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目の前に火の球が迫ってきた。
(これは、マズいかも…)
思った時には遅かった。
ドゴォンという、ものすごい音がして、熱と衝撃がルナを襲う。
衝撃にそなえてつむっていた目を開ければ、今度は目の前にノーヴァの腕があって、その腕は服が焼け焦げ、皮膚が露出し、やけどとすり傷でひどいありさまになっていて。
土煙が引いていき、魔法陣ごしにメルキュールとマルスの姿が見えた。
ルナは自分を守るように立っていたノーヴァをそっと押しのけて2人のもとへ向かった。
そして、渾身のの力をこめてメルキュールの頬を張りとばす。
スパァーーン!!という音とともに、叩いた手がジンジンと痛む。
思ったよりずっと相手にダメージを与えられなくて腹が立つ。
怒りそのままに。
「誰にケンカ売ってんのよ!!!」
ルナは吠えた。
メルキュールの胸ぐらをつかみ、相手の胸をグラグラさせながら、睨みつける。
「アンタがっ!アンタたちが憎いのは!恨んでるのはっ!私でしょっ…⁉︎私と…、…っおばあさまでしょっ⁉︎…なんでっ、なんでノーヴァに当たるのよ!!!」
アース家が憎いのは仕方ない。それは、覚悟してやって来た。
けれど。
「ノーヴァじゃないでしょ⁉︎…憎いのはっ!ノーヴァじゃないでしょ⁉︎…傷つけたいのはっ…!傷つけて、罰してやりたいのは!私だけのはずでしょうっっ!」
(どうしてノーヴァに怒りの矛先がいくのよ⁉︎)
それが分からないと同時に、そのことを予測できなかった自分のバカさ加減に腹が立つ。
学院生活はある意味、自分だけが我慢すればいいと思っていた。一緒にいるノーヴァに火の粉がかかるなんて思いもしなかった。
(なんてバカだったんだろう…)
「ノーヴァはお人好しだからっ…私が学院に行くって言えば、お目付け役なんて言ってついて来てくれてっ!…私が寂しい思いをしないよう、いじめられたりしないよう、そのつもりで来たのがバレバレのくせに、何にも言わずにそばにいてくれてっ!そんなっ、そんなノーヴァがっ、なんでアンタ達なんかにいちゃもんつけられるのよ!!!」
優しく、自分に甘いノーヴァ。
そのことを知っていたのに、思っていたよりずっと楽しい学院生活に浮かれていた。
(その裏でノーヴァは嫌な目にあっていたのに…)
最初は1人で入学するつもりだった。
けれど、学院の話をするとノーヴァは俺も行くと言った。最初は止めた。大反対だった。ハッキリ公言しないものの、ノーヴァは自分の才能を表に出すことを嫌がっていたから。学院に毛ほどの興味もないことを知っていたから。
1人で行って、1人で帰って来るつもり。
ノーヴァにもハッキリと言った。
けれど、ノーヴァは一緒に行くという意志を曲げなかった。
最終的には、ルナの方が折れた。
好きにしたらいい…と。
けれど、ノーヴァが一緒に来てくれたおかげでルナは、王都にあるエトワール家のタウンハウスから学院に通うことができている。
登下校もエトワール家の馬車でノーヴァと一緒に送迎してもらい、タウンハウスでも家族のように温かく接してもらっている。
何より、ノーヴァのおかげで孤独な学院生活を送らずにすんでいる。
ーー勉強は、1人でもできるものーー
静寂は孤独だから訪れるものだし、学問には孤独がつきものだ。
いくら言い聞かせても、寂しさは消せない。
前世、お天気お姉さんになるために1人で猛勉強をしたことのある私は、学校で1人になることの孤独を知っていた。
ルナの場合、1人で入学していたらその孤独感は前世を大きく上回ったことだろう。
目的があって入学をした。
だから、1人でも耐えられなくはなかったと思う。
けれど、ノーヴァは一緒に来てくれた。
そのノーヴァに対する仕打ちがこれか!
自分でも制御できない怒りがルナを支配して、暴走していた。
(これは、マズいかも…)
思った時には遅かった。
ドゴォンという、ものすごい音がして、熱と衝撃がルナを襲う。
衝撃にそなえてつむっていた目を開ければ、今度は目の前にノーヴァの腕があって、その腕は服が焼け焦げ、皮膚が露出し、やけどとすり傷でひどいありさまになっていて。
土煙が引いていき、魔法陣ごしにメルキュールとマルスの姿が見えた。
ルナは自分を守るように立っていたノーヴァをそっと押しのけて2人のもとへ向かった。
そして、渾身のの力をこめてメルキュールの頬を張りとばす。
スパァーーン!!という音とともに、叩いた手がジンジンと痛む。
思ったよりずっと相手にダメージを与えられなくて腹が立つ。
怒りそのままに。
「誰にケンカ売ってんのよ!!!」
ルナは吠えた。
メルキュールの胸ぐらをつかみ、相手の胸をグラグラさせながら、睨みつける。
「アンタがっ!アンタたちが憎いのは!恨んでるのはっ!私でしょっ…⁉︎私と…、…っおばあさまでしょっ⁉︎…なんでっ、なんでノーヴァに当たるのよ!!!」
アース家が憎いのは仕方ない。それは、覚悟してやって来た。
けれど。
「ノーヴァじゃないでしょ⁉︎…憎いのはっ!ノーヴァじゃないでしょ⁉︎…傷つけたいのはっ…!傷つけて、罰してやりたいのは!私だけのはずでしょうっっ!」
(どうしてノーヴァに怒りの矛先がいくのよ⁉︎)
それが分からないと同時に、そのことを予測できなかった自分のバカさ加減に腹が立つ。
学院生活はある意味、自分だけが我慢すればいいと思っていた。一緒にいるノーヴァに火の粉がかかるなんて思いもしなかった。
(なんてバカだったんだろう…)
「ノーヴァはお人好しだからっ…私が学院に行くって言えば、お目付け役なんて言ってついて来てくれてっ!…私が寂しい思いをしないよう、いじめられたりしないよう、そのつもりで来たのがバレバレのくせに、何にも言わずにそばにいてくれてっ!そんなっ、そんなノーヴァがっ、なんでアンタ達なんかにいちゃもんつけられるのよ!!!」
優しく、自分に甘いノーヴァ。
そのことを知っていたのに、思っていたよりずっと楽しい学院生活に浮かれていた。
(その裏でノーヴァは嫌な目にあっていたのに…)
最初は1人で入学するつもりだった。
けれど、学院の話をするとノーヴァは俺も行くと言った。最初は止めた。大反対だった。ハッキリ公言しないものの、ノーヴァは自分の才能を表に出すことを嫌がっていたから。学院に毛ほどの興味もないことを知っていたから。
1人で行って、1人で帰って来るつもり。
ノーヴァにもハッキリと言った。
けれど、ノーヴァは一緒に行くという意志を曲げなかった。
最終的には、ルナの方が折れた。
好きにしたらいい…と。
けれど、ノーヴァが一緒に来てくれたおかげでルナは、王都にあるエトワール家のタウンハウスから学院に通うことができている。
登下校もエトワール家の馬車でノーヴァと一緒に送迎してもらい、タウンハウスでも家族のように温かく接してもらっている。
何より、ノーヴァのおかげで孤独な学院生活を送らずにすんでいる。
ーー勉強は、1人でもできるものーー
静寂は孤独だから訪れるものだし、学問には孤独がつきものだ。
いくら言い聞かせても、寂しさは消せない。
前世、お天気お姉さんになるために1人で猛勉強をしたことのある私は、学校で1人になることの孤独を知っていた。
ルナの場合、1人で入学していたらその孤独感は前世を大きく上回ったことだろう。
目的があって入学をした。
だから、1人でも耐えられなくはなかったと思う。
けれど、ノーヴァは一緒に来てくれた。
そのノーヴァに対する仕打ちがこれか!
自分でも制御できない怒りがルナを支配して、暴走していた。
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