5 / 16
4
しおりを挟む
・・・・・・・・・・・・・
リザは赤子を見つめ続けた。
・・・・・・・・・・・・・
(なかなか起きないな…そんなに笑ってくれはしないものなのかな?うーん…よく分からないな。もうしばらく待っていればいいのかな?)
などと考えていると、パタパタという羽音とともに、耳慣れない声が頭に響いた。
((ねぇねぇ、君、何してるの?))
キョロキョロと辺りを見回すと、自分の肩に小鳥がとまってピィピィと鳴いている。
不思議に思い、また辺りをキョロキョロすると、
ドスっ。っと、
顔の下のあたりを突かれた。
「えっ⁉︎い、いたっ!な、なに⁉︎」
リザは驚いて自分を突き刺したものを見やった。
分かってはいたが、それは自分の肩にとまっていた小鳥だった。
「えっ…なっ…どっ…」
えっ、なに、どうして?と言いたいリザの気持ちは言葉にならなかった。しかし、明確な答えが返ってきた。
((聞いているのはこっち。君さ、何してるわけ?ここんとこ、3日もずーーーーーっと籠の中眺めて。中の子、どうしたいの?食べたいの?人間だよね?そろそろヤバくない?))
という声が頭の中で響くと同時に、すぐ隣からピィピィピィピィ小鳥の鳴き声が聞こえる。
(…鳥がしゃべってる…?)
そのことにも驚いたが、話の内容を理解するにつれ、リザの顔は真っ青になった。ーーーはたから見る分にはあまり伝わることはなかったがーーー
「や、ヤバいって…どういう…っ?」
アワアワするリザの様子を見て、小鳥が冷静に突っこんでくる。
((そろそろ弱って死ぬんじゃないかってこと。君、ここ3日間、ずーっと見てただけでしょ?飲まず食わずじゃ、寝てるだけでもさすがに死ぬでしょ?))
そう言われれば、その通りだった。
今か今かと笑ってくれるのを待つばかりで、自分も何も食べていなかった。
自覚すると、グゥと腹がなった。
そして思う。自分でもこうなのだ。自分よりはるかに小さいこの生き物は、もっと空腹なのではないだろうか?
「どっ、どうすればいいのかなっ?コレは、何を食べるんだろう…っ?」
肩の小鳥に問いかける。
リザは、赤子を食べたいわけでも、死なせたいわけでもなかった。ただ、もう1度自分に笑いかけて欲しいだけなのだ。
そのためには、コレには生きていてもらわなくてはならない。…と思う。
((うーん、そうだねぇ、人の子は、赤子の頃は乳を飲むんだけど、君じゃ無理だよね?))
君、オスだし乳出せないよねぇ。などと小鳥は呟いている。
「そんなのもちろん出せないよっ!…木の実や果物じゃダメなのかな?」
((うーん…どうかなぁ。基本は乳じゃないかなぁ。この子まだかなり小さそうだし))
などと2人ーー2匹?ともいうーーでわちゃわちゃしていると、
「できることなら乳がいい」
((だよねぇ。乳がいいよねぇ))
まさかの第三者の声が聞こえた。
「((!!!))」
リザも小鳥もまさかの発言元を見た。
「((!?!))」
もう1度見た。
「えっ⁉︎えっっ⁉︎コレ、今っ、しゃべっ…っ⁉︎」
座るリザの両足の間の、地面に置かれた籠の中を覗くと、中の赤子はぱっちりと美しい紺碧の瞳を開けていた。
「乳がいい」
そう言うと赤子は、フッと目をつむった。心なしかグッタリしているように見える。
「えっ⁉︎コレっ⁉︎たおれ…っ⁉︎」
((…たんじゃない⁉︎なんかグッタリしてるよ⁉︎))
アワアワとする2人ーーもとい、2匹ーーー
「なっ、なんとかしなきゃ!なんとかっ!!」
ど、どどどっ、どうしようっ⁉︎
と。大混乱のリザ。
((とっ、とりあえず、なにかしらの乳を飲ませればいいんじゃない⁉︎))
バサバサピィピィ。
と。こちらも大慌ての小鳥。
「そっ、そそそ、そうかっ。ち、乳だ!」
((そうそう、乳、乳!))
乳が必要なのは分かったが、問題なのは、ここには肝心の乳がないことだ。
「ねっ、ねぇっ、乳ってどこにあるのかな⁉︎」
((どっ、どこって、そりゃ、牛とかヤギとかだろ⁉︎))
「牛とかヤギとか、いないけどっ!」
((さっ、探しに行くとかっ?))
どうするどうすると押し問答している間にも、徐々に赤子の顔色が悪くなっていっているような気がする。
「さっ、探しに行くって、どこに⁉︎っていうか、コレ、なんかさっきより顔色悪くない⁉︎」
大丈夫なのぉー⁉︎と、リザはパニックである。
((おっ、おおぉぅ、たっ、確かに顔色が悪いぞ。さっ、探しに行かねば!行かねば!))
「行かねばって、どこにさー⁉︎っていうか、乳ってどこにあるのさー⁉︎っていうか、っていうか、うーしーー!!!ヤーギーー!!!いーるーなーらーたーすーけーてーぇーーー!!!」
気づけばリザは絶叫していた。
生まれてこのかた、初めて叫んだ。
焦りと不安、それらからくる怒りや心配。そういうもの、すべてをひっくるめて叫んだ。こんな感情を持つのも初めてだった。
ポンコツとはいえさすがは竜。
その叫びは絶大だった。
叫びは、谷中に響きわたった。
隣でパタパタわぁわぁと騒がしく飛んでいた小鳥は、驚き気絶し、バタリと地面に落ちた。
それに気づいたリザがオロオロしていると、
((うるさいやつだねぇー。男ならもっとどっしりと構えてなきゃダメだろう))
そんな声が頭に響いた。
驚いたリザが周りに目を向けると、1匹のヤギがこちらに歩いてきていた。
((それで、谷中に響くような大声だして、どうしたんだい?))
リザのすぐ側までやってきたヤギは、リザを見上げてそう聞いた。ゆっくりとした、落ち着いた声だった。
それを聞いたリザは、落ち着きを少し取り戻した。
そして、恐らく赤子が空腹でピンチであることを伝えた。
それから、ヤギの指示の下、気がついた小鳥とともに四苦八苦しながらも、なんとかリザは赤子に乳を飲ませることができた。
リザは赤子を見つめ続けた。
・・・・・・・・・・・・・
(なかなか起きないな…そんなに笑ってくれはしないものなのかな?うーん…よく分からないな。もうしばらく待っていればいいのかな?)
などと考えていると、パタパタという羽音とともに、耳慣れない声が頭に響いた。
((ねぇねぇ、君、何してるの?))
キョロキョロと辺りを見回すと、自分の肩に小鳥がとまってピィピィと鳴いている。
不思議に思い、また辺りをキョロキョロすると、
ドスっ。っと、
顔の下のあたりを突かれた。
「えっ⁉︎い、いたっ!な、なに⁉︎」
リザは驚いて自分を突き刺したものを見やった。
分かってはいたが、それは自分の肩にとまっていた小鳥だった。
「えっ…なっ…どっ…」
えっ、なに、どうして?と言いたいリザの気持ちは言葉にならなかった。しかし、明確な答えが返ってきた。
((聞いているのはこっち。君さ、何してるわけ?ここんとこ、3日もずーーーーーっと籠の中眺めて。中の子、どうしたいの?食べたいの?人間だよね?そろそろヤバくない?))
という声が頭の中で響くと同時に、すぐ隣からピィピィピィピィ小鳥の鳴き声が聞こえる。
(…鳥がしゃべってる…?)
そのことにも驚いたが、話の内容を理解するにつれ、リザの顔は真っ青になった。ーーーはたから見る分にはあまり伝わることはなかったがーーー
「や、ヤバいって…どういう…っ?」
アワアワするリザの様子を見て、小鳥が冷静に突っこんでくる。
((そろそろ弱って死ぬんじゃないかってこと。君、ここ3日間、ずーっと見てただけでしょ?飲まず食わずじゃ、寝てるだけでもさすがに死ぬでしょ?))
そう言われれば、その通りだった。
今か今かと笑ってくれるのを待つばかりで、自分も何も食べていなかった。
自覚すると、グゥと腹がなった。
そして思う。自分でもこうなのだ。自分よりはるかに小さいこの生き物は、もっと空腹なのではないだろうか?
「どっ、どうすればいいのかなっ?コレは、何を食べるんだろう…っ?」
肩の小鳥に問いかける。
リザは、赤子を食べたいわけでも、死なせたいわけでもなかった。ただ、もう1度自分に笑いかけて欲しいだけなのだ。
そのためには、コレには生きていてもらわなくてはならない。…と思う。
((うーん、そうだねぇ、人の子は、赤子の頃は乳を飲むんだけど、君じゃ無理だよね?))
君、オスだし乳出せないよねぇ。などと小鳥は呟いている。
「そんなのもちろん出せないよっ!…木の実や果物じゃダメなのかな?」
((うーん…どうかなぁ。基本は乳じゃないかなぁ。この子まだかなり小さそうだし))
などと2人ーー2匹?ともいうーーでわちゃわちゃしていると、
「できることなら乳がいい」
((だよねぇ。乳がいいよねぇ))
まさかの第三者の声が聞こえた。
「((!!!))」
リザも小鳥もまさかの発言元を見た。
「((!?!))」
もう1度見た。
「えっ⁉︎えっっ⁉︎コレ、今っ、しゃべっ…っ⁉︎」
座るリザの両足の間の、地面に置かれた籠の中を覗くと、中の赤子はぱっちりと美しい紺碧の瞳を開けていた。
「乳がいい」
そう言うと赤子は、フッと目をつむった。心なしかグッタリしているように見える。
「えっ⁉︎コレっ⁉︎たおれ…っ⁉︎」
((…たんじゃない⁉︎なんかグッタリしてるよ⁉︎))
アワアワとする2人ーーもとい、2匹ーーー
「なっ、なんとかしなきゃ!なんとかっ!!」
ど、どどどっ、どうしようっ⁉︎
と。大混乱のリザ。
((とっ、とりあえず、なにかしらの乳を飲ませればいいんじゃない⁉︎))
バサバサピィピィ。
と。こちらも大慌ての小鳥。
「そっ、そそそ、そうかっ。ち、乳だ!」
((そうそう、乳、乳!))
乳が必要なのは分かったが、問題なのは、ここには肝心の乳がないことだ。
「ねっ、ねぇっ、乳ってどこにあるのかな⁉︎」
((どっ、どこって、そりゃ、牛とかヤギとかだろ⁉︎))
「牛とかヤギとか、いないけどっ!」
((さっ、探しに行くとかっ?))
どうするどうすると押し問答している間にも、徐々に赤子の顔色が悪くなっていっているような気がする。
「さっ、探しに行くって、どこに⁉︎っていうか、コレ、なんかさっきより顔色悪くない⁉︎」
大丈夫なのぉー⁉︎と、リザはパニックである。
((おっ、おおぉぅ、たっ、確かに顔色が悪いぞ。さっ、探しに行かねば!行かねば!))
「行かねばって、どこにさー⁉︎っていうか、乳ってどこにあるのさー⁉︎っていうか、っていうか、うーしーー!!!ヤーギーー!!!いーるーなーらーたーすーけーてーぇーーー!!!」
気づけばリザは絶叫していた。
生まれてこのかた、初めて叫んだ。
焦りと不安、それらからくる怒りや心配。そういうもの、すべてをひっくるめて叫んだ。こんな感情を持つのも初めてだった。
ポンコツとはいえさすがは竜。
その叫びは絶大だった。
叫びは、谷中に響きわたった。
隣でパタパタわぁわぁと騒がしく飛んでいた小鳥は、驚き気絶し、バタリと地面に落ちた。
それに気づいたリザがオロオロしていると、
((うるさいやつだねぇー。男ならもっとどっしりと構えてなきゃダメだろう))
そんな声が頭に響いた。
驚いたリザが周りに目を向けると、1匹のヤギがこちらに歩いてきていた。
((それで、谷中に響くような大声だして、どうしたんだい?))
リザのすぐ側までやってきたヤギは、リザを見上げてそう聞いた。ゆっくりとした、落ち着いた声だった。
それを聞いたリザは、落ち着きを少し取り戻した。
そして、恐らく赤子が空腹でピンチであることを伝えた。
それから、ヤギの指示の下、気がついた小鳥とともに四苦八苦しながらも、なんとかリザは赤子に乳を飲ませることができた。
0
あなたにおすすめの小説
好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が
和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」
エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。
けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。
「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」
「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」
──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。
【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!
りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。
食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。
だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。
食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。
パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。
そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。
王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。
そんなの自分でしろ!!!!!
双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ
海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。
あぁ、大丈夫よ。
だって彼私の部屋にいるもん。
部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。
恋人でいる意味が分からないので幼馴染に戻ろうとしたら‥‥
矢野りと
恋愛
婚約者も恋人もいない私を憐れんで、なぜか幼馴染の騎士が恋人のふりをしてくれることになった。
でも恋人のふりをして貰ってから、私を取り巻く状況は悪くなった気がする…。
周りからは『釣り合っていない』と言われるし、彼は私を庇うこともしてくれない。
――あれっ?
私って恋人でいる意味あるかしら…。
*設定はゆるいです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る
小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」
政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。
9年前の約束を叶えるために……。
豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。
「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。
本作は小説家になろうにも投稿しています。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる