拝啓 愛しの部長様

鏡野ゆう

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第一部 愛海の爆弾発言の巻

第六話 ハッピーエンドの始まり

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「おい、大丈夫か?」
「ぅん……?」

 弾けるような快感で頭がボーっとなってしまっていた私を部長が少しだけ心配そうな顔で覗き込んできた。いつもならベッドで目を開ければ天井と電気の傘が見えるのに今日は部長の逞しい体が視界を占領している。なんだか不思議な気分。そんなことを考えながら覗き込んでいる顔を見上げていると、まだビクビクと脈打っている体の奥へと指が入り込んでいた。

「あぁ、やぁん……」

 ゆるゆると貫かれていく感触に体が反り返り思わず声が出てしまう。そんな私の反応に気を良くしたのか、部長はゆっくりとした動きで中を探るように指を動かしては私がどうんなふうに感じるのかどんなふうに声をあげるのかジッと観察しているようだった。

「ぶちょお、もうやぁ……っ」

 感じてしまうところを執拗に攻められて泣きそうになったところでやっと解放された。自分の中から指が出ていくのを感じてホッと息をついていると、すかさず部長が体をずらして私の足の間に体を割り込ませてきた。さっきまで指が入り込んでいたところの入口に何か熱くて硬いものが当たる。

「そろそろ良いか? それともやっぱりやめるか?」

 熱くて硬いもので擦られるたびに切なさが襲ってきて早く自分の中に迎え入れたいという思いが沸き上がってきた。

「やめないで……部長の……」

 そう言いながら視線を下にやって目に入ってきたものに思わず息を呑む。自慢じゃないけど男の人のその、何て言うか“それさん”をまともに見たのは小さい時の父親とお風呂に入った時とか、小さい頃の弟がお風呂から出てきて部屋で走り回っていた時のぐらい。その時に見たものはこんなに……えっと、こんなに大きくなかったし、何て言うの? こんな風に起きてる状態じゃなかった……。何て言うか現実の世界は恋愛小説に比べるとずっと生々しいの一言に限るかも……。

「どうした?」
「あの……そんな、に大きいの入るのかな、って……」
「標準だろ、これぐらい……」

 部長は自分のを見下ろしながら首を傾げている。

「うそ……」
「今まで入らないで困ったなんてことはないぞ?」

 嘘だ、絶対に嘘だよ。こんなの入らないって。だってこんなに大きいんだよ? 部長は絶対に無理だよと怖じ気づいた私が逃げ出さないようにと大きな両手で私の腰を掴むとゆっくりと体を近付けてきた。硬いものが少しだけ中に入り込んでくるのを感じて体がビクッと震えた。

「あ……っ」
「痛かったら遠慮なく言えよ?」

 そう言いながら腰を前後に揺らしながら押し付けてきた。徐々に押し広げられるような感じが強くなってきて熱いものが体の奥へと入り込んでいくのが分かる。

「あぁ、やぁっ」

 どんどんと強くなる圧迫感にギュっと目を閉じて枕に顔をうずめた。

「痛いか?」
「まだ痛くはないけど……」

 初めての時って痛いって言うけどそれよりも今は自分の中に男の人のものが入り込んでいることに対する戸惑いの方が強くて、体の中で自分とは違うリズムの脈が感じられるのが何とも不思議な感じだった。

「……?」

 いつの間にか部長の動きが止まっていてもしかして全部入ったのかな?と戸惑いながら部長のことを見上げる。

「すまないな。たぶん痛いと思うが少しの間だけ我慢してくれ」
「?」

 部長の言葉に少しだけ首を傾げた途端、グッと強く押し入ってくる感じがして鋭い痛みが襲ってきた。

「……っ!!」

 思っていたのよりずっと痛くて部長のことを押しのけようとしたけど許してもらえなくて、ひたすら焼けるような痛みと強くなる圧迫感に耐えた。そしてもう無理と思った瞬間、お互いの身体がこれ以上は無いっていうぐらいに密着する。部長が安堵の溜め息をつきながら顔を上げると少しだけ笑みを浮かべてキスをしてくれたことで私達は完全に結ばれたんだっていうのが分かった。まだ痛みはあるけどそのことが凄く嬉しくて思わず部長にしがみつく。

「動いていいか?」

 その問い掛けに頷くと部長がゆっくりと腰を動かし始めた。始めのうちはピリピリとした痛みが走ってそれどころじゃなかったけど、いつの間にか痛みが薄れて部長の動きに合わせて腰を浮かせていた。


+++++


「部長?」

 まだ自分の中に身体の一部をおさめたままこちらに身体を投げ出している部長を抱き締めたまま声をかけた。ずっとこうやって繋がって抱き合っていたいけど、そろそろ現実的な問題に直視しないといけない時間だと思う。

「どうした?」
「私、お腹すきましたぁ……」

 部長は笑ったみたいだけど笑い事じゃないと思う。壁にかかっている時計を見たらもうお昼。朝からずっとベッドの中で過ごしていたなんて今日が初めてだった私にとっては人生最大の大事件だ。だけどそんな大事件の割りにお腹の方は実に正直でさっきから空腹を訴えている。

「そうだな、さすがに何か食べないと、だな」
「ですです」

 抱き合っていた身体が離れるとちょっと寂しい気がしたけど、私の中から部長のものが出ていく感触に思わず声が漏れた。やだ、こんなことでも感じちゃうもの?

「駄目だ、もう誘うなよ?」
「誘ってなんかないです!」

 断じて誘ってない! それに万が一誘いたくったってもうこれ以上は無理だよ。あちこち痛くてまともに動けそうにないのは部長じゃなくて私の方だと思う。私に背中を向けて避妊具の処理をし終った部長がこちらに体を向けた。

「一緒にシャワー浴びて、それから飯、食べようか。こんな時にコンビニで買ったもので腹を満たすのは申し訳ないけどな」
「お味噌汁ぐらい作ることできますよ、そのくらいなら冷蔵庫に何かあったと思いますし。さすがにスープはレトルトしか無いですけど」

 部長に起こしてもらうと身体の下に何故かバスタオルが敷かれていて、そこには赤茶っぽいシミができてた。これってもしかして初めての時の? こういうのを目の前に突きつけられると結構恥ずかしいかも……。

「今更だが後悔してるか?」

 私が恥ずかしくて俯いたのを何か勘違いしたのか、部長がちょっと心配そうに尋ねてきた。その問いに首を横に振る。後悔なんてする筈がない、だって今とても幸せな気分なんだから。だけどこんな風にお互いに何も着ない状態で向き合うのはやっぱりまだ恥ずかしいかな……そう思いながらベッドの下に放り投げられていたトレーナーを拾い上げて体に押し当てる。

「初めてが部長でよかったです」
「そうか。できることなら最後にもなりたいけどな」
「え?」
「さ、風呂だ、風呂。俺もさすがに腹が減ってきた」

 それってどういう意味ですか?って聞く前に抱き上げられてお風呂につれていかれた。

 そこで分かったことが一つ。部長は意外とねちっこいってこと。体力では若造には勝てないからテクニックで勝負な?なんて言っていたけど、昼までエッチを続けられたんだもの充分に体力あると思うんだけどな。

 そしてそのせいで私はお風呂から出る頃にはフラフラになっていた。原因はもちろんさっきからニヤニヤして私のことを眺めている部長さん。お風呂には持ってきていないからと言って体を繋げることをしないまま、あんなことやこんなことで私のことを翻弄するなんて。本当に私の王子様はねちっこいって言うか何て言うか、とにかく色々な意味で経験値が高いってことが最初の一日でよーく分かった気がする。


 そしてお昼ご飯を食べてエネルギーを補充した部長さんは何とその日の夜まで……って言うか次の日の朝まで……と言うよりその週末はひとときも私のことを離してくれなかった。こうして私はただの酔っ払い新人社員Aから海藤部長の彼女さんに昇格したのでした。
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