反能力犯罪組織 アビリティリバティ

びいと

文字の大きさ
1 / 17

1.ようこそ

しおりを挟む
その姿を忘れたことはない。禍々しい黒いオーラのようなもの、赤い瞳、肩まである長い髪、この男のことを忘れたことはない。
「いつか…必ず…」
その思いを、復讐の心を、忘れたことはない。


「今回の志願者は2人か」
東京の一区画、都心から離れたその場所に、新たな志願者が集められた。


「設立から10年が経つが、これほど人数が少ないのは初めてだ」
短い黒髪を無理やり後ろで縛った長身の女はそこで一度言葉を区切り、
「しかもどちらも無能力者ときた、これでは他の支部への顔が立たん…」
と、頭を抱えた。


「支部長、そろそろそのへんで…」
今度は大人しそうな顔立ちの背の低い眼鏡をかけた女が声を発した。
支部長と呼ばれた女は一つ咳払いをし、


「まあ、それでもいまだ志願者が尽きないというのはまだマシなのかもしれん」
「反能力犯罪組織、アビリティリバティへようこそ。日本、東京支部支部長、真田キリだ。こちらは前田キョウコ。副支部長にして、医療部長も兼任している。以後顔を覚えておくように」
前田はペコリと会釈をした。


「さて、ではお前達の名を聞こう。ここに来たということはそれなりに腕が立つのだろう?」
「まずはお前からだ」
指をさされた金髪の少年が声をあげる
「アラン=リオス。銃の扱いなら任せてくれ!」
この場に似つかわしいとは思えない元気な声で紹介をすませるリオス。


「イギリスから来た元少年兵とはお前のことか。今の時代、どこの国にどの国の人間がいようと不思議ではないからな。では…次にお前だ」
指を向けられた黒髪の少年は顔を引き締め


「伊波ミツハ。俺は…必ず復讐を果たすために、絶対に強くなるためにここへ来たんだ!」












「では基礎テストを終える」
モニター越しの真田の声により、ミツハとリオスは武器を下ろす。


「ゼェ…ハァ…や、やっと終わった…」
リオスはその場にへたり込む
「噂には聞いてたけど、これはキツすぎだって絶対!いくら射撃が得意っつってもいきなり4時間も戦闘させるかフツー!?」
自己紹介のあと、2人は広大な訓練室にて模擬戦闘訓練を受けていた。ナイフや刀からショットガン、大口径スナイパーライフルに至るまで様々な武器を駆使して仮想敵と戦っていた。実体はないが質感がある。不思議な感覚だった。何度か打ち抜かれてしまったが、一時的な痛みのみで外傷もない。脳に直接痛覚を感じさせられている感じだ。


「どうよあんた、やっていけそう?」
リオスが問いかけてくる。
「…なんとか。能力がないんじゃ武器の技術でカバーしていくしかないだろ」
まじめだね~というリオスの言葉を流しつつ、ミツハは荒い息を整える。この訓練を経て、少しづつだがリオスとコミュニケーションがとれるようになってきた。


「それでは再び支部長室へ集まれ。結果を言い渡す」
モニターよりまたしても真田の声が聞こえてくる。
「全くもう少し休ませろっつーの。そんじゃまあ、いこーか」
「ああ」
リオスに続いてミツハが部屋から出ていく。


「まずはアラン=リオス。お前からだ」
支部長室へ戻ってきた2人は、真田の言葉に集中する。
「銃の扱いに慣れていると言っていたが、お前の性格では到底生き残ることは不可能だ」
「取り回しに関しては認めてやるが、無鉄砲に動き回りすぎだ。もっと周りを見ろ。何度死んでると思っている」
真田は一呼吸置き、
「元少年兵という動きを忘れろ。その命はもう簡単に失っていいものでは無い。世界のために、戦い続けるのだからな」
「…ってことは…?」
それまでうなだれていたリオスは顔を上げ目を輝かせる。
「ひとまずは合格だ。正直なめていたことは謝罪しよう。だが、これ以上の成長が見られない場合、すぐに解雇させてもらうからな」
真田の言葉に対しリオスはガッツポーズをとる。


「それなら、こいつも!?」
指をさされたミツハは緊張の面持ちで真田の言葉を待つ。
真田は、ああ…と頷きながら
「お前も合格だ伊波ミツハ。剣の扱いは大したものだ。接近戦では支部の中でも上位に入るだろう」
「だが、お前はほとんど使わずじまいだったが、重火器の扱いはてんで駄目だな。ハンドガン、サブマシンガンはまだしも、これでは高位能力者相手には歯が立たん」
ミツハは能力者という言葉にピクッと反応した。


「やはり、能力がないと駄目なんでしょうか」
真田はため息をつきながら、
「お前のような考えのやつは前から何度も見ているが、そんなことはない。個人の力量次第で、能力者にだって同等以上に渡り合える。というか、そうじゃなくてはこの支部自体成り立たんだろう」
真田の言葉にミツハは
「俺はもちろん訓練にだって手を抜きません。ですが、いつか必ず能力を手に入れて、もっと強くならなくてはいけないと考えています」
と返す。
「戦いの中で成長し能力を手に入れる奴だっている。何も能力を生まれ持った人間だけが全てではないさ」
「まあ、せいぜい頑張ることだ」
戦っていく中で能力を得るという事を胸に、ミツハは強く頷いた。


「さて、では任務について説明する。」
「お前達も知っての通り、能力を悪用する人間、私達はこれをCrime ability person(犯罪能力者)。通称CAPと呼んでいる」
「CAPの強さに準じて、こちらもそれに見合った戦力を投入することになる」
「相手のアジト、人数、能力の種類を見るということだ」


「そこで重要になるのが、我が支部隊員のランクだ。」


「我々アビリティリバティは隊員のランクを1~10までにランク分けしている。お前達新兵はひとまずランク1となるだろう。」
「ランクを上げたければ戦場で成果を出すことだ。より高能力者相手の任務を受け付けられる。」


「詳しい説明はまた後日としよう。今日はもう休め。お前達の部屋は既に用意してある。明日、各自に見合った武器を調達してやろう。」


「マジで!?まさかさっきの訓練でそこまで見抜いたってのか!?」
それまで半分寝そうになりながら聞いていたリオスはガバッ!と顔を上げた。


「あまりこの組織を見くびるなよ…?」
真田はニヤッと口角を上げた。




支部長室を出ようとしたとき、ミツハは真田に呼び止められた。
「伊波ミツハ。聞きそびれてしまったが、お前のその戦闘スキルはどこで身につけたものだ?アラン=リオスのように少年兵上がりではないだろう」


ミツハはしばし間を空け、
「…独学です」
とだけ答えた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

【完結】私が愛されるのを見ていなさい

芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定) 公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。 絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。 ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。 完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。  立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜

美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?

悪役令嬢に仕立て上げたいなら、ご注意を。

潮海璃月
ファンタジー
幼くして辺境伯の地位を継いだレナータは、女性であるがゆえに舐められがちであった。そんな折、社交場で伯爵令嬢にいわれのない罪を着せられてしまう。そんな彼女に隣国皇子カールハインツが手を差し伸べた──かと思いきや、ほとんど初対面で婚姻を申し込み、暇さえあれば口説き、しかもやたらレナータのことを知っている。怪しいほど親切なカールハインツと共に、レナータは事態の収拾方法を模索し、やがて伯爵一家への復讐を決意する。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...