麗しの超人お姫様はへっぽこ竜を溺愛する〜今さら無理とか言わせません。育てた責任とってもらうわ〜

ナカナカ田

文字の大きさ
6 / 16

5

しおりを挟む
はたから見るとずいぶん奇妙な、しかし、本人たちにとっては大真面目な共同生活が始まった。

リザは、落ちてきた赤子をとりあえず育てることにした。

もう1度笑いかけて欲しいという理由もあったが、それ以上に、リザは赤子を見捨てることができなかった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



あの日、ヤギに分けてもらった乳を飲ますとーーー赤子は、それはそれはものすごい勢いで乳を飲んだ。そんな飲んで大丈夫かと、リザも小鳥もヤギも引くほど飲んだ。しかも、寝ながらーーー赤子の顔色はずいぶんと良くなった。

その様子を見ながら、ヤギはリザに聞いてきた。

((アンタ、この子をどうするつもりなんだい?))

その声音は、リザや赤子を心配するようでもあり、この状況を面白がっているようでもあった。

「どうする…かぁ…。あんまり考えてなかったけど…」

((おっまえ、あんなに熱心に、ずーーーっと眺めてたのに、なんにも考えてなかったのかよ⁉︎))

すっかり復活した小鳥が、リザの肩の上でピィピィ喚いている。

「うん。もう1回笑いかけて欲しいなーって覗いてただけだから」

そう言いながらも、リザの心は決まっていた。

「うん、でも、とりあえず、育ててみるよ」

((ふんふん、そうか。育てるか…って、えっ!お前が⁉︎))

ピィピィピィピィ小鳥が喚く。

初めはずいぶん驚いたが、リザは小鳥の言葉が分かることにも、そのテンションにもかなり慣れてきた。

リザはへっぽこだが、順応性は高い竜だった。

「うん。なんだか、このまま放っておくのも後味が悪いし…」

((アンタの気持ちもわからなくはないけれど、赤子を、それも他種族の子を育てるのは、大変なことだよ?))

ヤギがリザの気持ちを確かめるように言う。

「うん。そうだね。でも、やってみようと思うんだ。うまくいくかは分からないけど、ボクには時間がたくさんあるから。人族の子なんて、長く生きても50~70年くらいでしょ?ボクからすれば、あっという間のことだと思う」

そういうリザの顔はどこか寂しげだった。

その顔を見た小鳥もヤギも、なにも言えなかった。

((…そうかい。なら、アタシも手伝ってやるよ))

ヤギがふいにそう言った。

((なら、仕方ねーな。オレも手伝ってやるよ))

どこか得意そうに小鳥も言った。

「えっ⁉︎いいのかい?ありがとう!子育てなんてしたことないから、とっても心強いよ」

リザはニコリと笑いかけた。

「ボクはリザルドラ。リザって呼んでね。それらしくないけど、一応竜だよ」

リザが名乗れば。

((オレはビアンキだ。仲間うちではビィって呼ばれてる))

よろしくな。と、小鳥が名乗る。

((アタシはマーラ。そのままマーラと呼んでくれればいいよ))

ヤギも名乗る。



竜に小鳥にヤギに人。
世にも奇妙なファミリーが誕生した瞬間であった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

好きすぎます!※殿下ではなく、殿下の騎獣が

和島逆
恋愛
「ずっと……お慕い申し上げておりました」 エヴェリーナは伯爵令嬢でありながら、飛空騎士団の騎獣世話係を目指す。たとえ思いが叶わずとも、大好きな相手の側にいるために。 けれど騎士団長であり王弟でもあるジェラルドは、自他ともに認める女嫌い。エヴェリーナの告白を冷たく切り捨てる。 「エヴェリーナ嬢。あいにくだが」 「心よりお慕いしております。大好きなのです。殿下の騎獣──……ライオネル様のことが!」 ──エヴェリーナのお目当ては、ジェラルドではなく獅子の騎獣ライオネルだったのだ。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

双子の姉がなりすまして婚約者の寝てる部屋に忍び込んだ

海林檎
恋愛
昔から人のものを欲しがる癖のある双子姉が私の婚約者が寝泊まりしている部屋に忍びこんだらしい。 あぁ、大丈夫よ。 だって彼私の部屋にいるもん。 部屋からしばらくすると妹の叫び声が聞こえてきた。

恋人でいる意味が分からないので幼馴染に戻ろうとしたら‥‥

矢野りと
恋愛
婚約者も恋人もいない私を憐れんで、なぜか幼馴染の騎士が恋人のふりをしてくれることになった。 でも恋人のふりをして貰ってから、私を取り巻く状況は悪くなった気がする…。 周りからは『釣り合っていない』と言われるし、彼は私を庇うこともしてくれない。 ――あれっ? 私って恋人でいる意味あるかしら…。 *設定はゆるいです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る

小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」 政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。 9年前の約束を叶えるために……。 豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。 「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。 本作は小説家になろうにも投稿しています。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

処理中です...