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第二十一章 異能力者、始動
母という人
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どんちゃん騒ぎが過ぎる。
田舎だからなのか、南の地方だからなのか、家系的に酒が強いからなのか、
既に大騒ぎだ。
フミさんに促され、輪に入ると吾郎さんがお酒の入ったグラスを持って来てくれた。
仮眠を取っていたリョウも美味しそうな香りにつられて起きて来た。
「ワッ!パリピだらけ。」
第一声目は中学生らしい驚き方だった。
「その言い方(笑)みんなずっと今日はパリピだよ。宴、始まると長いからね(^-^;」
「これがめんどくさいのよね(笑)」
「ばばちゃま、どんちゃん騒ぎ苦手なんだもんね、何かすべてが異色(笑)」
「そうなの、だからはみ出すのよ(笑)」
「(笑)」
そう、母は【異色】なのだ。
『異能を好まず、群れを好まず、宴は騒がず、家系を慮おもんばからず』
ばぁちゃんが強烈すぎて、母は反骨精神で育ったと思われる。
私の小さい頃は、なるべく異能から私を遠ざけ育てたせいでばぁちゃんとは対立していた記憶がある。
(母と父はひとかけら同志だったのに蓮の花は確か......咲かなかったとばぁちゃんは言っていた。)
そこに関しては、どうしてなのか?は知りたいようだが、自分が咲かなかった事には全く興味を示さない。
父とは大恋愛の末、一緒になった。
その際にばぁちゃんの反対を受けたことが後々の反発の理由、らしい。
遠ざけていた異能力の世界だったが、母の願いを踏みにじり、私とリョウはどっぷり浸かっている。
こと、リョウは至っては多分異能力が強いし、日常の中で自然に受け入れるように私は育ててきた。
母は柔軟な人で、自分の思想を押しつけたりしないので物事に対して反対をされたことはほとんど、ない。
が、二つだけ、
今回の件に関わる事については慎重に。という事と、深澤くんを巻き込まないように。だった。
(深澤くんについては、口調が強めだったけど.....何か理由が?)
そもそも、蓮の花が咲いた事を知った時点で異能関連については口を出さなくなった。
(我が家系にとって、蓮の花が咲く事がすべてにおいて強くなる。.....理由を誰も知らないんだよね。やっぱり蓮の花の秘密、知りたいな。)
ふと見ると、リョウは宴の真ん中で延々と食事をしていた。
「美味しい?」
「うん!超美味しい!ヤバい、水が合うかも。」
難しい言葉を知っている頭でっかちな娘。
「そりゃ、そうよね、彼女のルーツだし、リョウは最強の異能力を持つ可能性を秘めているから代々から守られている。」
「そうね、加護のパワーを感じるものね。ねぇ、母ちゃま?なぜ、リョウの異能については反対しなかったの?」
タバコをくゆらせながら母は言った。
「あなたが、母親だから。レンはレンのやり方でちゃんとリョウを護ろうとしてる。私はあなたを護る為、遠ざけた。あなたはリョウを護る為、強くなった。鍛練は簡単じゃないし、努力を要する。それをちゃんとリョウの為に行っているでしょ、だから。」
母はいつだって大きい。
その大きさは、父に愛され、守られ、父が亡くなった今でも、父のぬくもりに包まれて日々を過ごしているからなのだ。
「......母ちゃまにはかなわないな(笑)」
「ふふっ、今更?(笑)」
「今更(笑)」
気になるあの事を聞いて見た。
「深澤くんの事をすごく気にするけど・・・何で?」
一瞬困った顔をしたが、「うん。」とうなずき話し始めた。
「父ちゃまの事。の事と関係あるの。」
「父ちゃま?なんで?」
「ばぁちゃんと揉めた事でっていうか、異能のせいで彼を大けがさせたから。」
「大けが!初めて聞いたよ、それ。」
「うん、初めて言った。」
――――――――事の顛末はこうだった。
父との交際を反対されていたが、過去世からの縁を感じ取っていた母は賛成に転じると思い強引に父との付き合いを押し進めた。
やがて、ばぁちゃまも”ひとかけら”である事を知り、賛成した。
が、蓮の花は待てども待てども咲かなかった。
もちろん母にとって「そこ」は関係ないので幸せに暮らしていたのだが
その事で、ばぁちゃんと対立してしまい、間に入った父がケガをしてしまったようだ。
そのことで母は大激怒、ほぼ絶縁に近い状態、異能の世界を自分の中で封印してしまったらしい。
――――――――なぜ、蓮の花は咲かなかったのか?
(結局、ここでも蓮の花がキーになる.....)
どうしても、調べなければならない事のようだ。
(私は咲いた、母は咲かない.....何の違い?多分、深澤くんも父ちゃまも異能力の持ち主ではない...あ、でも深澤くんは少しあるんだ。)
考え込んでると、母が言った。
「レン、あなたの名前は分かっているとは思うけど、蓮の花から取っているの。父ちゃまが思いを馳せて付けた名前。それだけ、家系には蓮の花が大きく意味を成す。私は、咲いても咲かなくても特に気にしなかったけど、父ちゃまはこの件をずっと気にしていたから・・・・あなたに思いを託したのかもしれない。この言葉の意味を分かるわよね......」
「わかるわ。わかるけど、なぜ今この年で(笑)」
「深澤くんと会ったからよ。で、なければあなたに蓮の花が咲かなかったから。しかも、多分だけど交わっただけじゃダメね。カラダ的な相性というか...そういうものも関係あると私は思っているの。レンが調べるのも宿命なのかもしれないね。」
ふと.....宴の喧騒の中、深澤くんに会いたくなった。
田舎だからなのか、南の地方だからなのか、家系的に酒が強いからなのか、
既に大騒ぎだ。
フミさんに促され、輪に入ると吾郎さんがお酒の入ったグラスを持って来てくれた。
仮眠を取っていたリョウも美味しそうな香りにつられて起きて来た。
「ワッ!パリピだらけ。」
第一声目は中学生らしい驚き方だった。
「その言い方(笑)みんなずっと今日はパリピだよ。宴、始まると長いからね(^-^;」
「これがめんどくさいのよね(笑)」
「ばばちゃま、どんちゃん騒ぎ苦手なんだもんね、何かすべてが異色(笑)」
「そうなの、だからはみ出すのよ(笑)」
「(笑)」
そう、母は【異色】なのだ。
『異能を好まず、群れを好まず、宴は騒がず、家系を慮おもんばからず』
ばぁちゃんが強烈すぎて、母は反骨精神で育ったと思われる。
私の小さい頃は、なるべく異能から私を遠ざけ育てたせいでばぁちゃんとは対立していた記憶がある。
(母と父はひとかけら同志だったのに蓮の花は確か......咲かなかったとばぁちゃんは言っていた。)
そこに関しては、どうしてなのか?は知りたいようだが、自分が咲かなかった事には全く興味を示さない。
父とは大恋愛の末、一緒になった。
その際にばぁちゃんの反対を受けたことが後々の反発の理由、らしい。
遠ざけていた異能力の世界だったが、母の願いを踏みにじり、私とリョウはどっぷり浸かっている。
こと、リョウは至っては多分異能力が強いし、日常の中で自然に受け入れるように私は育ててきた。
母は柔軟な人で、自分の思想を押しつけたりしないので物事に対して反対をされたことはほとんど、ない。
が、二つだけ、
今回の件に関わる事については慎重に。という事と、深澤くんを巻き込まないように。だった。
(深澤くんについては、口調が強めだったけど.....何か理由が?)
そもそも、蓮の花が咲いた事を知った時点で異能関連については口を出さなくなった。
(我が家系にとって、蓮の花が咲く事がすべてにおいて強くなる。.....理由を誰も知らないんだよね。やっぱり蓮の花の秘密、知りたいな。)
ふと見ると、リョウは宴の真ん中で延々と食事をしていた。
「美味しい?」
「うん!超美味しい!ヤバい、水が合うかも。」
難しい言葉を知っている頭でっかちな娘。
「そりゃ、そうよね、彼女のルーツだし、リョウは最強の異能力を持つ可能性を秘めているから代々から守られている。」
「そうね、加護のパワーを感じるものね。ねぇ、母ちゃま?なぜ、リョウの異能については反対しなかったの?」
タバコをくゆらせながら母は言った。
「あなたが、母親だから。レンはレンのやり方でちゃんとリョウを護ろうとしてる。私はあなたを護る為、遠ざけた。あなたはリョウを護る為、強くなった。鍛練は簡単じゃないし、努力を要する。それをちゃんとリョウの為に行っているでしょ、だから。」
母はいつだって大きい。
その大きさは、父に愛され、守られ、父が亡くなった今でも、父のぬくもりに包まれて日々を過ごしているからなのだ。
「......母ちゃまにはかなわないな(笑)」
「ふふっ、今更?(笑)」
「今更(笑)」
気になるあの事を聞いて見た。
「深澤くんの事をすごく気にするけど・・・何で?」
一瞬困った顔をしたが、「うん。」とうなずき話し始めた。
「父ちゃまの事。の事と関係あるの。」
「父ちゃま?なんで?」
「ばぁちゃんと揉めた事でっていうか、異能のせいで彼を大けがさせたから。」
「大けが!初めて聞いたよ、それ。」
「うん、初めて言った。」
――――――――事の顛末はこうだった。
父との交際を反対されていたが、過去世からの縁を感じ取っていた母は賛成に転じると思い強引に父との付き合いを押し進めた。
やがて、ばぁちゃまも”ひとかけら”である事を知り、賛成した。
が、蓮の花は待てども待てども咲かなかった。
もちろん母にとって「そこ」は関係ないので幸せに暮らしていたのだが
その事で、ばぁちゃんと対立してしまい、間に入った父がケガをしてしまったようだ。
そのことで母は大激怒、ほぼ絶縁に近い状態、異能の世界を自分の中で封印してしまったらしい。
――――――――なぜ、蓮の花は咲かなかったのか?
(結局、ここでも蓮の花がキーになる.....)
どうしても、調べなければならない事のようだ。
(私は咲いた、母は咲かない.....何の違い?多分、深澤くんも父ちゃまも異能力の持ち主ではない...あ、でも深澤くんは少しあるんだ。)
考え込んでると、母が言った。
「レン、あなたの名前は分かっているとは思うけど、蓮の花から取っているの。父ちゃまが思いを馳せて付けた名前。それだけ、家系には蓮の花が大きく意味を成す。私は、咲いても咲かなくても特に気にしなかったけど、父ちゃまはこの件をずっと気にしていたから・・・・あなたに思いを託したのかもしれない。この言葉の意味を分かるわよね......」
「わかるわ。わかるけど、なぜ今この年で(笑)」
「深澤くんと会ったからよ。で、なければあなたに蓮の花が咲かなかったから。しかも、多分だけど交わっただけじゃダメね。カラダ的な相性というか...そういうものも関係あると私は思っているの。レンが調べるのも宿命なのかもしれないね。」
ふと.....宴の喧騒の中、深澤くんに会いたくなった。
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