麗しの超人お姫様はへっぽこ竜を溺愛する〜今さら無理とか言わせません。育てた責任とってもらうわ〜

ナカナカ田

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この世界にボクは竜族として生を受けた。

竜族といえば、誰もが畏怖する存在だ。姿を現すだけで人族などはひれ伏し、失神する者もいるという。今は竜とその他の種族の関係が昔ほど近くはないから、竜がその姿を他族の前に表すことはほとんどないけれど。

硬い鱗に覆われた巨大な体、鋭い牙、尖った硬い爪、ギラギラと輝く瞳。
口をひらけば炎がとび出し、身体をふるわせれば雷が落ちる。そしてひとたび羽ばたけば竜巻がおこるといわれる伝説の生物ーーー竜。

ボクにはその何もかもが受け継がれなかった。

だから、こんな場所で1人で生きている。

広い広い森に囲まれた、大きな山の中にある谷の泉のそばで、リザはぼんやりと座っていた。

竜族であるはずの自分は、何もかもが竜族とは違った。

まずは見た目ーーーつるりとした硬い皮膚に鱗はなく凸凹ゴツゴツしているだけ、お目目はクリンと愛らしいぱっちり二重、口に歯はあるが多少尖っている程度、羽もあるが相当な重量がある胴体に対しての比率がおかしく、コウモリのような羽が可愛らしくパタパタとついている。
当然飛べない。飛べるわけがない。浮くことすらできないのだから。

次に魔法ーーー竜といえば火を吹いたり雷を落としたり嵐を巻きおこしたり…生きているだけでそれができる者もいるが、そこまでできるのは竜の中でも一握りの実力者だけである。
大抵の者は空気中にある力を使って魔法を操る。
竜族であればどんな子どもでもーー生まれたばかりの赤子でもーー上手下手の違いはあれど、魔法を使うことができる。

(なのに、ボクは魔法が全く使えない…)

ピチチと小鳥が飛んできて肩にとまった。ボクがチラリと見つめても、小鳥は逃げる素振りすら見せない。

ボクは困ったように苦笑する。これもまた竜らしくないところだ。動物は自分に危害を加える者に近づかない。本来、竜になんて恐ろしくて近づこうともしないはずだ。
 
(それでも、ボクはこの生活、案外気に入っているんだよなぁ)

幼い頃、竜族の仲間には、お前は竜の恥さらしだから、一緒には暮らせないと言われ、この地に捨てられた。

飛ぶことも、まして魔法で転移などできるはずもなく、気づけばおよそ300年、この地で暮らしてきた。

好きなときに起きて、好きなときに眠る。お腹が空いたらその辺の草や木の実、果物なんかを食べる。肉や魚を食べたことはなかった。自分では獲ることができないからだ。そして、歩ける範囲でたまに散歩。

そんな風に暮らしてきた。




そんなある日。




空から赤子が落ちてきた。
それも、人間の。


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