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第1章
第52話:連合勇者会議(朱音side)
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高天井のホールに、厳かな鐘の音が響く。
四大国の代表者たちと、その加護を受けし勇者たちが、一堂に会する時が来た。
列席するのは、各国の重鎮たち。
その中心に玉座の隣に設けられた、四つの紋章が刻まれた勇者席に、異なる空気を纏う四人が座していた。
「全員そろったな……これが、世界を救う四人の勇者様ってわけか」
そう皮肉気に笑ったのは、グラディア王国の勇者、レグナ・ブラッドフォード。
背もたれにだらしなく座り、片足を組んで腕を広げていた。
その目は、まるで獲物を選ぶように他の勇者を舐めまわしている。
「……品がないですね」
隣席で冷静に言葉を返したのは、デルオルス王国の勇者アメリア・アルフォード。
無駄な感情を含まないその声音に、レグナは鼻を鳴らした。
「へぇ? 俺に説教か?」
「いえ。ただ、場に相応しくないだけです。……あなたの軽率な振る舞いを正すべきだと申し上げただけです」
ぴたりと張りつめる空気。
だがその緊張を、風のように切り裂く声が間に入った。
「まぁまぁ、落ち着こうよ。みんな、国は違っても一応仲間……ってことでしょ?」
そう言って手を挙げたのは、リグゼリア王国の勇者、瀬名 隼人。
いつものように飄々とした笑みを浮かべつつも、その目だけは全員の顔をじっくり観察していた。
「ハァ? 仲間ぁ? 笑わせんなよ」
レグナの言葉に、隼人は肩をすくめて返す。
「うーん、確かに仲間って感じじゃないかもね。必要なくなったら、自然と離れちゃいそう」
「なにそれ、なにかっこつけてんの。キモ……」
口を挟んだのはミレイダ王国の勇者、結城 レン。
椅子に浅く座り、腕を組んで見下すように隼人を睨む。
「俺なんか、もう魔獣五体倒してるし。戦力的にいえば俺が中心になるのが妥当じゃね? ま、怖気づかないでよ。他国の人もいるんだし?」
「その戦績、本当ならすごいですね。でも本当に大事なときに動けるかどうか、そっちの方が私は気になります」
アメリアが静かに返すと、レンは頬を引きつらせる。
「なっ……わ、わかってるし。やれって言われたら俺だってやるし!」
「「皆さん、お元気なのは結構ですが……どうか少し静かにしていただけますか」
その声とともに、奥の扉が重々しく開いた。
進み出たのは、リグゼリア王国の宰相。そしてその後ろに続くのは――聖女セリスだった。
「連合会議、これより開幕いたします」
その宣言とともに、議場の空気が一変する。
ざわめきはぴたりと止み、王族・貴族・将軍たちの視線が一斉に、四人の勇者たちへと注がれた。
重く張りつめた空気の中、壇上の中央に立った聖女セリスが、一礼するように視線を落とした。清らかな気配が、まるで波紋のように広がっていく。
その様子を、会場の後方――勇者補佐席からじっと見つめていた少女がいた。
朱音だ。
「……なんかさ、思ってたより……ずっとギスギスしてるんだけど」
小声で呟いた朱音の隣で、紫苑が腕を組んだまま応じた。
「当然でしょう。各国が一人ずつ切り札を持ち寄ってる。そんな集まりが和やかになるわけがないわ」
「うーん……あの結城ってやつ、なんかイライラする。ああいうの、昔の蒼真思い出すから嫌なんだよね」
「えっ、あんな感じだったの?蒼真くん」
と、美咲がひょいと首を傾けて割り込んできた。
「いや、ちがうけど……態度だけね。なんか“強い俺かっこいい”って感じ出しててさ、見てると拳がうずくっていうか……」
朱音は拳を握りながら、勇者席のレンに鋭い視線を向ける。
「やれって言われたら俺だってやるし!」と、先ほど声を張り上げた彼の肩は、今もわずかに震えているように見えた。
「……見た目よりずっと、弱そうですね」
紫苑の冷静な声に、美咲が「たぶん気だけは強いんだよ~」と笑う。
勇者たちの背後では、各国の王族や高官たちが着席を終え、ついに本題へと入る雰囲気が漂い始めていた。
玉座の脇、リグゼリア王国の王が静かに立ち上がる。
「魔族の脅威が高まり、世界の均衡が崩れようとしている。
我々はこれにどう立ち向かうかを、今、ここに集った選ばれし者たちと共に定めねばならぬ」
王の視線が、各勇者に順に注がれていく。
瀬名 隼人――飄々と微笑みながらも、わずかにその目が鋭さを増している。
アメリア――背筋を伸ばし、わずかに頷く。
レン――視線を泳がせながらも、自分を大きく見せようと口を引き結んでいた。
そしてレグナ――あくびを噛み殺すように薄ら笑いを浮かべながら、王の言葉に興味のなさそうな視線を向けている。
「それぞれの国の報告を基に、魔族の動向について、順に情報を開示してもらう。まずは……デルオルス王国より」
アメリアの背筋が、さらにぴんと伸びた。
「了解いたしました」
彼女の凛とした声が、最初の静寂を切り裂く。
《連合会議》が、ついに動き出した――。
だが、それは単なる報告と作戦の場ではない。
各国の思惑、勇者たちの価値観、そして何を守るかの覚悟が問われる場。
この会議の行く先には、共闘か、あるいは――分断か。
緊張の糸が、静かに、しかし確実に張られていく。
四大国の代表者たちと、その加護を受けし勇者たちが、一堂に会する時が来た。
列席するのは、各国の重鎮たち。
その中心に玉座の隣に設けられた、四つの紋章が刻まれた勇者席に、異なる空気を纏う四人が座していた。
「全員そろったな……これが、世界を救う四人の勇者様ってわけか」
そう皮肉気に笑ったのは、グラディア王国の勇者、レグナ・ブラッドフォード。
背もたれにだらしなく座り、片足を組んで腕を広げていた。
その目は、まるで獲物を選ぶように他の勇者を舐めまわしている。
「……品がないですね」
隣席で冷静に言葉を返したのは、デルオルス王国の勇者アメリア・アルフォード。
無駄な感情を含まないその声音に、レグナは鼻を鳴らした。
「へぇ? 俺に説教か?」
「いえ。ただ、場に相応しくないだけです。……あなたの軽率な振る舞いを正すべきだと申し上げただけです」
ぴたりと張りつめる空気。
だがその緊張を、風のように切り裂く声が間に入った。
「まぁまぁ、落ち着こうよ。みんな、国は違っても一応仲間……ってことでしょ?」
そう言って手を挙げたのは、リグゼリア王国の勇者、瀬名 隼人。
いつものように飄々とした笑みを浮かべつつも、その目だけは全員の顔をじっくり観察していた。
「ハァ? 仲間ぁ? 笑わせんなよ」
レグナの言葉に、隼人は肩をすくめて返す。
「うーん、確かに仲間って感じじゃないかもね。必要なくなったら、自然と離れちゃいそう」
「なにそれ、なにかっこつけてんの。キモ……」
口を挟んだのはミレイダ王国の勇者、結城 レン。
椅子に浅く座り、腕を組んで見下すように隼人を睨む。
「俺なんか、もう魔獣五体倒してるし。戦力的にいえば俺が中心になるのが妥当じゃね? ま、怖気づかないでよ。他国の人もいるんだし?」
「その戦績、本当ならすごいですね。でも本当に大事なときに動けるかどうか、そっちの方が私は気になります」
アメリアが静かに返すと、レンは頬を引きつらせる。
「なっ……わ、わかってるし。やれって言われたら俺だってやるし!」
「「皆さん、お元気なのは結構ですが……どうか少し静かにしていただけますか」
その声とともに、奥の扉が重々しく開いた。
進み出たのは、リグゼリア王国の宰相。そしてその後ろに続くのは――聖女セリスだった。
「連合会議、これより開幕いたします」
その宣言とともに、議場の空気が一変する。
ざわめきはぴたりと止み、王族・貴族・将軍たちの視線が一斉に、四人の勇者たちへと注がれた。
重く張りつめた空気の中、壇上の中央に立った聖女セリスが、一礼するように視線を落とした。清らかな気配が、まるで波紋のように広がっていく。
その様子を、会場の後方――勇者補佐席からじっと見つめていた少女がいた。
朱音だ。
「……なんかさ、思ってたより……ずっとギスギスしてるんだけど」
小声で呟いた朱音の隣で、紫苑が腕を組んだまま応じた。
「当然でしょう。各国が一人ずつ切り札を持ち寄ってる。そんな集まりが和やかになるわけがないわ」
「うーん……あの結城ってやつ、なんかイライラする。ああいうの、昔の蒼真思い出すから嫌なんだよね」
「えっ、あんな感じだったの?蒼真くん」
と、美咲がひょいと首を傾けて割り込んできた。
「いや、ちがうけど……態度だけね。なんか“強い俺かっこいい”って感じ出しててさ、見てると拳がうずくっていうか……」
朱音は拳を握りながら、勇者席のレンに鋭い視線を向ける。
「やれって言われたら俺だってやるし!」と、先ほど声を張り上げた彼の肩は、今もわずかに震えているように見えた。
「……見た目よりずっと、弱そうですね」
紫苑の冷静な声に、美咲が「たぶん気だけは強いんだよ~」と笑う。
勇者たちの背後では、各国の王族や高官たちが着席を終え、ついに本題へと入る雰囲気が漂い始めていた。
玉座の脇、リグゼリア王国の王が静かに立ち上がる。
「魔族の脅威が高まり、世界の均衡が崩れようとしている。
我々はこれにどう立ち向かうかを、今、ここに集った選ばれし者たちと共に定めねばならぬ」
王の視線が、各勇者に順に注がれていく。
瀬名 隼人――飄々と微笑みながらも、わずかにその目が鋭さを増している。
アメリア――背筋を伸ばし、わずかに頷く。
レン――視線を泳がせながらも、自分を大きく見せようと口を引き結んでいた。
そしてレグナ――あくびを噛み殺すように薄ら笑いを浮かべながら、王の言葉に興味のなさそうな視線を向けている。
「それぞれの国の報告を基に、魔族の動向について、順に情報を開示してもらう。まずは……デルオルス王国より」
アメリアの背筋が、さらにぴんと伸びた。
「了解いたしました」
彼女の凛とした声が、最初の静寂を切り裂く。
《連合会議》が、ついに動き出した――。
だが、それは単なる報告と作戦の場ではない。
各国の思惑、勇者たちの価値観、そして何を守るかの覚悟が問われる場。
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緊張の糸が、静かに、しかし確実に張られていく。
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