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1.ようこそ
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その姿を忘れたことはない。禍々しい黒いオーラのようなもの、赤い瞳、肩まである長い髪、この男のことを忘れたことはない。
「いつか…必ず…」
その思いを、復讐の心を、忘れたことはない。
「今回の志願者は2人か」
東京の一区画、都心から離れたその場所に、新たな志願者が集められた。
「設立から10年が経つが、これほど人数が少ないのは初めてだ」
短い黒髪を無理やり後ろで縛った長身の女はそこで一度言葉を区切り、
「しかもどちらも無能力者ときた、これでは他の支部への顔が立たん…」
と、頭を抱えた。
「支部長、そろそろそのへんで…」
今度は大人しそうな顔立ちの背の低い眼鏡をかけた女が声を発した。
支部長と呼ばれた女は一つ咳払いをし、
「まあ、それでもいまだ志願者が尽きないというのはまだマシなのかもしれん」
「反能力犯罪組織、アビリティリバティへようこそ。日本、東京支部支部長、真田キリだ。こちらは前田キョウコ。副支部長にして、医療部長も兼任している。以後顔を覚えておくように」
前田はペコリと会釈をした。
「さて、ではお前達の名を聞こう。ここに来たということはそれなりに腕が立つのだろう?」
「まずはお前からだ」
指をさされた金髪の少年が声をあげる
「アラン=リオス。銃の扱いなら任せてくれ!」
この場に似つかわしいとは思えない元気な声で紹介をすませるリオス。
「イギリスから来た元少年兵とはお前のことか。今の時代、どこの国にどの国の人間がいようと不思議ではないからな。では…次にお前だ」
指を向けられた黒髪の少年は顔を引き締め
「伊波ミツハ。俺は…必ず復讐を果たすために、絶対に強くなるためにここへ来たんだ!」
「では基礎テストを終える」
モニター越しの真田の声により、ミツハとリオスは武器を下ろす。
「ゼェ…ハァ…や、やっと終わった…」
リオスはその場にへたり込む
「噂には聞いてたけど、これはキツすぎだって絶対!いくら射撃が得意っつってもいきなり4時間も戦闘させるかフツー!?」
自己紹介のあと、2人は広大な訓練室にて模擬戦闘訓練を受けていた。ナイフや刀からショットガン、大口径スナイパーライフルに至るまで様々な武器を駆使して仮想敵と戦っていた。実体はないが質感がある。不思議な感覚だった。何度か打ち抜かれてしまったが、一時的な痛みのみで外傷もない。脳に直接痛覚を感じさせられている感じだ。
「どうよあんた、やっていけそう?」
リオスが問いかけてくる。
「…なんとか。能力がないんじゃ武器の技術でカバーしていくしかないだろ」
まじめだね~というリオスの言葉を流しつつ、ミツハは荒い息を整える。この訓練を経て、少しづつだがリオスとコミュニケーションがとれるようになってきた。
「それでは再び支部長室へ集まれ。結果を言い渡す」
モニターよりまたしても真田の声が聞こえてくる。
「全くもう少し休ませろっつーの。そんじゃまあ、いこーか」
「ああ」
リオスに続いてミツハが部屋から出ていく。
「まずはアラン=リオス。お前からだ」
支部長室へ戻ってきた2人は、真田の言葉に集中する。
「銃の扱いに慣れていると言っていたが、お前の性格では到底生き残ることは不可能だ」
「取り回しに関しては認めてやるが、無鉄砲に動き回りすぎだ。もっと周りを見ろ。何度死んでると思っている」
真田は一呼吸置き、
「元少年兵という動きを忘れろ。その命はもう簡単に失っていいものでは無い。世界のために、戦い続けるのだからな」
「…ってことは…?」
それまでうなだれていたリオスは顔を上げ目を輝かせる。
「ひとまずは合格だ。正直なめていたことは謝罪しよう。だが、これ以上の成長が見られない場合、すぐに解雇させてもらうからな」
真田の言葉に対しリオスはガッツポーズをとる。
「それなら、こいつも!?」
指をさされたミツハは緊張の面持ちで真田の言葉を待つ。
真田は、ああ…と頷きながら
「お前も合格だ伊波ミツハ。剣の扱いは大したものだ。接近戦では支部の中でも上位に入るだろう」
「だが、お前はほとんど使わずじまいだったが、重火器の扱いはてんで駄目だな。ハンドガン、サブマシンガンはまだしも、これでは高位能力者相手には歯が立たん」
ミツハは能力者という言葉にピクッと反応した。
「やはり、能力がないと駄目なんでしょうか」
真田はため息をつきながら、
「お前のような考えのやつは前から何度も見ているが、そんなことはない。個人の力量次第で、能力者にだって同等以上に渡り合える。というか、そうじゃなくてはこの支部自体成り立たんだろう」
真田の言葉にミツハは
「俺はもちろん訓練にだって手を抜きません。ですが、いつか必ず能力を手に入れて、もっと強くならなくてはいけないと考えています」
と返す。
「戦いの中で成長し能力を手に入れる奴だっている。何も能力を生まれ持った人間だけが全てではないさ」
「まあ、せいぜい頑張ることだ」
戦っていく中で能力を得るという事を胸に、ミツハは強く頷いた。
「さて、では任務について説明する。」
「お前達も知っての通り、能力を悪用する人間、私達はこれをCrime ability person(犯罪能力者)。通称CAPと呼んでいる」
「CAPの強さに準じて、こちらもそれに見合った戦力を投入することになる」
「相手のアジト、人数、能力の種類を見るということだ」
「そこで重要になるのが、我が支部隊員のランクだ。」
「我々アビリティリバティは隊員のランクを1~10までにランク分けしている。お前達新兵はひとまずランク1となるだろう。」
「ランクを上げたければ戦場で成果を出すことだ。より高能力者相手の任務を受け付けられる。」
「詳しい説明はまた後日としよう。今日はもう休め。お前達の部屋は既に用意してある。明日、各自に見合った武器を調達してやろう。」
「マジで!?まさかさっきの訓練でそこまで見抜いたってのか!?」
それまで半分寝そうになりながら聞いていたリオスはガバッ!と顔を上げた。
「あまりこの組織を見くびるなよ…?」
真田はニヤッと口角を上げた。
支部長室を出ようとしたとき、ミツハは真田に呼び止められた。
「伊波ミツハ。聞きそびれてしまったが、お前のその戦闘スキルはどこで身につけたものだ?アラン=リオスのように少年兵上がりではないだろう」
ミツハはしばし間を空け、
「…独学です」
とだけ答えた。
「いつか…必ず…」
その思いを、復讐の心を、忘れたことはない。
「今回の志願者は2人か」
東京の一区画、都心から離れたその場所に、新たな志願者が集められた。
「設立から10年が経つが、これほど人数が少ないのは初めてだ」
短い黒髪を無理やり後ろで縛った長身の女はそこで一度言葉を区切り、
「しかもどちらも無能力者ときた、これでは他の支部への顔が立たん…」
と、頭を抱えた。
「支部長、そろそろそのへんで…」
今度は大人しそうな顔立ちの背の低い眼鏡をかけた女が声を発した。
支部長と呼ばれた女は一つ咳払いをし、
「まあ、それでもいまだ志願者が尽きないというのはまだマシなのかもしれん」
「反能力犯罪組織、アビリティリバティへようこそ。日本、東京支部支部長、真田キリだ。こちらは前田キョウコ。副支部長にして、医療部長も兼任している。以後顔を覚えておくように」
前田はペコリと会釈をした。
「さて、ではお前達の名を聞こう。ここに来たということはそれなりに腕が立つのだろう?」
「まずはお前からだ」
指をさされた金髪の少年が声をあげる
「アラン=リオス。銃の扱いなら任せてくれ!」
この場に似つかわしいとは思えない元気な声で紹介をすませるリオス。
「イギリスから来た元少年兵とはお前のことか。今の時代、どこの国にどの国の人間がいようと不思議ではないからな。では…次にお前だ」
指を向けられた黒髪の少年は顔を引き締め
「伊波ミツハ。俺は…必ず復讐を果たすために、絶対に強くなるためにここへ来たんだ!」
「では基礎テストを終える」
モニター越しの真田の声により、ミツハとリオスは武器を下ろす。
「ゼェ…ハァ…や、やっと終わった…」
リオスはその場にへたり込む
「噂には聞いてたけど、これはキツすぎだって絶対!いくら射撃が得意っつってもいきなり4時間も戦闘させるかフツー!?」
自己紹介のあと、2人は広大な訓練室にて模擬戦闘訓練を受けていた。ナイフや刀からショットガン、大口径スナイパーライフルに至るまで様々な武器を駆使して仮想敵と戦っていた。実体はないが質感がある。不思議な感覚だった。何度か打ち抜かれてしまったが、一時的な痛みのみで外傷もない。脳に直接痛覚を感じさせられている感じだ。
「どうよあんた、やっていけそう?」
リオスが問いかけてくる。
「…なんとか。能力がないんじゃ武器の技術でカバーしていくしかないだろ」
まじめだね~というリオスの言葉を流しつつ、ミツハは荒い息を整える。この訓練を経て、少しづつだがリオスとコミュニケーションがとれるようになってきた。
「それでは再び支部長室へ集まれ。結果を言い渡す」
モニターよりまたしても真田の声が聞こえてくる。
「全くもう少し休ませろっつーの。そんじゃまあ、いこーか」
「ああ」
リオスに続いてミツハが部屋から出ていく。
「まずはアラン=リオス。お前からだ」
支部長室へ戻ってきた2人は、真田の言葉に集中する。
「銃の扱いに慣れていると言っていたが、お前の性格では到底生き残ることは不可能だ」
「取り回しに関しては認めてやるが、無鉄砲に動き回りすぎだ。もっと周りを見ろ。何度死んでると思っている」
真田は一呼吸置き、
「元少年兵という動きを忘れろ。その命はもう簡単に失っていいものでは無い。世界のために、戦い続けるのだからな」
「…ってことは…?」
それまでうなだれていたリオスは顔を上げ目を輝かせる。
「ひとまずは合格だ。正直なめていたことは謝罪しよう。だが、これ以上の成長が見られない場合、すぐに解雇させてもらうからな」
真田の言葉に対しリオスはガッツポーズをとる。
「それなら、こいつも!?」
指をさされたミツハは緊張の面持ちで真田の言葉を待つ。
真田は、ああ…と頷きながら
「お前も合格だ伊波ミツハ。剣の扱いは大したものだ。接近戦では支部の中でも上位に入るだろう」
「だが、お前はほとんど使わずじまいだったが、重火器の扱いはてんで駄目だな。ハンドガン、サブマシンガンはまだしも、これでは高位能力者相手には歯が立たん」
ミツハは能力者という言葉にピクッと反応した。
「やはり、能力がないと駄目なんでしょうか」
真田はため息をつきながら、
「お前のような考えのやつは前から何度も見ているが、そんなことはない。個人の力量次第で、能力者にだって同等以上に渡り合える。というか、そうじゃなくてはこの支部自体成り立たんだろう」
真田の言葉にミツハは
「俺はもちろん訓練にだって手を抜きません。ですが、いつか必ず能力を手に入れて、もっと強くならなくてはいけないと考えています」
と返す。
「戦いの中で成長し能力を手に入れる奴だっている。何も能力を生まれ持った人間だけが全てではないさ」
「まあ、せいぜい頑張ることだ」
戦っていく中で能力を得るという事を胸に、ミツハは強く頷いた。
「さて、では任務について説明する。」
「お前達も知っての通り、能力を悪用する人間、私達はこれをCrime ability person(犯罪能力者)。通称CAPと呼んでいる」
「CAPの強さに準じて、こちらもそれに見合った戦力を投入することになる」
「相手のアジト、人数、能力の種類を見るということだ」
「そこで重要になるのが、我が支部隊員のランクだ。」
「我々アビリティリバティは隊員のランクを1~10までにランク分けしている。お前達新兵はひとまずランク1となるだろう。」
「ランクを上げたければ戦場で成果を出すことだ。より高能力者相手の任務を受け付けられる。」
「詳しい説明はまた後日としよう。今日はもう休め。お前達の部屋は既に用意してある。明日、各自に見合った武器を調達してやろう。」
「マジで!?まさかさっきの訓練でそこまで見抜いたってのか!?」
それまで半分寝そうになりながら聞いていたリオスはガバッ!と顔を上げた。
「あまりこの組織を見くびるなよ…?」
真田はニヤッと口角を上げた。
支部長室を出ようとしたとき、ミツハは真田に呼び止められた。
「伊波ミツハ。聞きそびれてしまったが、お前のその戦闘スキルはどこで身につけたものだ?アラン=リオスのように少年兵上がりではないだろう」
ミツハはしばし間を空け、
「…独学です」
とだけ答えた。
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