Childhood friend lover 【著 CHIYONE】

文字の大きさ
10 / 28

Childhood friend lover10

しおりを挟む
【ボクは翔が好きだよ】

 ガキの頃からハイジの好きは散々聞いてきた筈なのに、久しぶりだったせいか、さっきのアレは妙に胸がざわついた。
 家に帰って、ベッドに寝っ転がって、天井を見つめる。
 あーヤッベ、頭ん中グルグルする今日1日で色々ありすぎだろ、オレの人生のイベント全部使いきったんじゃねえの?
 目を瞑って一眠りでもしたら、そのまま異世界に転生してそうだ。

 横向いて、窓を見れば向こうの部屋は真っ暗でまだハイジは一階にいるみたいだ。

 好きだよって言われてオレは無意識にハイジの体を押し返していた。
 はいはいって真っ直ぐな眼差しから目を逸らしてはぐらかしてしまった。
 昔はどうだったかなって記憶を辿って、ええっと確か、小学生の時家族同士で行った遊園地で、ハイジって高いとこもジェットコースターも大好きな癖にお化け屋敷を怖がるんだよ。
 オレは本物の暗闇は怖いけど、お化け屋敷って驚きはしても、作りもんだって頭にあるから割と平気なんだ。
 で、ハイジが偽物のお化け嫌いなの知ってるから、オレの手握って入りたくない入りたくないって涙目になってるアイツに言ってやったんだ。
「安心しろ! 昨日YouTubeとブログでここのお化け屋敷の全容はばっちり記憶してある、どこで何が出てくるのか全て暗記したぞ! なので怖い時は便乗して倍怖がらせてやるからな覚悟しとけよハイジ、ハ、ハ、ハ!」
 と、そしたらハイジがオレの手をぎゅっと握り込んで言った。
「お前のそうゆうとこ好きだぞ」
 って、キラキラした目で見てきて、「あっそ」と一言返してお化け屋敷に連れてった。
 そっかあの日は外だったのもあって、目も逸らさなかったし手も離さなかったな。
 他にも、下校中に水あめ半分やった時もアホみたいに転んだからバンソーコーあげた時も、オレを好き好き言ってたな、が何も気にする事なく、あーはいはいって流してそのままだ。
 最後に言われたのはいつだったか? あ、意外と最近だ先週だよ先週、あのクソバカがまた、またまたまた体操着忘れたって言うから仕方なく貸してやったら、サンキューかけたん大好き! ってオレの体操着袋に顔擦り付けてたから、鳥肌立ってうるせえ死ねって顔に掌底入れた記憶がある。
 その後、校庭みたら異様に生き生きしながら棒高跳びしててイラついたんだよなあ、飛び終えたら皆にハイタッチして最後にオレの方を見てきた、目が合って手振ってきてウザかったなアイツ。

 で、何で今日は目逸らして手も体も振り解いたんだろうって考えて…………。
 中学入ってからは一緒にいる時間も減って手を繋ぐこともなくなったし、後そうだよそうだよ、アイツ彼女いるから、ああゆうのってヤバくね? って思ったから。
 いや、ヤバいのか? あれ? ヤバイって思う方がヤバいよな?
 だってハイジはサッカー部でゴール決めると部員同士で抱き合ったりしてるもんな? そんなのの一種なのに……。

「うわあああ!!!」


 オレは何かに気付いて小さな悲鳴を上げてしまった。
 そうだよ、友達同士がするコミュニケーションくらいの筈なのに何お前意識してんだよって話だな?!
 だってオレ、言っちゃったじゃん、これ以上は彼女としろって……ま、待ってよ翔ちゃん……これ以上って何だよ、え? じゃあハイジに彼女がいなかったら、アレ以上な事してたって?
 ハイジと? 何で? オレが? ちょっと多方面に意味わかんない、でもとりあえずオレが意識してるみたいになってないかな!!
 きっとあの、男の友情的なアレだったら【落ち着くまで肩貸すよ】くらい言って良かったシチュじゃね?
 そうかよ、ヤバイな、でもだってハイジが好きだよって言ってくるからぁ! え、キッショってなるじゃんよ、お前彼女いんのに何してくれたんだよって。

 顔面手で覆ってやだやだってゴロゴロしてるオレ女子だったらすっげー青春してる高校生じゃん! 最悪ながらオスモブその4ですけど。
 指の隙間からハイジの部屋見たら、電気ついてら、うおッ……このタイミングで帰ってくんなよ。
 そしたら、シャッてカーテンが開いて、うえって変な声出る、だってバカかオイ!! あの脳筋首にタオル掛けて風呂上がりのパン一で現れたんだけど、健康的ないい体デスネ!
「翔」
 口の動きがそう言ってて目合っちゃってるし、仕方ないから渋々ベッドから立って窓開ける。
「露出狂かよ、お前のこと本当に大嫌いだからあ!」
「わかってるよ、ボクも嫌いだよ」
「じゃあ何、イッ! 冷た……」
 何か投げ付けられて、床に落ちたもん拾えばガリガリ君かよ、アイツもう食ってるし、溶けるから仕方なくオレも食う、そしたらハイジが。
「これさ」
「うん?」
 ハイジはアイス咥えながら、鞄漁って夕方の映画のチケットを取り出した。
「だったらボクと二人で行こうよ。ごめん先に彼女と最近どうなのって聞いたら良かったよな」
「は? 行かねえし、それにお前確かその日後輩の試合がって」
「うん、まあ別になんとかなる」
「休めるだったら彼女と行けば?」
「うん、まあそれもなんとかなる」
「知らねえよ行かねえよアホ」
「じゃあ土曜日の朝迎えに行くね」
「話聞けよハゲ!!」
 断ってるのにハイジは、じゃ! っと手振って、窓閉めてカーテン閉めて鍵かけてるよ、何なんだよあのバカは。
 そんで残ったアイス食いながら思う、そう言えばアイツ、オレの事【ボクが唯一仮面外せる存在だった】って言ってたよなって。
 え? 彼女は? 彼女にはどうやって接してんだろう。
 そうやって考えたら、いい子ぶってるハイジにとって“そのハイジ”が好きで付き合ってるなら、ハイジは彼女といる時は常に“そのハイジ”でいなきゃなんない訳で、それってアイツが大嫌いな状態をずっと保って接してるって事か?
 ええ…………それってなんかすっげーしんどくねえかな、っつかあのウェーイな友達も群がる女子も、アイツの周りにいる限りハイジはずっと“そのハイジ”でいなきゃなんないのか。
 おお……だから苦しくなってオレのとこの来てんの? じゃあ彼女も友達もいればいる程辛くなるんじゃねえの? え? だったらハイジの言った好きってなんだ? オレが本気で好きなのか…………?
 考えてたら棒までガリってやっちゃって口から出したら【当り】って書いてあった。うしょでしょ。
 うん、嘘だな、有り得ねえな、だってオレは運命のハイジちゃんを探してるとこだし、すね毛とチンコ生えてるハイジちゃんとかマジ無理だぞ。





 それで、土曜日の十時、ネトゲで明け方まで徹夜してたオレの部屋に本当にアイツ来たかぞ……!!
「ほら翔起きろよボクと遊ぶ約束したろ」
「してねえよ」
「した」
「してない」
「したってば」
「してねえって言ってるだろ」
「じゃあ、いいよボクも二度寝するからもう少し向こう行け」
「うっわ!! 何入ってきてんだお前!!! ちょっと準備するから待ってろ変態」
 真顔で布団入ってくるから急いで飛び起きた! 
 だって、うわああああああ、やだぁ! ちょっと朝勃ちしてるとこにハイジの膝が当たっちゃったから、気持ち悪いぃい!!!





 で、映画館まで行ってオレは三回程ハイジをどついたね。
「テメーこのやろう本気でぶん殴るぞ」
「しょうがないだろ、来ちゃったんだからどっかで時間潰してればいーじゃん」
 口パカーって開けて悪びれた様子もなく映画館の前で頭かいてるハイジに本気で腹が立つ、こいつううう! 映画11時30からだよって言うからギリギリだなって急いで出て来たの23時30分じゃねえかよ!!!
「っつか未成年ってこれ見れんの?」
「知らん、でも翔って老け顔だからいけんじゃね」
「…………」
 そんな事言われたら、お客様身分証の確認よろしいですか云々、どっかで呼び止められたくて行きたくなるじゃねえか。




 そしてあっさり最後まで見れてしまうと言うオチですけど。
「ねえハイジ、本当ハイジ君さ?」
「ん? 何?」
「オレ好きでもないお前と12時間も時間潰したあげくラブストーリー見ちゃって明日総入れ歯になりそう」
「え? そんなにポップコーン歯に詰まったの?」
「そういう意味じゃねえよ、先に言えよラブストーリーだよって、オレが好きな奴って言ったから見に来たんだぞアクションじゃないのかよ」
「翔いつも彼女ほしーほしーしてたからラブが好きなんだと思ってたけど」
「お前とラブストーリー見るの好きな訳ないだろ」
 項垂れて映画館出て来て(しかし映画は面白くてラスト泣いたけど)しかも終電ないから一時間半も歩いて帰宅ってどういう罰ゲームなのぉ、ネトゲの約束もあったのにぃ。
「本当お前、五歳の手繋ぐからの、オレの初めて強引に奪い去っていくの止めてくれない? 初めての映画も買い物もカラオケもカップル漫喫もゲーセンも、オレは可愛いロリロリハイジちゃんのと行きたかったんだよ」
「へえ虚しい夢だな」
「うるさいよ、っつかお前歩くのはえーって言ってんだろオレ様にあわせろよ」
「ああごめん」

 そんでハイジが引きこもりには堪えるだろうってゲーセンで取った人形やら荷物を持ってくれんだけど、そういうのもオレが彼女にやりたかったヤツー!! もういいや、早く帰って寝ようってしたらハイジが家の前で言った。




「あ、鍵忘れた」



「知るか」
「もう夜中だし、電話して起こすのもアレだよな」
 真っ暗な新井邸を二人で見上げて、まあそうだな、うちもそうだけど皆寝てる深夜三時だよ、ハイジは鍵開けるオレをじっと見てくる。

「何だよ」
「別に」
「じゃあ、おやすみ」
「沖田君最近ここら辺熊が出るらしいぞ」
「……………………はいはい、じゃあうちに来れば?」
「うん行く、狭いけど」
「熊に撲殺されてしまえよお前なんて」
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

俺ときみの、失恋からはじまる恋 ~再会した幼なじみ(初恋相手)が同性だった件について~

紀本明
BL
小林冬璃(とうり)は、10年間も忘れられない初恋相手の「はるちゃん」と念願の再会を果たす。 しかし、女の子だと思って恋焦がれていた「はるちゃん」が実は男だったと知り失恋する。 人見知りでなかなか打ち解けないはるちゃん=春斗との同居に不安を覚えつつも、幼なじみとして友だちとして仲良くなろうと決めた冬璃。 春斗と徐々に距離を詰めていくが、昔と変わらない春斗の笑顔にときめいた冬璃は、自分の中に芽生える感情に戸惑って……。 小林冬璃 さわやか無自覚系イケメン攻め      ✖ 冴木春斗 人見知り美人受け 恋愛慣れしていない初心な二人が織りなす、ぴゅあきゅんボーイズラブ。 表紙イラストは針山絲さん(@ito_hariyama)に描いていただきました。

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話

日向汐
BL
「好きです」 「…手離せよ」 「いやだ、」 じっと見つめてくる眼力に気圧される。 ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。 ・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・: 純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26) 閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、 一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕 ・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・: 📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨ 短期でサクッと読める完結作です♡ ぜひぜひ ゆるりとお楽しみください☻* ・───────────・ 🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧 ❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21 ・───────────・ 応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪) なにとぞ、よしなに♡ ・───────────・

義兄が溺愛してきます

ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。 その翌日からだ。 義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。 翔は恋に好意を寄せているのだった。 本人はその事を知るよしもない。 その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。 成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。 翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。 すれ違う思いは交わるのか─────。

処理中です...