麗しの超人お姫様はへっぽこ竜を溺愛する〜今さら無理とか言わせません。育てた責任とってもらうわ〜

ナカナカ田

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リザは赤子を見つめ続けた。



・・・・・・・・・・・・・



(なかなか起きないな…そんなに笑ってくれはしないものなのかな?うーん…よく分からないな。もうしばらく待っていればいいのかな?)

などと考えていると、パタパタという羽音とともに、耳慣れない声が頭に響いた。

((ねぇねぇ、君、何してるの?))

キョロキョロと辺りを見回すと、自分の肩に小鳥がとまってピィピィと鳴いている。

不思議に思い、また辺りをキョロキョロすると、

ドスっ。っと、

顔の下のあたりを突かれた。

「えっ⁉︎い、いたっ!な、なに⁉︎」

リザは驚いて自分を突き刺したものを見やった。

分かってはいたが、それは自分の肩にとまっていた小鳥だった。

「えっ…なっ…どっ…」

えっ、なに、どうして?と言いたいリザの気持ちは言葉にならなかった。しかし、明確な答えが返ってきた。

((聞いているのはこっち。君さ、何してるわけ?ここんとこ、3日もずーーーーーっと籠の中眺めて。中の子、どうしたいの?食べたいの?人間だよね?そろそろヤバくない?))

という声が頭の中で響くと同時に、すぐ隣からピィピィピィピィ小鳥の鳴き声が聞こえる。

(…鳥がしゃべってる…?)

そのことにも驚いたが、話の内容を理解するにつれ、リザの顔は真っ青になった。ーーーはたから見る分にはあまり伝わることはなかったがーーー

「や、ヤバいって…どういう…っ?」

アワアワするリザの様子を見て、小鳥が冷静に突っこんでくる。

((そろそろ弱って死ぬんじゃないかってこと。君、ここ3日間、ずーっと見てただけでしょ?飲まず食わずじゃ、寝てるだけでもさすがに死ぬでしょ?))

そう言われれば、その通りだった。
今か今かと笑ってくれるのを待つばかりで、自分も何も食べていなかった。

自覚すると、グゥと腹がなった。

そして思う。自分でもこうなのだ。自分よりはるかに小さいこの生き物は、もっと空腹なのではないだろうか?

「どっ、どうすればいいのかなっ?コレは、何を食べるんだろう…っ?」

肩の小鳥に問いかける。

リザは、赤子を食べたいわけでも、死なせたいわけでもなかった。ただ、もう1度自分に笑いかけて欲しいだけなのだ。

そのためには、コレには生きていてもらわなくてはならない。…と思う。

((うーん、そうだねぇ、人の子は、赤子の頃は乳を飲むんだけど、君じゃ無理だよね?))

君、オスだし乳出せないよねぇ。などと小鳥は呟いている。

「そんなのもちろん出せないよっ!…木の実や果物じゃダメなのかな?」

((うーん…どうかなぁ。基本は乳じゃないかなぁ。この子まだかなり小さそうだし))

などと2人ーー2匹?ともいうーーでわちゃわちゃしていると、


「できることなら乳がいい」


((だよねぇ。乳がいいよねぇ))

まさかの第三者の声が聞こえた。

「((!!!))」

リザも小鳥もまさかの発言元を見た。

「((!?!))」

もう1度見た。

「えっ⁉︎えっっ⁉︎コレ、今っ、しゃべっ…っ⁉︎」

座るリザの両足の間の、地面に置かれた籠の中を覗くと、中の赤子はぱっちりと美しい紺碧の瞳を開けていた。


「乳がいい」


そう言うと赤子は、フッと目をつむった。心なしかグッタリしているように見える。

「えっ⁉︎コレっ⁉︎たおれ…っ⁉︎」

((…たんじゃない⁉︎なんかグッタリしてるよ⁉︎))

アワアワとする2人ーーもとい、2匹ーーー

「なっ、なんとかしなきゃ!なんとかっ!!」

ど、どどどっ、どうしようっ⁉︎
と。大混乱のリザ。

((とっ、とりあえず、なにかしらの乳を飲ませればいいんじゃない⁉︎))

バサバサピィピィ。
と。こちらも大慌ての小鳥。

「そっ、そそそ、そうかっ。ち、乳だ!」

((そうそう、乳、乳!))

乳が必要なのは分かったが、問題なのは、ここには肝心の乳がないことだ。

「ねっ、ねぇっ、乳ってどこにあるのかな⁉︎」

((どっ、どこって、そりゃ、牛とかヤギとかだろ⁉︎))

「牛とかヤギとか、いないけどっ!」

((さっ、探しに行くとかっ?))

どうするどうすると押し問答している間にも、徐々に赤子の顔色が悪くなっていっているような気がする。

「さっ、探しに行くって、どこに⁉︎っていうか、コレ、なんかさっきより顔色悪くない⁉︎」

大丈夫なのぉー⁉︎と、リザはパニックである。

((おっ、おおぉぅ、たっ、確かに顔色が悪いぞ。さっ、探しに行かねば!行かねば!))

「行かねばって、どこにさー⁉︎っていうか、乳ってどこにあるのさー⁉︎っていうか、っていうか、うーしーー!!!ヤーギーー!!!いーるーなーらーたーすーけーてーぇーーー!!!」

気づけばリザは絶叫していた。

生まれてこのかた、初めて叫んだ。

焦りと不安、それらからくる怒りや心配。そういうもの、すべてをひっくるめて叫んだ。こんな感情を持つのも初めてだった。

ポンコツとはいえさすがは竜。
その叫びは絶大だった。

叫びは、谷中に響きわたった。

隣でパタパタわぁわぁと騒がしく飛んでいた小鳥は、驚き気絶し、バタリと地面に落ちた。

それに気づいたリザがオロオロしていると、


((うるさいやつだねぇー。男ならもっとどっしりと構えてなきゃダメだろう))


そんな声が頭に響いた。

驚いたリザが周りに目を向けると、1匹のヤギがこちらに歩いてきていた。

((それで、谷中に響くような大声だして、どうしたんだい?))

リザのすぐ側までやってきたヤギは、リザを見上げてそう聞いた。ゆっくりとした、落ち着いた声だった。

それを聞いたリザは、落ち着きを少し取り戻した。
そして、恐らく赤子が空腹でピンチであることを伝えた。

それから、ヤギの指示の下、気がついた小鳥とともに四苦八苦しながらも、なんとかリザは赤子に乳を飲ませることができた。


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