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第1章 ファスティアの冒険者
第48話 疾風の盗賊団
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エルスたちの前に現れた――深緑色のコートを着た男。
男は緑色の髪をセンターで分け、整えられた顎ヒゲを生やしている。彼の緑色の瞳から放たれる眼光は鋭く、さきほどからニセルの方へと向けられている。
「あんたがジェイド?……ッてことは、ジェイド盗賊団の――!?」
「シュトルメンドリッパーデン――」
「――へッ?」
謎の言葉を呟き、ジェイドはパチリと指を鳴らす――と、同時に、自身に掛かっていた〝移動魔法〟の結界が解除される。そんな彼の五指には、緑色の石の付いた多くの指輪が嵌っているのが確認できる――。
「疾風の盗賊団だ、少年よ。良い名前だろう?」
「ん?……ああ、確かにカッコイイけどよ……」
「ハッ、わかってるじゃないか!」
エルスの返答に対し、ジェイドは満足そうに手を叩く――。
「……わたし、あの人がなんて言ったのか、もう忘れちゃった」
「ふっ、変わらんな。なぁに、覚える必要はないさ……」
ジェイドの登場により、即座に戦闘に入るかと思われたが――場には何とも言えぬ、微妙な空気が漂う。もしかすると、戦闘を避けられるかもしれない。エルスは淡い期待を込め、まずはジェイドとの会話を試みる――。
「なぁ、ニセルとは知り合いなのか? それならさ――」
「――ハッ! 知り合いか、だと? ニセラ? ナセル!……知らんなぁ?」
「あっ。絶対、わざと間違えてる……」
アリサからの指摘に、ジェイドは「ヒュー」っと口を鳴らす――
「――違うな、お嬢ちゃん。俺様は〝仲間〟の名は忘れんが、〝裏切り者〟の名は忘れる主義なのさ!」
「裏切り者ッて……。何があったんだよ?」
「色々、だ――。少年!」
ジェイドは左の人差し指を真っ直ぐに伸ばし、エルスを指さす――
「――ヒュゥー……」
さらにジェイドは口笛のように唇を窄め、ブツブツと何かを呟いている――
「むっ!?――エルス、危ない!」
――ジェイドが呪文を唱えていることに気づいたニセルは咄嗟に、自身の左腕をエルスの前へ伸ばす――!
「――ヴィストォ!」
風の精霊魔法・ヴィストが発動し、ジェイドの指先から鋭い風の刃が撃ち出される! 刃はエルスに向かって直進し――彼の眼前に差し出された、ニセルの左手首を切断した!
エルスの足元に――銅色をした〝左手〟が、ガシャリと音をたてて落ちる……!
「なッ!? ニセルーッ!――おい、ジェイド! い、いきなり何すンだよッ!」
「心配ない、エルス――。ちょっと外れただけさ」
ニセルは冷静に左手を拾い上げ――黒い霧が漏れ出ている断面同士を、接着させるように押し当てる。そして彼は、元通りになった左手の指を、何事もなかったかのようにカシャカシャと動かしてみせた。
「ほら、なっ?」
「えッ……? はッ……? へえッ……?」
「わぁ、すごい! どうやったんだろ?」
突然のことにエルスは声が言葉にならず――
逆にアリサは、面白いものでも見たかのように声を弾ませた。
「ハッハッハッ!――そいつぁな……半分、人間を辞めてるのさ! そして……」
ジェイドは徐に、コートの右腕を捲り上げる。その腕には、無数の傷痕や縫い目が、痛々しく刻まれている――。
「――そいつの裏切りのせいで、俺様もこのザマよ! もう、自慢の弓すらも引けなくなっちまった!」
「ふっ。ランベルトスには、腕のいい〝魔導義体〟職人がいる。紹介するぞ?」
「ハッ! 腕を落とすなんてのは、死んでも御免だなッ!」
「なぁに、眠っている間にやってくれる。痛みは無いぞ?」
「信じられるかッ! 嫌なこった!……大体、お前が俺様に従ってりゃ――」
ジェイドは人が変わったように罵詈雑言を捲したて、ニセルは普段と変わらず飄々と受け流している。彼ら二人のやり取りに、エルスとアリサは互いに顔を見合わせる。
「この二人って、けっこう仲良いんじゃ?」
「だよな……。なんか、ガキのケンカを眺めてるみてェだ……」
ニセルとジェイドは共に人間族のようで、年齢も近そうに見受けられる。おそらくはエルスとアリサ同様、幼馴染といった間柄なのだろう。しかし、仲が良いのは結構だが、いつまでも旧友同士のじゃれ合いを眺めているわけにもいかない。
「なぁ……。二人とも、そろそろ本題に入ろうぜ?」
提案をするエルスだったが、ジェイドは相変わらず積年の恨みの如くニセルに詰め寄っている。ニセルはチラリとこちらを見遣り、二人に〝お手上げ〟のジェスチャをしてみせた。
「うーん、だめみたいだねぇ」
「仕方ねェ……。やってみるか」
エルスはジェイドに手をかざし――
力を抑えることをイメージしながら呪文を唱える。
「ヴィスト――ッ!」
エルスの掌から発生した風の塊がジェイドに迫り、彼の身体を大きく突き飛ばした! 転倒こそしなかったが、ジェイドは思わず踏鞴を踏む!
「――うおっと! 少年、よくも俺様のヴィストを……」
「いや……。あんたのッていうか、風の精霊魔法だろッ!」
「ハッ、尤もだ。風の精霊様にお詫びしよう」
そう言ってジェイドは、紳士のように頭を下げる。どうやら、風の精霊を心から崇拝しているらしい。いずれにせよ、この場の空気が一旦落ち着いたことで、エルスは話を進めることにする――。
「ところでさ、俺たち〝降魔の杖〟ッてのを探してンだ。あんたの仲間の、ザインって奴が……」
「――ハッ! ゼイン? ゾイン!……知らんなぁ?」
「あっ、また――。じゃあ、あの人も裏切ったってことですか?」
「察しがいいな、お嬢ちゃん。奴は自警団に探りを入れると抜かし、逆に連中に盗賊団の情報を売りやがった!」
「――えッ、じゃあザインは両方を裏切って……? 何のために……?」
「俺様の知ったことか!――おかげで隊商襲撃の時も、連中の邪魔が入ってな。まんまと依頼品も、一本奪い取られちまったってワケさ!」
「依頼品?――あんたも、誰かに頼まれてたッてのか?」
「依頼には応える! それが俺様たち、冒険者だろう?」
「冒険者って……。あんたらは盗賊だろッ!」
「ハッハッハッ!――盗賊ってのはな、奪う専門の冒険者なのさ!」
「なッ……!」
エルスは絶句する。冒険者とは、自由を謳歌する者の総称。確かにジェイドの言い分は正しい。エルスがニセルに視線を送ると、彼は小さく頷いてみせた――。
「そう言うなら、冒険者として頼むッ! その〝降魔の杖〟だけでも返してくれねェか?」
「ハッ、少年!――盗賊が、『はいどうぞ』と宝を渡すとでも?」
「なんだよッ、結局は盗賊なんじゃねェかッ! まぁ、やっぱ駄目だよな……」
「うーん。戦うしかないってこと?」
「その通り!――欲しければ奪い取る!……それが盗賊ってモンよ!」
そう言い放ち――ジェイドは三人から間合いを取り、左手にニセルと同じ長刃の短剣を構える! すでに彼は、こちらと戦うつもりらしい。
「俺たちは盗賊じゃねェしッ! わかったよッ、こうなりゃ勝負だ――ッ!」
男は緑色の髪をセンターで分け、整えられた顎ヒゲを生やしている。彼の緑色の瞳から放たれる眼光は鋭く、さきほどからニセルの方へと向けられている。
「あんたがジェイド?……ッてことは、ジェイド盗賊団の――!?」
「シュトルメンドリッパーデン――」
「――へッ?」
謎の言葉を呟き、ジェイドはパチリと指を鳴らす――と、同時に、自身に掛かっていた〝移動魔法〟の結界が解除される。そんな彼の五指には、緑色の石の付いた多くの指輪が嵌っているのが確認できる――。
「疾風の盗賊団だ、少年よ。良い名前だろう?」
「ん?……ああ、確かにカッコイイけどよ……」
「ハッ、わかってるじゃないか!」
エルスの返答に対し、ジェイドは満足そうに手を叩く――。
「……わたし、あの人がなんて言ったのか、もう忘れちゃった」
「ふっ、変わらんな。なぁに、覚える必要はないさ……」
ジェイドの登場により、即座に戦闘に入るかと思われたが――場には何とも言えぬ、微妙な空気が漂う。もしかすると、戦闘を避けられるかもしれない。エルスは淡い期待を込め、まずはジェイドとの会話を試みる――。
「なぁ、ニセルとは知り合いなのか? それならさ――」
「――ハッ! 知り合いか、だと? ニセラ? ナセル!……知らんなぁ?」
「あっ。絶対、わざと間違えてる……」
アリサからの指摘に、ジェイドは「ヒュー」っと口を鳴らす――
「――違うな、お嬢ちゃん。俺様は〝仲間〟の名は忘れんが、〝裏切り者〟の名は忘れる主義なのさ!」
「裏切り者ッて……。何があったんだよ?」
「色々、だ――。少年!」
ジェイドは左の人差し指を真っ直ぐに伸ばし、エルスを指さす――
「――ヒュゥー……」
さらにジェイドは口笛のように唇を窄め、ブツブツと何かを呟いている――
「むっ!?――エルス、危ない!」
――ジェイドが呪文を唱えていることに気づいたニセルは咄嗟に、自身の左腕をエルスの前へ伸ばす――!
「――ヴィストォ!」
風の精霊魔法・ヴィストが発動し、ジェイドの指先から鋭い風の刃が撃ち出される! 刃はエルスに向かって直進し――彼の眼前に差し出された、ニセルの左手首を切断した!
エルスの足元に――銅色をした〝左手〟が、ガシャリと音をたてて落ちる……!
「なッ!? ニセルーッ!――おい、ジェイド! い、いきなり何すンだよッ!」
「心配ない、エルス――。ちょっと外れただけさ」
ニセルは冷静に左手を拾い上げ――黒い霧が漏れ出ている断面同士を、接着させるように押し当てる。そして彼は、元通りになった左手の指を、何事もなかったかのようにカシャカシャと動かしてみせた。
「ほら、なっ?」
「えッ……? はッ……? へえッ……?」
「わぁ、すごい! どうやったんだろ?」
突然のことにエルスは声が言葉にならず――
逆にアリサは、面白いものでも見たかのように声を弾ませた。
「ハッハッハッ!――そいつぁな……半分、人間を辞めてるのさ! そして……」
ジェイドは徐に、コートの右腕を捲り上げる。その腕には、無数の傷痕や縫い目が、痛々しく刻まれている――。
「――そいつの裏切りのせいで、俺様もこのザマよ! もう、自慢の弓すらも引けなくなっちまった!」
「ふっ。ランベルトスには、腕のいい〝魔導義体〟職人がいる。紹介するぞ?」
「ハッ! 腕を落とすなんてのは、死んでも御免だなッ!」
「なぁに、眠っている間にやってくれる。痛みは無いぞ?」
「信じられるかッ! 嫌なこった!……大体、お前が俺様に従ってりゃ――」
ジェイドは人が変わったように罵詈雑言を捲したて、ニセルは普段と変わらず飄々と受け流している。彼ら二人のやり取りに、エルスとアリサは互いに顔を見合わせる。
「この二人って、けっこう仲良いんじゃ?」
「だよな……。なんか、ガキのケンカを眺めてるみてェだ……」
ニセルとジェイドは共に人間族のようで、年齢も近そうに見受けられる。おそらくはエルスとアリサ同様、幼馴染といった間柄なのだろう。しかし、仲が良いのは結構だが、いつまでも旧友同士のじゃれ合いを眺めているわけにもいかない。
「なぁ……。二人とも、そろそろ本題に入ろうぜ?」
提案をするエルスだったが、ジェイドは相変わらず積年の恨みの如くニセルに詰め寄っている。ニセルはチラリとこちらを見遣り、二人に〝お手上げ〟のジェスチャをしてみせた。
「うーん、だめみたいだねぇ」
「仕方ねェ……。やってみるか」
エルスはジェイドに手をかざし――
力を抑えることをイメージしながら呪文を唱える。
「ヴィスト――ッ!」
エルスの掌から発生した風の塊がジェイドに迫り、彼の身体を大きく突き飛ばした! 転倒こそしなかったが、ジェイドは思わず踏鞴を踏む!
「――うおっと! 少年、よくも俺様のヴィストを……」
「いや……。あんたのッていうか、風の精霊魔法だろッ!」
「ハッ、尤もだ。風の精霊様にお詫びしよう」
そう言ってジェイドは、紳士のように頭を下げる。どうやら、風の精霊を心から崇拝しているらしい。いずれにせよ、この場の空気が一旦落ち着いたことで、エルスは話を進めることにする――。
「ところでさ、俺たち〝降魔の杖〟ッてのを探してンだ。あんたの仲間の、ザインって奴が……」
「――ハッ! ゼイン? ゾイン!……知らんなぁ?」
「あっ、また――。じゃあ、あの人も裏切ったってことですか?」
「察しがいいな、お嬢ちゃん。奴は自警団に探りを入れると抜かし、逆に連中に盗賊団の情報を売りやがった!」
「――えッ、じゃあザインは両方を裏切って……? 何のために……?」
「俺様の知ったことか!――おかげで隊商襲撃の時も、連中の邪魔が入ってな。まんまと依頼品も、一本奪い取られちまったってワケさ!」
「依頼品?――あんたも、誰かに頼まれてたッてのか?」
「依頼には応える! それが俺様たち、冒険者だろう?」
「冒険者って……。あんたらは盗賊だろッ!」
「ハッハッハッ!――盗賊ってのはな、奪う専門の冒険者なのさ!」
「なッ……!」
エルスは絶句する。冒険者とは、自由を謳歌する者の総称。確かにジェイドの言い分は正しい。エルスがニセルに視線を送ると、彼は小さく頷いてみせた――。
「そう言うなら、冒険者として頼むッ! その〝降魔の杖〟だけでも返してくれねェか?」
「ハッ、少年!――盗賊が、『はいどうぞ』と宝を渡すとでも?」
「なんだよッ、結局は盗賊なんじゃねェかッ! まぁ、やっぱ駄目だよな……」
「うーん。戦うしかないってこと?」
「その通り!――欲しければ奪い取る!……それが盗賊ってモンよ!」
そう言い放ち――ジェイドは三人から間合いを取り、左手にニセルと同じ長刃の短剣を構える! すでに彼は、こちらと戦うつもりらしい。
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