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第二部 剣神と呼ばれた男
47 魔族の目的
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アースドラゴンとワイバーンの群れを討伐した後、ピスタ村の者たちに一ヵ所に集まってもらい、事情を聞くことにした。
俺たちが辿り着いたタイミングが良かったらしく、怪我人はともかく死者は一人も出ていないということで胸をほっと撫でおろした。
しかしその後の説明を聞き、安堵していられる状況ではないことを悟る。
「何者かが魔物を操って連れてきただと?」
「ええ、そうなのです。フードを被った五人組の男女が、あの強力な魔物たちをこの村に解き放ったのです。あまりにも現実離れした出来事に、私たちはこれは夢なのではないかと錯覚いたしました」
村長の説明によると、その五人はこう告げていたらしい。
ラピス遺跡は我々が支配する。そのために都合のいいピスタ村も占領させていただくと。
五人組は魔物たちを解き放った後、結果を見るまでもなくラピス遺跡に向かったらしい。
それがおよそ10分前のこと。
――ラピス遺跡にはまだ、その五人組がいる。
それらの情報を聞いた俺たちは、全員が同じ答えに辿り着いた。
「魔族だな」
魔物を操ることができるのは魔族だけだ。
相手の正体は分かったが、それ以外に疑問点が残る。
「しかし、魔族はなぜラピス遺跡を支配しようとしているのでしょうか?」
そんなティナの疑問にレオノーラが答える。
「ふむ。やはり一番に考えられるのはラピス遺跡で入手できる何かを必要としているからだろう。そして私たちが今回受けた依頼の内容と合わせて考えれば、おのずと答えは出る」
「――――魔硬石だね」
ユナの言葉に、俺たち三人は頷いた。
人族が起死回生の一手として考えている程の素材だ。
魔族に使用されては、こちらに勝ち目がなくなる。
俺は他の三人を見渡し告げる。
「それじゃあ、これからの方針についてだが――改めて相談するまでもないか」
「はい、お兄様。取れる策は一つかと」
「そうだね。もう覚悟はできてるよ」
「ああ、さっそく修行の成果を見せられる時が来たようだ」
全員の体は一つの方向に向けられていた。
――すなわち、ラピス遺跡の方向に。
「じゃあ簡潔に確認だ。俺たち四人はこれからラピス遺跡に挑む。魔族と遭遇した際には討伐を試み、その上で魔硬石を採掘する。これで大丈夫だな?」
三人がこくりと頷いたのを確認し、俺は一度だけ深呼吸する。
「よし、行こう」
魔族五人の討伐、および魔硬石の採掘。
それらを目標にした遺跡攻略がいま、始まった。
◇◆◇
ルークたちが出発したのと同時刻。
歴戦の冒険者パーティが数日がかりで攻略すると言われている(それでも失敗するときの方が圧倒的に多い)ラピス遺跡を、僅か10分で中間地点にまで辿り着いた五人組がいた。
Aランク魔物であるサイクロプスが数十体、死体となって転がっている中を優雅に歩いていく。
その中でも先頭にいる者が、嬉しそうに口を開いた。
「ふふ、人間界の魔物は素敵ね。わたくし達のような強者を前にしても無防備に襲い掛かってくれるのですもの。なぶりがいがあります」
そう告げるのは、鮮血のような真っ赤な長髪を靡かせる女魔族だった。
そんな彼女に、周りにいる四人のうち最後尾にいる銀髪の男魔族が反応する。
「マギサ、無駄な時間を取らせるな。こんな魔物一秒足らずで倒せるだろう」
「あらあら、面白みのない方だこと。これだから奴隷上りは好みではないのですわー―奴隷そのものは好いていますけれど」
「……なるほど、死にたいと言ったのかお前は」
「あら、やりますの? ならそれでも構いませんが」
険悪な雰囲気になりかけた場面で、茶髪のツインテールを揺らす一人の女魔族が間に入る。
「まあまあ落ち着きましょうマギサ様、クレアス様。今日はアタシたちの悲願が叶う日なんですから」
「……そうね。あの人に会えることを考えれば、こんな些事気にもならないわ」
「……カテーナ。そうだな、もとより僕はそれだけを目的にここまで来たのだから」
普段は協力することのない魔族たちも、今回だけは例外だった。
何故なら彼らには一つの目的があったから。
それさえ叶えば世界全土を得ることさえ可能な野望。
すなわち――
「さあ、行こう。魔王様の復活まで、あと少しだ」
世界最大の危機が迫ろうとしていた。
俺たちが辿り着いたタイミングが良かったらしく、怪我人はともかく死者は一人も出ていないということで胸をほっと撫でおろした。
しかしその後の説明を聞き、安堵していられる状況ではないことを悟る。
「何者かが魔物を操って連れてきただと?」
「ええ、そうなのです。フードを被った五人組の男女が、あの強力な魔物たちをこの村に解き放ったのです。あまりにも現実離れした出来事に、私たちはこれは夢なのではないかと錯覚いたしました」
村長の説明によると、その五人はこう告げていたらしい。
ラピス遺跡は我々が支配する。そのために都合のいいピスタ村も占領させていただくと。
五人組は魔物たちを解き放った後、結果を見るまでもなくラピス遺跡に向かったらしい。
それがおよそ10分前のこと。
――ラピス遺跡にはまだ、その五人組がいる。
それらの情報を聞いた俺たちは、全員が同じ答えに辿り着いた。
「魔族だな」
魔物を操ることができるのは魔族だけだ。
相手の正体は分かったが、それ以外に疑問点が残る。
「しかし、魔族はなぜラピス遺跡を支配しようとしているのでしょうか?」
そんなティナの疑問にレオノーラが答える。
「ふむ。やはり一番に考えられるのはラピス遺跡で入手できる何かを必要としているからだろう。そして私たちが今回受けた依頼の内容と合わせて考えれば、おのずと答えは出る」
「――――魔硬石だね」
ユナの言葉に、俺たち三人は頷いた。
人族が起死回生の一手として考えている程の素材だ。
魔族に使用されては、こちらに勝ち目がなくなる。
俺は他の三人を見渡し告げる。
「それじゃあ、これからの方針についてだが――改めて相談するまでもないか」
「はい、お兄様。取れる策は一つかと」
「そうだね。もう覚悟はできてるよ」
「ああ、さっそく修行の成果を見せられる時が来たようだ」
全員の体は一つの方向に向けられていた。
――すなわち、ラピス遺跡の方向に。
「じゃあ簡潔に確認だ。俺たち四人はこれからラピス遺跡に挑む。魔族と遭遇した際には討伐を試み、その上で魔硬石を採掘する。これで大丈夫だな?」
三人がこくりと頷いたのを確認し、俺は一度だけ深呼吸する。
「よし、行こう」
魔族五人の討伐、および魔硬石の採掘。
それらを目標にした遺跡攻略がいま、始まった。
◇◆◇
ルークたちが出発したのと同時刻。
歴戦の冒険者パーティが数日がかりで攻略すると言われている(それでも失敗するときの方が圧倒的に多い)ラピス遺跡を、僅か10分で中間地点にまで辿り着いた五人組がいた。
Aランク魔物であるサイクロプスが数十体、死体となって転がっている中を優雅に歩いていく。
その中でも先頭にいる者が、嬉しそうに口を開いた。
「ふふ、人間界の魔物は素敵ね。わたくし達のような強者を前にしても無防備に襲い掛かってくれるのですもの。なぶりがいがあります」
そう告げるのは、鮮血のような真っ赤な長髪を靡かせる女魔族だった。
そんな彼女に、周りにいる四人のうち最後尾にいる銀髪の男魔族が反応する。
「マギサ、無駄な時間を取らせるな。こんな魔物一秒足らずで倒せるだろう」
「あらあら、面白みのない方だこと。これだから奴隷上りは好みではないのですわー―奴隷そのものは好いていますけれど」
「……なるほど、死にたいと言ったのかお前は」
「あら、やりますの? ならそれでも構いませんが」
険悪な雰囲気になりかけた場面で、茶髪のツインテールを揺らす一人の女魔族が間に入る。
「まあまあ落ち着きましょうマギサ様、クレアス様。今日はアタシたちの悲願が叶う日なんですから」
「……そうね。あの人に会えることを考えれば、こんな些事気にもならないわ」
「……カテーナ。そうだな、もとより僕はそれだけを目的にここまで来たのだから」
普段は協力することのない魔族たちも、今回だけは例外だった。
何故なら彼らには一つの目的があったから。
それさえ叶えば世界全土を得ることさえ可能な野望。
すなわち――
「さあ、行こう。魔王様の復活まで、あと少しだ」
世界最大の危機が迫ろうとしていた。
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