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1章 はじまり
薄水色の髪の少女
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『本当に…二人を弔ってくれるの?』
まず少女は俺に問いかけてきた。
「ああ、そのつもりだ。だが俺はこんなとこに一人でいる身だ。作法も手順も知らない。
俺流のやり方か、そうでなければ君のところのやり方を教えてもらいたい。」
そう話すと少女は隣にやってきた。
『あぁ…リュート…エリス…。どうして私だけ…ごめんなさい…。寒かったよね…怖かったよね…。』
二人の亡骸にしがみつき、また大粒の涙をこぼしていた。
俺は少女が泣き止むまで、ただただ隣に座り、時折背を撫でてやりながら少女の気持ちが治るまで黙って待った。
『…ありがとう。もう大丈夫。』
そういうと少女はこちらに向き直った。
『私はリネア。貴方は?』
「あぁ、俺の名前はカエデだ。」
『カエデさん。もし本当に二人を弔って頂けるのであれば、お願いできますでしょうか。』
改めて丁寧にリネアと名乗った少女が俺に問いかけた。
「カエデで構わないよ。敬語も不要だ。
さっきも言ったが、二人はこのままでは可哀想だ。弔ってやろうと思う。」
『ありがとう。この辺りに火はある?それとも火魔法を使えたりする?
私の村の送り方は、聖なる火を使って神様の下にその体と魂をお返しするの。だから…出来たら村のやり方で弔ってあげたい。』
なるほど…それなら火葬と大きく変わらないか。
荼毘に伏すのであろう。
とはいえ、俺は火魔法は使えず近くに火もない。
それを伝えるとリネアは寂しそうにまた涙を流した。
『…ごめんね、二人とも。送ってあげることすらままならない。』
そんなリネアに俺は一つ提案をした。
「リネア。俺はこの世界についてほとんど何も知らない。浮世から離れた人間だ。だからもしこの提案が常識を外れていて、失礼にあたったとしたら申し訳ない。
…俺の家には火がある。ここから少し離れているが、俺がスキルを使って二人を運ぼうか?
もしかすると、人道的にみて死者への冒涜になってしまうかもしれないが…」
『二人を弔えるならどんな事でもいい!どうやるの?』
「俺のアイテムボックスという魔法で運ぶ。」
『アイテムボックス?』
俺はリネアにアイテムボックスの説明を軽く行った。
それはつまり、二人は確実に死んでしまっているという確認作業にもなってしまうと説明の最後に付け加えて…
まず少女は俺に問いかけてきた。
「ああ、そのつもりだ。だが俺はこんなとこに一人でいる身だ。作法も手順も知らない。
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そう話すと少女は隣にやってきた。
『あぁ…リュート…エリス…。どうして私だけ…ごめんなさい…。寒かったよね…怖かったよね…。』
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俺は少女が泣き止むまで、ただただ隣に座り、時折背を撫でてやりながら少女の気持ちが治るまで黙って待った。
『…ありがとう。もう大丈夫。』
そういうと少女はこちらに向き直った。
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さっきも言ったが、二人はこのままでは可哀想だ。弔ってやろうと思う。」
『ありがとう。この辺りに火はある?それとも火魔法を使えたりする?
私の村の送り方は、聖なる火を使って神様の下にその体と魂をお返しするの。だから…出来たら村のやり方で弔ってあげたい。』
なるほど…それなら火葬と大きく変わらないか。
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そんなリネアに俺は一つ提案をした。
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