結いの約束～記憶に残る蜜の香り【異能覚醒編】

第十五章 北海洋から帰京

帰宅までの時間

空港に到着すると、もうすっかり夜だった。





「着いたね。」

「そうだね、ちょっとセンチな気分だよ。」

「センチ？」

「だって、あんなに濃ゆい時間を過ごしてきて離れるのは心も体も離脱症状があるって。」






そう言って、切なげな顔をした。





「離脱・・・(笑)あ、確かに麻薬的な快楽を求めた時間だったけどね(笑)」




「麻薬より常習性があるかも(笑)車、取ってきますね。」






深澤くんは車を取りに行った。









・・・・・・・・






車に荷物を積み込み、自宅へと向かった。









「少しせっかくだからドライブしてもいいですか？」


「あ、いいね！連れて行って！」








・・・・・・






車の窓を開けると、何となく潮の香りを感じて都会へ帰って来たんだなと感じた。







二人とも、何となくセンチな気分のせいか言葉少なだった。








海岸線は車が止まっていたが、とっておきの場所があるという事で連れていってもらった。








・・・・・・







「どうですか？？」






深澤くんの声で外を見ると無数の星が広がっていた。






「わぁぁ―――！なんてきれいな場所！」






早速、降りて歩いてみた。






ちょうど、騒がしい海岸線から見えにくい位置にあるのでとても静かで落ち着いている。







ヤシの木の下に座るところあったので座る事にした。







「.......なんか、目まぐるしかったね。」


「そうだね、ホント。」


「僕は、特に普通の事でない事ばかりでついていくのに大変でした。」


「確かに(笑)」


「でも幸せでした。」


「ねぇ、深澤くん、しばらく会えなくなるけど・・・・お互い頑張ろう。ねっ！」


「......」


「もし、連絡が取れなくなっても大丈夫だから。ちゃんと後で返すから。心配しないで、ね。」








心配そうな深澤くんの顔が愛おしい....唇を重ねてそっと涙をぬぐってあげた。