22 / 105
第1章 ファスティアの冒険者
第22話 トリックスター
しおりを挟む
エルスたちがファスティアへの帰路についた頃。
自警団長カダンは部下たちと共に、遺跡内を注意深く観察していた。
冒険者たちの尽力により、〝はじまりの遺跡の異変〟は治まった。
だが、それは魔物の出現が抑えられただけに過ぎず、すべてが解決したとはいえない。異変の原因を探し当てるまでは、自警団の一日は終わらない。
「団長! ここに通路が……。奥に部屋があります!」
「おお、すぐに行く!」
どうやら目的の場所が見つかったらしい。カダンは団員たちを引き連れて声の元へ急ぐ。件の通路は、周囲の壁や瓦礫のせいで目立たなくなっていたようだ。
「うぐッ……、これは酷いな……」
見つかった部屋は比較的風化が少なく、しっかりと天井も存在している。床には焼け焦げたような魔法陣が描かれており、壁にも激しい焦げ痕や真新しい斬撃の傷、真っ黒な液体が撒き散らされたような跡が生々しく遺されている。
そして床の中央には、黒い布を被せられた何かが安置されていた。
「団長、これがロイマン殿の言っていた……?」
「ああ……。よし、取るぞ……」
カダンは腰を屈め、ゆっくりと布を剥がす。その下から現れたのは、人とも魔物とも知れぬ、まさしく異形の存在だった。
「これはっ……!? うっ……!」
「ぐっ……、無理に見るな。他の者も、一度下がるのだ!」
ピクリとも動かない異形のそれは、人の形こそしているが――すでに躰の大半は、黒く硬質な石のように変異している。顔の半分は、縦に開いた一つの巨大な目玉によって占拠され、頭には大きな角が生えていた。
そして、もう半分。
辛うじて人の状態を保っている彼の顔に、カダンは見覚えがあった。
「むうっ……。まさかザイン、なのか?」
白目を剥き、苦悶とも恍惚ともとれる不気味な表情を浮かべてはいるが――それは紛れもなく、ファスティア自警団の魔術士・ザインだった。
「ザイン……。なぜ彼が……」
「やっぱり、あの噂は……」
「また不祥事か……。今度こそ、お終いかもな……」
得体の知れない存在の正体が判った安堵からか、団員らからはヒソヒソと陰口が漏れ出している。対して団長は静かに、部下だった男を見つめていた。
もう動かない。死んでいるのだ、彼は。
カダンは握りしめていた黒い棒切れと、変異したザインの躰を見比べる。じっくりと調べるまでもなく、これらは同じモノだろう。
「ほほう! これは、実に興味深いですねぇ」
「……うわおッ!?」
不意に聞こえた場違いな声に、カダンは思わず大きく仰け反る。いつの間にか彼の隣では若いエルフ族の紳士が、ザインの遺体を覗きこんでいた。
紳士は紫色の長髪をオールバックと三つ編みにまとめ、黒いリボンを着けている。礼服を着込み、片眼鏡を掛けた彼の服装は、このような場所には明らかに不釣合いと云える。
「なッ、なんですかな貴方は! いったい何処から……」
ここへ通じるすべての動線には警備の団員を配置したはず。それ以前に彼は、この場に唐突に現れたように見えた。周囲の団員たちからも、それを証言するような騒きが起こっている。
「はっはっは! ワタシは旅の魔術士です。ウッカリ迷い込んでしまいましてねぇ」
自らを魔術士と名乗る謎の紳士は、どうやら「散歩中に迷い込んだ」らしい。捉えどころのない紳士の言葉に、カダンは思わず頭を抱えてしまう。
そんな彼の様子など意に介さず、紳士はカダンの持っている、二本の棒切れを指さしてみせた。
「それはまさしく〝降魔の杖〟! アナタ、面白いモノをお持ちですねぇ」
「はて……? それは、どういった代物で……?」
「まあ簡単に言えば、魔物を呼び出せるアイテムですよ。しかし、こうして人が変異しまう例は初めてですねぇ。いやぁ、実に興味深い!」
カダンの手元に顔を近づけ、紳士は物珍しげに杖を観察する。彼いわく、ザインのような状態と化すのは、〝降魔の杖〟の正式な機能ではないらしい。
杖は本来、敵地へ魔物を送り込む、一種の爆弾のような代物だ。その目的は当然ながら、人類同士の戦争のための、忌まわしい兵器である。
何らかの方法で杖を敵陣へ送り込み、予め仕掛けた術式を起動させ――。
呼び出された魔物に、人々を襲わせるのだ。
「そのような恐ろしいモノが、なぜファスティアに……?」
「さて? ああ、そうそう! 実はとある店でもう一本、〝これ〟と同じ物を見かけたのですけどねぇ……?」
「なっ! なんですとッ!?」
思わせぶりな彼の台詞に、カダンは慌てて携帯バッグからファスティアの地図を取り出し、紳士の前へと突きつける。
「それはっ! どの辺りのっ!?」
「おや、準備がよろしい! ふむふむ、ここですねぇ」
「……なるほど! ご協力感謝します!」
カダンは律儀に敬礼をし、別の紙束を取り出してそれを捲り始める。紙面に目を通すうちに、彼の表情は見る間に険しくなってゆく。
「これはマズイぞ……! ファスティア自警団、集合!」
「ハッ、団長!」
団長からの号令に、団員たちが一斉に動作を行なう。
「申し訳ないが、今日は徹夜だ! これから各自に、任務を与える!」
カダンは団員らに対し、続けざまに指示を出す。どうにも間の抜けて見える彼だが指揮能力は高く、部下からの信頼も篤いようだ。
「承知しました!」
「直ちに取り掛かります!――よし、続け!」
「馬を出すぞ! 急げ!」
あっという間に自警団の面々は任務へと向かい――この場にはカダンとエルフの紳士、そして物言わぬザインだけが残された。
「さてさて、どうしましょうかねぇ? こちらの死体」
紳士は物珍しそうに、じっくりとザインの亡骸を観察している。周囲には死臭と共に放たれる闇色の霧が漂い、じわじわと心身を蝕まれてゆくのがわかる。
「放っておくと、こうやって瘴気を吐き続けますし。ワタシが片づけちゃいましょうかねぇ?」
「うーむ……。このような事態を引き起こした張本人とはいえ、できれば弔ってやりたいのだが……」
「こうなってしまっては残念ながら。闇へ還すしかありませんねぇ」
「わかりました……。では魔術士殿、お願いできますかな?」
紳士は快く承諾し、手をかざしながら詠唱をはじめる。その呪文は十数名の魔術士を抱えるカダンにも、聞き覚えのないものだった。
そして詠唱を終えた紳士は、完成した魔法を解き放つ。
「デストミスト――!」
闇魔法・デストミストが発動し、紳士の掌に紫色の球体が出現する。球はザインの躰へ取りつくと分裂を開始し、即座に彼の全身を包み込んだ。
やがて〝ザインだったもの〟は黒い霧を噴き出し、すべてが虚空へと消えてしまった。
「はい、終わりましたよ。これで大丈夫でしょう!」
「い……今のは……? いえ、ご協力感謝します」
「ワタシとしても、興味深いものが見られましたので! では、さようなら」
「あっ、せめてお名前を……」
カダンは慌てて振り返る――が、すでに謎の紳士の姿は消えていた。
この異様な空間に、今はカダンのみが取り残されている。
「な……なんだったのだ……? いや! それよりも、早くファスティアに戻らねば!」
カダンは気合いを入れて部屋から飛び出し、外壁の隙間から強引に遺跡の外へと這い出す。そして、重い鎧の音を響かせながら、一目散にファスティアの方角へと走り去ってゆくのだった。
自警団長カダンは部下たちと共に、遺跡内を注意深く観察していた。
冒険者たちの尽力により、〝はじまりの遺跡の異変〟は治まった。
だが、それは魔物の出現が抑えられただけに過ぎず、すべてが解決したとはいえない。異変の原因を探し当てるまでは、自警団の一日は終わらない。
「団長! ここに通路が……。奥に部屋があります!」
「おお、すぐに行く!」
どうやら目的の場所が見つかったらしい。カダンは団員たちを引き連れて声の元へ急ぐ。件の通路は、周囲の壁や瓦礫のせいで目立たなくなっていたようだ。
「うぐッ……、これは酷いな……」
見つかった部屋は比較的風化が少なく、しっかりと天井も存在している。床には焼け焦げたような魔法陣が描かれており、壁にも激しい焦げ痕や真新しい斬撃の傷、真っ黒な液体が撒き散らされたような跡が生々しく遺されている。
そして床の中央には、黒い布を被せられた何かが安置されていた。
「団長、これがロイマン殿の言っていた……?」
「ああ……。よし、取るぞ……」
カダンは腰を屈め、ゆっくりと布を剥がす。その下から現れたのは、人とも魔物とも知れぬ、まさしく異形の存在だった。
「これはっ……!? うっ……!」
「ぐっ……、無理に見るな。他の者も、一度下がるのだ!」
ピクリとも動かない異形のそれは、人の形こそしているが――すでに躰の大半は、黒く硬質な石のように変異している。顔の半分は、縦に開いた一つの巨大な目玉によって占拠され、頭には大きな角が生えていた。
そして、もう半分。
辛うじて人の状態を保っている彼の顔に、カダンは見覚えがあった。
「むうっ……。まさかザイン、なのか?」
白目を剥き、苦悶とも恍惚ともとれる不気味な表情を浮かべてはいるが――それは紛れもなく、ファスティア自警団の魔術士・ザインだった。
「ザイン……。なぜ彼が……」
「やっぱり、あの噂は……」
「また不祥事か……。今度こそ、お終いかもな……」
得体の知れない存在の正体が判った安堵からか、団員らからはヒソヒソと陰口が漏れ出している。対して団長は静かに、部下だった男を見つめていた。
もう動かない。死んでいるのだ、彼は。
カダンは握りしめていた黒い棒切れと、変異したザインの躰を見比べる。じっくりと調べるまでもなく、これらは同じモノだろう。
「ほほう! これは、実に興味深いですねぇ」
「……うわおッ!?」
不意に聞こえた場違いな声に、カダンは思わず大きく仰け反る。いつの間にか彼の隣では若いエルフ族の紳士が、ザインの遺体を覗きこんでいた。
紳士は紫色の長髪をオールバックと三つ編みにまとめ、黒いリボンを着けている。礼服を着込み、片眼鏡を掛けた彼の服装は、このような場所には明らかに不釣合いと云える。
「なッ、なんですかな貴方は! いったい何処から……」
ここへ通じるすべての動線には警備の団員を配置したはず。それ以前に彼は、この場に唐突に現れたように見えた。周囲の団員たちからも、それを証言するような騒きが起こっている。
「はっはっは! ワタシは旅の魔術士です。ウッカリ迷い込んでしまいましてねぇ」
自らを魔術士と名乗る謎の紳士は、どうやら「散歩中に迷い込んだ」らしい。捉えどころのない紳士の言葉に、カダンは思わず頭を抱えてしまう。
そんな彼の様子など意に介さず、紳士はカダンの持っている、二本の棒切れを指さしてみせた。
「それはまさしく〝降魔の杖〟! アナタ、面白いモノをお持ちですねぇ」
「はて……? それは、どういった代物で……?」
「まあ簡単に言えば、魔物を呼び出せるアイテムですよ。しかし、こうして人が変異しまう例は初めてですねぇ。いやぁ、実に興味深い!」
カダンの手元に顔を近づけ、紳士は物珍しげに杖を観察する。彼いわく、ザインのような状態と化すのは、〝降魔の杖〟の正式な機能ではないらしい。
杖は本来、敵地へ魔物を送り込む、一種の爆弾のような代物だ。その目的は当然ながら、人類同士の戦争のための、忌まわしい兵器である。
何らかの方法で杖を敵陣へ送り込み、予め仕掛けた術式を起動させ――。
呼び出された魔物に、人々を襲わせるのだ。
「そのような恐ろしいモノが、なぜファスティアに……?」
「さて? ああ、そうそう! 実はとある店でもう一本、〝これ〟と同じ物を見かけたのですけどねぇ……?」
「なっ! なんですとッ!?」
思わせぶりな彼の台詞に、カダンは慌てて携帯バッグからファスティアの地図を取り出し、紳士の前へと突きつける。
「それはっ! どの辺りのっ!?」
「おや、準備がよろしい! ふむふむ、ここですねぇ」
「……なるほど! ご協力感謝します!」
カダンは律儀に敬礼をし、別の紙束を取り出してそれを捲り始める。紙面に目を通すうちに、彼の表情は見る間に険しくなってゆく。
「これはマズイぞ……! ファスティア自警団、集合!」
「ハッ、団長!」
団長からの号令に、団員たちが一斉に動作を行なう。
「申し訳ないが、今日は徹夜だ! これから各自に、任務を与える!」
カダンは団員らに対し、続けざまに指示を出す。どうにも間の抜けて見える彼だが指揮能力は高く、部下からの信頼も篤いようだ。
「承知しました!」
「直ちに取り掛かります!――よし、続け!」
「馬を出すぞ! 急げ!」
あっという間に自警団の面々は任務へと向かい――この場にはカダンとエルフの紳士、そして物言わぬザインだけが残された。
「さてさて、どうしましょうかねぇ? こちらの死体」
紳士は物珍しそうに、じっくりとザインの亡骸を観察している。周囲には死臭と共に放たれる闇色の霧が漂い、じわじわと心身を蝕まれてゆくのがわかる。
「放っておくと、こうやって瘴気を吐き続けますし。ワタシが片づけちゃいましょうかねぇ?」
「うーむ……。このような事態を引き起こした張本人とはいえ、できれば弔ってやりたいのだが……」
「こうなってしまっては残念ながら。闇へ還すしかありませんねぇ」
「わかりました……。では魔術士殿、お願いできますかな?」
紳士は快く承諾し、手をかざしながら詠唱をはじめる。その呪文は十数名の魔術士を抱えるカダンにも、聞き覚えのないものだった。
そして詠唱を終えた紳士は、完成した魔法を解き放つ。
「デストミスト――!」
闇魔法・デストミストが発動し、紳士の掌に紫色の球体が出現する。球はザインの躰へ取りつくと分裂を開始し、即座に彼の全身を包み込んだ。
やがて〝ザインだったもの〟は黒い霧を噴き出し、すべてが虚空へと消えてしまった。
「はい、終わりましたよ。これで大丈夫でしょう!」
「い……今のは……? いえ、ご協力感謝します」
「ワタシとしても、興味深いものが見られましたので! では、さようなら」
「あっ、せめてお名前を……」
カダンは慌てて振り返る――が、すでに謎の紳士の姿は消えていた。
この異様な空間に、今はカダンのみが取り残されている。
「な……なんだったのだ……? いや! それよりも、早くファスティアに戻らねば!」
カダンは気合いを入れて部屋から飛び出し、外壁の隙間から強引に遺跡の外へと這い出す。そして、重い鎧の音を響かせながら、一目散にファスティアの方角へと走り去ってゆくのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる