ありきたりの異世界転生〜ラーニングスキルで異世界領主が世界を救う！？〜

0章 プロローグ

女神とスキル⑩

『…しかし…なんのメリットもありません。』


「いえ、このような状況に俺がここにいるのも何かの思し召しでしょう。
ルミエール様も一番初めに話しておりましたよね。『何か意味があるのでしょう』と。

乗り掛かった船みたいな物ですよ。」


『望むままの生まれ変わりのチャンスを棒に振るかもしれませんよ？』


「成功の約束された人生なんておもしろいんですかね？」


『上手くいかなければ、私たちやこちらの世界と共に滅びる事になるかもしれませんよ？』


「上手くいけばこんなに面白くて素敵なことはないですね！
その時こそ異世界転生物の漫画でも描きましょうか！」


『…貴方という人は……』

とルミエールがポツリと言葉を漏らすと、


『ゔぇえええーーん！！私のぜいでっ！！ずびまぜんーー！！』


黙って話を聞いていたクロノエルがまた堰を切ったように泣き出した。


『…救世主となろうとする貴方様に深い感謝を。』


ルミエールは俺に向かってまた深々と頭を下げた。





『わっはっはっは！見事に啖呵を切ったものだ！』


部屋に響き渡る、地鳴りのような声。


周りを見渡すと、ルミエールとクロノエルは即座に床に膝をついていた。


…この反応ということは、彼女等の目上の存在か？
となると必然的に…。


『トキトウくん。見事だ。』


声だけの存在にどうやら賞賛を頂いている。


「…もしかすると…神様であられますか？」


『如何にも。俗世の者より神と呼ばれる者である。』


あぁ…とうとう神様が来てしまわれた。


とはいえ、一度決めたことは引くつもりはない。


俺はなんとか神様に今回の事を認めて貰えるように話を進めていこうと頭の中で試行錯誤を繰り返していた。