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1章 はじまり
漂流者
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流れ着いていたボートは、『ボートだった物』と言った方が正しいだろう。
バラバラの木材と化し、乗っていた荷物らしき物が散らばっている。
漂流者はいないかとあたりを見てみる。
少しの警戒をしながら。
場合によっては隠密を発動する事も考えているが、俺は直感的に必要のない事を感じていた。
すると、ボートの残骸からやや離れたところに二つの影を見つけた。
近寄ってみると、残念ながらすでに事切れているようで脈はない。
青年のような男とやや歳を召した感じの女が倒れていた。
人の遺体という物に触れるのは祖父や祖母の時に経験はしている。
とはいえ、こう無造作に置かれているものは初めてだ。
俺はとりあえず浜に引き上げ、改めて脈をとった。
…やはり既に事切れており、体は芯から冷たくなっていた。
「見知らぬ人とはいえ、これも何かの縁…か。」
せめて弔いをと思い、名も知らぬ二人を生身では運べないので、一度アイテムボックスに入れさせて頂こうとした。
『や、やめて。何をしてるの!二人を殺したの!?』
突然後ろから声がした。
そこには薄水色の髪をした、中学生くらいの少女が立っていた。
その姿は他の二人と同様な服を身につけていた。
二人と比べると服は濡れていないようだ。
…とりあえずこういう時は敵意がないことを示す必要がある。
……万が一のための短刀は懐にあるな。
それを確認すると俺は少女に声をかけた。
「いや、こちらに敵意はない!たまたま近辺を歩いていたら、漂流した船を見つけた!
漂流物の確認をしようとしていた所、たまたまこの二人の亡骸を見つけた!
このままではあまりにも不憫だと思い、弔いを行おうと二人を引きあげた次第だ!」
『…信じていいの?…やはり二人は死んでしまっているの?』
薄水色の髪の少女は大粒の涙を浮かべながら、すがるように聞いてきた。
「信じるかどうかは俺が決める事ではないが、少なくとも現状で敵意はない。二人に対しても弔ってやりたい気持ちは本当だ。知り合いなら手を貸してくれないか。」
本来であればお互いにどこの誰かも知らない身だ。
こんな提案がお互い飲めるわけがないが、不測の事態である。
俺は最悪はスキルを使って逃げ切れるだろうという安心感から。
少女は置かれている現状のあまりの悪さから。
警戒心も程々にこちらに近づいてきた。
バラバラの木材と化し、乗っていた荷物らしき物が散らばっている。
漂流者はいないかとあたりを見てみる。
少しの警戒をしながら。
場合によっては隠密を発動する事も考えているが、俺は直感的に必要のない事を感じていた。
すると、ボートの残骸からやや離れたところに二つの影を見つけた。
近寄ってみると、残念ながらすでに事切れているようで脈はない。
青年のような男とやや歳を召した感じの女が倒れていた。
人の遺体という物に触れるのは祖父や祖母の時に経験はしている。
とはいえ、こう無造作に置かれているものは初めてだ。
俺はとりあえず浜に引き上げ、改めて脈をとった。
…やはり既に事切れており、体は芯から冷たくなっていた。
「見知らぬ人とはいえ、これも何かの縁…か。」
せめて弔いをと思い、名も知らぬ二人を生身では運べないので、一度アイテムボックスに入れさせて頂こうとした。
『や、やめて。何をしてるの!二人を殺したの!?』
突然後ろから声がした。
そこには薄水色の髪をした、中学生くらいの少女が立っていた。
その姿は他の二人と同様な服を身につけていた。
二人と比べると服は濡れていないようだ。
…とりあえずこういう時は敵意がないことを示す必要がある。
……万が一のための短刀は懐にあるな。
それを確認すると俺は少女に声をかけた。
「いや、こちらに敵意はない!たまたま近辺を歩いていたら、漂流した船を見つけた!
漂流物の確認をしようとしていた所、たまたまこの二人の亡骸を見つけた!
このままではあまりにも不憫だと思い、弔いを行おうと二人を引きあげた次第だ!」
『…信じていいの?…やはり二人は死んでしまっているの?』
薄水色の髪の少女は大粒の涙を浮かべながら、すがるように聞いてきた。
「信じるかどうかは俺が決める事ではないが、少なくとも現状で敵意はない。二人に対しても弔ってやりたい気持ちは本当だ。知り合いなら手を貸してくれないか。」
本来であればお互いにどこの誰かも知らない身だ。
こんな提案がお互い飲めるわけがないが、不測の事態である。
俺は最悪はスキルを使って逃げ切れるだろうという安心感から。
少女は置かれている現状のあまりの悪さから。
警戒心も程々にこちらに近づいてきた。
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