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第2章 ランベルトスの陰謀
第9話 陰謀の商業都市
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真っ直ぐに伸びる街道を抜け、ついに四人は商業都市ランベルトスへと辿り着いた。入口のアーチ状の門には、神聖文字で〝LANBETAS〟と刻まれている。
「おおッ! ついに来たな! この賑わい、新しい街に着いたって感じだぜッ!」
「ふっふー! 感じるのだ、悪の気配がびんびん漂っているのだー!」
「大っきな街だねぇ。高い建物がいっぱい」
「三人とも、少しいいか?――街に入る前に、こっちへ来てくれ」
いつの間にか街道脇に立っていたニセルが、エルスたちに手招きをする。
そして彼は、冒険バッグから黒いマントを二枚取り出した。
「エルス、アリサ。これを羽織っておけ。この街では必須だ」
「貰っていいのか? ありがとな、ニセル!」
「ああ。ファスティアを出る前に買った、安物だがな。なので、ミーファの分は無いが……」
「あっ、わたし持ってるよ? 昔、お姉ちゃんに貰った、白いのだけど」
「そうか――。では、ミーファ。ドワーフの背丈には、少々長すぎるかもしれんが」
「ふふー! こうして結べば問題ないのだ! ありがたく頂戴するのだー!」
街の外には多くの隊商の馬車が停められ、男たちが忙しなく荷運びをしている。街中の大通りが、それほど広くは造られていないためだろう。
それらの光景を眺めながら身支度を整え、四人は街の中へと入る――。
「まずは宿を確保しておく。なるべく固まって歩くようにな?」
「ああ!……ッてかさ、さっきからなんていうか……」
「うーん。すっごく見られてるような?」
アリサの言うとおり――大通り沿いの露店や、そこら中の通行人から――まるで品定めをするかのような、嫌な視線を感じる。他人にはあまり関心を示さないファスティアの賑わいと比べ、明らかに異質なものだ。
「バッグや財布には気をつけろ。この街では、他人の所持品を奪っても罪にはならないからな」
「うッ、マジか……。マントは盗み避けッてことか……」
「ううー。まさに悪の巣窟なのだー」
「ミーファちゃん――。わたしと手を繋ご? 迷子になっちゃうといけないし」
一行はニセルに先導されながら大通りを進み、細い脇道へと入る。
さらに奥へと踏み入ると、土色レンガで建てられた酒場に辿り着いた――。
「ぐへェ……。なんか、魔物の群れン中を歩いてるような気分だったぜ……」
「まっ、そのうち慣れるさ。オレは部屋を取ってくる。適当に休んでおいてくれ」
「ありがとう、ニセルさん――。やっぱり、ここも二階が宿屋なんだねぇ」
「だなぁ。ファスティアの酒場が、なんか懐かしくなるな!」
エルスは冒険者の街の、巨大な酒場に想いを馳せる。
恩人との再会。ライバルへの敗北――。
苦い思い出も多いが、酒場は彼を大きく成長させてくれた場所でもあった。
「勇者のオジサンたち、今頃どうしてるんだろ?」
「王都の方に行ったんだろ? あんな所――森か岩山くらいしかねェし、わからねェな」
「そっか。でも、いろんな人と仲良くなれたねぇ。この街でも良い出会いがあるといいなぁ」
「大丈夫さ! ミーファやジニアたちとも仲良くなれたしさ! そういえば――ミーファのヤツ、どこ行ったんだ?」
「うーん?――あっ、掲示板のとこみたい」
アリサは壁際に設置された、冒険者用の掲示板を指す。
ミーファはその真下に座り込み、熱心に何かを書き写しているようだ。
「ミーファ、なんかイイ依頼でもあったのか?――ッて、これ全部賞金首か……?」
「そうなのだ! この〝悪人成敗リスト〟を、しっかりと更新しておくのだ!」
「その似顔絵、おまえの手描きだったのかよ……。今度は、名前とか性別とかも書いておけよなッ!」
「もちろんなのだ! 正義の賞金稼ぎたる者、同じ轍は踏まないのだ!」
「でも大丈夫かなぁ? この街って危なそうだし、暗殺依頼とか混じってたりするんじゃ」
「ふっ、ここはオレの馴染みの店だ。心配ないさ――」
――ニセルは言いながら、掲示板の前へ足を進める。
「部屋は確保しておいた。二人はいつも通りでいいな?」
「うんっ。ありがとう、ニセルさん」
「アリサ――依頼内容への警戒は、重要なことだ。良い心がけだな」
「えへへっ。エルスは、何でも信じちゃうからね。わたしがしっかりしないと」
アリサは、ミーファとじゃれ合っているエルスの方へ顔を向ける。
初めてニセルと会った時もそうだったが――
エルスには、誰とでも素早く打ち解けられる才能があるようだ。
「おッ! ありがとな、ニセル! それじゃ、さっそく街に出て――」
「――もうっ! この店は〝中立派〟だと見込んで頼んでますのにっ!」
言いかけたエルスの台詞を、店内に響いたヒステリックな声が遮った。声の方向では小柄な人物が、店主に詰め寄っているようだ。
「お嬢――いや、クレオールさん。こりゃあ、さすがにマズイですって……」
「みんなギルドの言いなりの、腰抜けばかりね! 誰か、マトモな冒険者は居ないんですの!?」
荒くれだらけの酒場の中では、若い女の声はよく通る――。
声の主は地味なマントに帽子を目深に被っており、その隙間からは金色の髪が覗いているのが確認できる。
「無理ですよ……。この街じゃ、皆さんには誰も逆らえませんって……」
「情けないわねっ! とにかく、依頼状は貼っておいてくださいませ!」
「わ……、わかりましたから、どうか抑えて……。仰せ通りに、貼らせて頂きますんで……」
「もう時間がないのよっ!――明日までに、正義ある冒険者を用意しておいてくださいましっ!」
終始強い口調で捲し立て――
クレオールなる人物は、足早に酒場から出て行ってしまった――。
「――ったく……。困ったお嬢様だ……」
店主は溜息と共に依頼状を投げ出し、苦々しく扉を見つめる。
そんな彼の元へ、我先にとエルスが駆け寄ってゆく――。
「なぁ――。さっきの人、どうしたんだ? それ、ちょっと見せてくれよッ!」
「ん、なんだアンタは? 若造が首を突っ込めるようなモンじゃねぇぞ……。命が惜しけりゃ……いや、命だけじゃ済まねぇことになるぜ……?」
「ほう、商人ギルド絡みか。さっきの娘、確か〝クレオール〟と言ったか……」
「……ニセル? こりゃあ、アンタの連れかよ……」
二人に続き、アリサとミーファもやって来た。
アリサはカウンターに投げ出されたままの依頼書を拾い、それを読み上げる――。
「えーっと、『緊急依頼・商人ギルドの陰謀阻止! 正義感ある冒険者、至急求む!』だって」
「おー! 正義なら任せるのだ! いざ、ミーたちの出番なのだ!」
「おいおい、待て待て……。小けぇのが次々と……。ニセル、堅気になったとぁ聞いてるが、アンタ子守でも始めたのか……?」
「ふっ、まさか。彼らの腕は、オレが保証しよう――。エルス、やってみるか?」
「おうッ!――なぁ、マスター。俺たちに、詳しく話を訊かせてくれねェか?」
エルスは一連の流れに困惑しきった表情のマスターを、真っ直ぐに見つめる。
彼の後ろで、「心配ない」とばかりに、ニセルもゆっくりと頷いてみせた。
それを見て、マスターは観念したかのように、大きく息を吐く――。
「……わぁったよ。どちらにせよ、こっちも明日までに〝生贄〟を用意せにゃならんかったしな――。覚悟はいいのか?」
エルスは仲間たちの顔を一渡り見まわす。
三人の表情にも、一切の迷いは無いようだ。
「ああッ! この依頼、ぜひとも請けさせてもらうぜ――ッ!」
「おおッ! ついに来たな! この賑わい、新しい街に着いたって感じだぜッ!」
「ふっふー! 感じるのだ、悪の気配がびんびん漂っているのだー!」
「大っきな街だねぇ。高い建物がいっぱい」
「三人とも、少しいいか?――街に入る前に、こっちへ来てくれ」
いつの間にか街道脇に立っていたニセルが、エルスたちに手招きをする。
そして彼は、冒険バッグから黒いマントを二枚取り出した。
「エルス、アリサ。これを羽織っておけ。この街では必須だ」
「貰っていいのか? ありがとな、ニセル!」
「ああ。ファスティアを出る前に買った、安物だがな。なので、ミーファの分は無いが……」
「あっ、わたし持ってるよ? 昔、お姉ちゃんに貰った、白いのだけど」
「そうか――。では、ミーファ。ドワーフの背丈には、少々長すぎるかもしれんが」
「ふふー! こうして結べば問題ないのだ! ありがたく頂戴するのだー!」
街の外には多くの隊商の馬車が停められ、男たちが忙しなく荷運びをしている。街中の大通りが、それほど広くは造られていないためだろう。
それらの光景を眺めながら身支度を整え、四人は街の中へと入る――。
「まずは宿を確保しておく。なるべく固まって歩くようにな?」
「ああ!……ッてかさ、さっきからなんていうか……」
「うーん。すっごく見られてるような?」
アリサの言うとおり――大通り沿いの露店や、そこら中の通行人から――まるで品定めをするかのような、嫌な視線を感じる。他人にはあまり関心を示さないファスティアの賑わいと比べ、明らかに異質なものだ。
「バッグや財布には気をつけろ。この街では、他人の所持品を奪っても罪にはならないからな」
「うッ、マジか……。マントは盗み避けッてことか……」
「ううー。まさに悪の巣窟なのだー」
「ミーファちゃん――。わたしと手を繋ご? 迷子になっちゃうといけないし」
一行はニセルに先導されながら大通りを進み、細い脇道へと入る。
さらに奥へと踏み入ると、土色レンガで建てられた酒場に辿り着いた――。
「ぐへェ……。なんか、魔物の群れン中を歩いてるような気分だったぜ……」
「まっ、そのうち慣れるさ。オレは部屋を取ってくる。適当に休んでおいてくれ」
「ありがとう、ニセルさん――。やっぱり、ここも二階が宿屋なんだねぇ」
「だなぁ。ファスティアの酒場が、なんか懐かしくなるな!」
エルスは冒険者の街の、巨大な酒場に想いを馳せる。
恩人との再会。ライバルへの敗北――。
苦い思い出も多いが、酒場は彼を大きく成長させてくれた場所でもあった。
「勇者のオジサンたち、今頃どうしてるんだろ?」
「王都の方に行ったんだろ? あんな所――森か岩山くらいしかねェし、わからねェな」
「そっか。でも、いろんな人と仲良くなれたねぇ。この街でも良い出会いがあるといいなぁ」
「大丈夫さ! ミーファやジニアたちとも仲良くなれたしさ! そういえば――ミーファのヤツ、どこ行ったんだ?」
「うーん?――あっ、掲示板のとこみたい」
アリサは壁際に設置された、冒険者用の掲示板を指す。
ミーファはその真下に座り込み、熱心に何かを書き写しているようだ。
「ミーファ、なんかイイ依頼でもあったのか?――ッて、これ全部賞金首か……?」
「そうなのだ! この〝悪人成敗リスト〟を、しっかりと更新しておくのだ!」
「その似顔絵、おまえの手描きだったのかよ……。今度は、名前とか性別とかも書いておけよなッ!」
「もちろんなのだ! 正義の賞金稼ぎたる者、同じ轍は踏まないのだ!」
「でも大丈夫かなぁ? この街って危なそうだし、暗殺依頼とか混じってたりするんじゃ」
「ふっ、ここはオレの馴染みの店だ。心配ないさ――」
――ニセルは言いながら、掲示板の前へ足を進める。
「部屋は確保しておいた。二人はいつも通りでいいな?」
「うんっ。ありがとう、ニセルさん」
「アリサ――依頼内容への警戒は、重要なことだ。良い心がけだな」
「えへへっ。エルスは、何でも信じちゃうからね。わたしがしっかりしないと」
アリサは、ミーファとじゃれ合っているエルスの方へ顔を向ける。
初めてニセルと会った時もそうだったが――
エルスには、誰とでも素早く打ち解けられる才能があるようだ。
「おッ! ありがとな、ニセル! それじゃ、さっそく街に出て――」
「――もうっ! この店は〝中立派〟だと見込んで頼んでますのにっ!」
言いかけたエルスの台詞を、店内に響いたヒステリックな声が遮った。声の方向では小柄な人物が、店主に詰め寄っているようだ。
「お嬢――いや、クレオールさん。こりゃあ、さすがにマズイですって……」
「みんなギルドの言いなりの、腰抜けばかりね! 誰か、マトモな冒険者は居ないんですの!?」
荒くれだらけの酒場の中では、若い女の声はよく通る――。
声の主は地味なマントに帽子を目深に被っており、その隙間からは金色の髪が覗いているのが確認できる。
「無理ですよ……。この街じゃ、皆さんには誰も逆らえませんって……」
「情けないわねっ! とにかく、依頼状は貼っておいてくださいませ!」
「わ……、わかりましたから、どうか抑えて……。仰せ通りに、貼らせて頂きますんで……」
「もう時間がないのよっ!――明日までに、正義ある冒険者を用意しておいてくださいましっ!」
終始強い口調で捲し立て――
クレオールなる人物は、足早に酒場から出て行ってしまった――。
「――ったく……。困ったお嬢様だ……」
店主は溜息と共に依頼状を投げ出し、苦々しく扉を見つめる。
そんな彼の元へ、我先にとエルスが駆け寄ってゆく――。
「なぁ――。さっきの人、どうしたんだ? それ、ちょっと見せてくれよッ!」
「ん、なんだアンタは? 若造が首を突っ込めるようなモンじゃねぇぞ……。命が惜しけりゃ……いや、命だけじゃ済まねぇことになるぜ……?」
「ほう、商人ギルド絡みか。さっきの娘、確か〝クレオール〟と言ったか……」
「……ニセル? こりゃあ、アンタの連れかよ……」
二人に続き、アリサとミーファもやって来た。
アリサはカウンターに投げ出されたままの依頼書を拾い、それを読み上げる――。
「えーっと、『緊急依頼・商人ギルドの陰謀阻止! 正義感ある冒険者、至急求む!』だって」
「おー! 正義なら任せるのだ! いざ、ミーたちの出番なのだ!」
「おいおい、待て待て……。小けぇのが次々と……。ニセル、堅気になったとぁ聞いてるが、アンタ子守でも始めたのか……?」
「ふっ、まさか。彼らの腕は、オレが保証しよう――。エルス、やってみるか?」
「おうッ!――なぁ、マスター。俺たちに、詳しく話を訊かせてくれねェか?」
エルスは一連の流れに困惑しきった表情のマスターを、真っ直ぐに見つめる。
彼の後ろで、「心配ない」とばかりに、ニセルもゆっくりと頷いてみせた。
それを見て、マスターは観念したかのように、大きく息を吐く――。
「……わぁったよ。どちらにせよ、こっちも明日までに〝生贄〟を用意せにゃならんかったしな――。覚悟はいいのか?」
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