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第14話
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「ああ、火傷の跡だね。
保湿重視のクリームを出すよ。
このクリームは合わない人もいないから安心して使える。
マリさん、お願いできるかい?」
「はいはい。
じゃあお嬢さん、こっちに来てくれるかい?
・・・って、えらい別嬪さんだねぇ~」
最初はノーマン医師に不信感しか覚えなかったけれど、リリアンさんが紹介してくれた患者と分かってからはすぐに治療院へ戻ってくれた。
助手の年配女性マリさんは、左手にクリームを薄く伸ばして塗ると、指が自由に動かせるようになっている、指部分が開いている薄い手袋をつけてくれた。
「お嬢さんは色白だねぇ。
外に出る時は左手は手袋をして、日に当てないほうが良いよ」
そう言ってクリームと替えの手袋を渡してくれた。
「わかりました。
ありがとうございます」
あっという間に治療は済み、会計を済ませて帰ろうとすると、ノーマン医師が私を送ると言い出し、それをマリさんに止められ、そうしているうちに患者さんが来院し、私は治療院を出た。
『また来てね!
知らない人について行っちゃ、イテッ』
慌ただしかったけれど、不思議と和やかな気分になる治療院だった。
私はクリームと手袋の入った袋を持って、宿屋へ帰った。
気持ちは、晴れ晴れしていた。
3日の休みが終わって、2つ目の演目がまた10公演始まった。
このマッケンジー公爵領では3つの演目を公演し、次の公演場所へ移動する。
今回のストーリーは、王女様と元恋人だった騎士が3年振りに再会し、あらゆる障害や困難を乗り越えて結ばれるというものだ。
かなり人気があり、王都では追加公演されたという。
元恋人だった騎士と再会し結ばれる。
この話には、騎士の婚約者が二人の間を邪魔する役として登場する。
まるでこの婚約者が自分のようで、舞台裏で忙しく動き回っていても、台詞が聞こえてくる度に胸がグッとなった。
それに、騎士服を着た役者さんが視界に入ると、クライブ様を思い出した。
「ジーナ、これ、ノーマン医師があなたに渡してくれって」
2つ目の演目最終日に、リリアンさんに紙袋を手渡された。
「ノーマン医師が?
・・・・・・こ、困ります。
あ、まだ、ノーマン医師は劇場内に居ますか?」
男性からの贈り物を受け取るなんて、とにかくあり得ない。
返さなきゃ。
辺りをキョロキョロするも、リリアンさんに笑われた。
「残念ながら、もう帰ったと思うわ。
ジーナの気持ちも分かるけど、私もあの子に押し付けられたのよ。
ごめんなさいね」
当然、紙袋の中を見る気なんてない。
翌日、治療院が開く時間に紙袋を持って向かうことにした。
「ああ、この間の別嬪さん!」
どうやらノーマン医師はまだ出勤してないようで、治療院はマリさんだけだった。
私が困っていたのを察したのか、マリさんは話してごらん。と自分の胸を叩いて聞く姿勢を見せてくれたので、事情を話すことにした。
「そうかい。じゃあ、中を見てみよう」
紙袋を開けると、淡いブルーのレースの手袋が入っていた。
保湿重視のクリームを出すよ。
このクリームは合わない人もいないから安心して使える。
マリさん、お願いできるかい?」
「はいはい。
じゃあお嬢さん、こっちに来てくれるかい?
・・・って、えらい別嬪さんだねぇ~」
最初はノーマン医師に不信感しか覚えなかったけれど、リリアンさんが紹介してくれた患者と分かってからはすぐに治療院へ戻ってくれた。
助手の年配女性マリさんは、左手にクリームを薄く伸ばして塗ると、指が自由に動かせるようになっている、指部分が開いている薄い手袋をつけてくれた。
「お嬢さんは色白だねぇ。
外に出る時は左手は手袋をして、日に当てないほうが良いよ」
そう言ってクリームと替えの手袋を渡してくれた。
「わかりました。
ありがとうございます」
あっという間に治療は済み、会計を済ませて帰ろうとすると、ノーマン医師が私を送ると言い出し、それをマリさんに止められ、そうしているうちに患者さんが来院し、私は治療院を出た。
『また来てね!
知らない人について行っちゃ、イテッ』
慌ただしかったけれど、不思議と和やかな気分になる治療院だった。
私はクリームと手袋の入った袋を持って、宿屋へ帰った。
気持ちは、晴れ晴れしていた。
3日の休みが終わって、2つ目の演目がまた10公演始まった。
このマッケンジー公爵領では3つの演目を公演し、次の公演場所へ移動する。
今回のストーリーは、王女様と元恋人だった騎士が3年振りに再会し、あらゆる障害や困難を乗り越えて結ばれるというものだ。
かなり人気があり、王都では追加公演されたという。
元恋人だった騎士と再会し結ばれる。
この話には、騎士の婚約者が二人の間を邪魔する役として登場する。
まるでこの婚約者が自分のようで、舞台裏で忙しく動き回っていても、台詞が聞こえてくる度に胸がグッとなった。
それに、騎士服を着た役者さんが視界に入ると、クライブ様を思い出した。
「ジーナ、これ、ノーマン医師があなたに渡してくれって」
2つ目の演目最終日に、リリアンさんに紙袋を手渡された。
「ノーマン医師が?
・・・・・・こ、困ります。
あ、まだ、ノーマン医師は劇場内に居ますか?」
男性からの贈り物を受け取るなんて、とにかくあり得ない。
返さなきゃ。
辺りをキョロキョロするも、リリアンさんに笑われた。
「残念ながら、もう帰ったと思うわ。
ジーナの気持ちも分かるけど、私もあの子に押し付けられたのよ。
ごめんなさいね」
当然、紙袋の中を見る気なんてない。
翌日、治療院が開く時間に紙袋を持って向かうことにした。
「ああ、この間の別嬪さん!」
どうやらノーマン医師はまだ出勤してないようで、治療院はマリさんだけだった。
私が困っていたのを察したのか、マリさんは話してごらん。と自分の胸を叩いて聞く姿勢を見せてくれたので、事情を話すことにした。
「そうかい。じゃあ、中を見てみよう」
紙袋を開けると、淡いブルーのレースの手袋が入っていた。
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