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sideやらかしてしまった見知らぬ男
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私はフィリップ・オブライエン。
この国の第二王子、ジークフリード・ヴァンデミリオン様の側近をつとめている。
私は現在、大ピンチだ。
なぜならおそらく、いや間違いなく、主のお楽しみの時間を邪魔してしまったからだ。
悪気があったわけではない。どうしても急ぎで確認したいことがあったのでやって来たのだ。
しかし、ものすごくタイミングが悪かったようだ。
「何か用かな?フィリップ」
一見とても穏やかに主は私に聞いてくる。
だが、目が笑っていない。笑顔の奥の青い瞳は、猛禽類の捕食者のソレである。
私の背中に冷たい汗が流れはじめる。
「いっ、急ぎの確認があったかと思ったのですが、私の勘違いだったようです!大変失礼しました!」
なんとかそれだけ言って慌てて部屋から飛び出した。
閉めた扉を背に、心臓がバクバクと音を立てている。
(あれが噂の女かーー)
蜜のような女だった。
流れる漆黒の長い髪に深い黒の瞳。艶やかな赤い唇に、すらりとした鼻。メイド服の上からでもわかる柔らかそうな肉を持つ体。
極上の蜂蜜のような、樹齢何百年を超える木がこぼす貴重な樹液のような、妖艶な男を狂わす、しかしどこか爽やかな幼さも持ちあわせている、不思議な女だった。
(年齢は、20代から30代…だろうか?)
その女の肩に頭をのせ、とても寛いだーーけれど隠し切れないほどあつい熱を帯びた視線を女に向けていた主ーー。
それは、誰が見てもわかるほど分かりやすい、恋する男の顔だった。
(あれは本当に主だったのかーー?)
そう思うのも無理はない。
主である第二王子ジークフリード様は、裏で"ドールプリンス"と呼ばれていた。
いわく、人形のように美しく、人形のように無機質である。と。
天使のように華麗な容姿で、その上才能あふれる王子は、いつだってお決まりのニコニコとした笑顔を貼り付けて周りを蹴散らしていた。
若干15歳という年齢にも関わらず、魔力の強さで主の右に出るものはこの国にはいなかったし、また、魔法への理解についても、群を抜いていた。
本人は気にもとめていないが、身体能力も抜群。国1番の騎士団長が、本気で側近に求めるクラスである。その上、頭も相当切れる。外交問題の困り事など、宰相がコッソリ相談に来ているのを、私は知っている。
そんな主は当然のことながら女性からの人気も高い。お近づきになりたいと願う女性は山のようにいたし、自らとおのれの親の持つ権力を使ってすり寄ろうとする猛者も何人かいた。
しかし、王子はこれまでどんな女性も側に置くことはなかった。
ニコニコ笑顔で対応しながら、その実、瞳は笑うことなく冷めていた。その場は当たり障りなくこなすが、自分のパーソナルスペースに入れることは決してなかった。
(…はずなんだがなぁ…)
年相応に恋する主を微笑ましく思いつつ、やらかしてしまった事実を思い出すと、そして主の性格を思うと、震えの止まらないフィリップであった。
この国の第二王子、ジークフリード・ヴァンデミリオン様の側近をつとめている。
私は現在、大ピンチだ。
なぜならおそらく、いや間違いなく、主のお楽しみの時間を邪魔してしまったからだ。
悪気があったわけではない。どうしても急ぎで確認したいことがあったのでやって来たのだ。
しかし、ものすごくタイミングが悪かったようだ。
「何か用かな?フィリップ」
一見とても穏やかに主は私に聞いてくる。
だが、目が笑っていない。笑顔の奥の青い瞳は、猛禽類の捕食者のソレである。
私の背中に冷たい汗が流れはじめる。
「いっ、急ぎの確認があったかと思ったのですが、私の勘違いだったようです!大変失礼しました!」
なんとかそれだけ言って慌てて部屋から飛び出した。
閉めた扉を背に、心臓がバクバクと音を立てている。
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流れる漆黒の長い髪に深い黒の瞳。艶やかな赤い唇に、すらりとした鼻。メイド服の上からでもわかる柔らかそうな肉を持つ体。
極上の蜂蜜のような、樹齢何百年を超える木がこぼす貴重な樹液のような、妖艶な男を狂わす、しかしどこか爽やかな幼さも持ちあわせている、不思議な女だった。
(年齢は、20代から30代…だろうか?)
その女の肩に頭をのせ、とても寛いだーーけれど隠し切れないほどあつい熱を帯びた視線を女に向けていた主ーー。
それは、誰が見てもわかるほど分かりやすい、恋する男の顔だった。
(あれは本当に主だったのかーー?)
そう思うのも無理はない。
主である第二王子ジークフリード様は、裏で"ドールプリンス"と呼ばれていた。
いわく、人形のように美しく、人形のように無機質である。と。
天使のように華麗な容姿で、その上才能あふれる王子は、いつだってお決まりのニコニコとした笑顔を貼り付けて周りを蹴散らしていた。
若干15歳という年齢にも関わらず、魔力の強さで主の右に出るものはこの国にはいなかったし、また、魔法への理解についても、群を抜いていた。
本人は気にもとめていないが、身体能力も抜群。国1番の騎士団長が、本気で側近に求めるクラスである。その上、頭も相当切れる。外交問題の困り事など、宰相がコッソリ相談に来ているのを、私は知っている。
そんな主は当然のことながら女性からの人気も高い。お近づきになりたいと願う女性は山のようにいたし、自らとおのれの親の持つ権力を使ってすり寄ろうとする猛者も何人かいた。
しかし、王子はこれまでどんな女性も側に置くことはなかった。
ニコニコ笑顔で対応しながら、その実、瞳は笑うことなく冷めていた。その場は当たり障りなくこなすが、自分のパーソナルスペースに入れることは決してなかった。
(…はずなんだがなぁ…)
年相応に恋する主を微笑ましく思いつつ、やらかしてしまった事実を思い出すと、そして主の性格を思うと、震えの止まらないフィリップであった。
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