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。 だが彼は思った。 「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」 そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら…… 気づけば村が巨大都市になっていた。 農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。 「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」 一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前! 慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが…… 「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」 もはや世界最強の領主となったレオンは、 「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、 今日ものんびり温泉につかるのだった。 ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!

転生無双学院~追放された田舎貴族、実は神剣と女神に愛されていた件~

eringi
ファンタジー
「役立たず」と呼ばれ、貴族家を追放された少年エリアス。 すべてを失った彼が辿り着いたのは、見捨てられた古の神殿。 そこで眠っていた「神剣」ルミナと「女神」セリアに出会い、隠された真の力――“世界の法則を書き換える権能”を得る。 学院で最底辺だった少年は、無自覚のまま神々と王族すら凌駕していく。 やがて彼の傍らには、かつて彼を見下した者たちが跪き、彼を理解した者たちは彼に恋をする。 繰り返される“ざまぁ”の果てに、無自覚の英雄は世界を救う。 これは、「追い出された少年」が気づかぬうちに“世界最強”となり、 女神と共に愛と赦しとざまぁを与えていく物語。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

処理中です...