Childhood friend lover 【著 CHIYONE】

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Childhood friend lover15

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 二年ぶりに見たハイジだった。


 お隣同士でそんな顔合わせない事ってあるかって疑問持つかもしれないけど、別に普通だと思う、隣に誰が住んでるのか知らないまま暮らしてるのがこの世の中だろ。
 茶髪は地毛だから仕方ないとして、大学に入ってから開けたピアスは、つけていなかった当たり前か。
 かなりの長い沈黙だった、その間オレ達はただ互いを凝視していた。
 なんっつーか、社会人のスーツ姿まで見るとは思わなかったな、しかも……同じ入社式で……。
 でも、うちの会社連結してる子会社が何百ってあるし、入社式は合同だからな、多分どこかの子会社勤務だろう。
 っで名前を呼び合ってオレから最初にでた言葉は。
「本社?」
 の2文字、そんで直ぐハイジは頷いて。
「うん本社、本社の営業。翔は?」
「ほ、本社のシステム課」
 ちくしょう、本社かよ! すげー就活頑張ったねオメデトウ!! 英語公用語化されてるのにすげーじゃんお前!!
 それ以上の会話はねえなって露骨に視線を外したら、ハイジは名前を呼ばれて、そっちに振り向いた、マジかよもうアイツ知り合いできたんか、と別れも言わずにその場を離れた。

 えー……マジですかっつか絶対母さんオレの勤務先知ってたな? 
 いや、大学の時、バイトするっつって特に勤務先は言わなかった、その後正社員になると報告したら、お祝いしようってなったけど、コネだしいいよって気恥ずかしくて断って、何て会社? って聞かれても、まあそこそこのとこ、位にしか答えてなかった……が、ええ? 知ってたのか? 知らなかったのか? まあそんなのどうでもいいか。

 それよりも、大学院に行くか迷ってた時に、あえて選択した就職がまさかハイジも就職で、しかも会社まで被るってどうしたらいいんだよ……そしてまたクラスっつーか部署は違うけどさ。
 でもまあ、うちの会社大手って、だけあって本社の従業人数すげーから社内で会う事もねえな。

 気疲れして今日は定時で家帰ったら、母さんが待ってて、ハイジ君の入社式お疲れ様&お祝いパーティーするよ! って言うんだけどさ、それって内定決まってするもんじゃないの? って言ったら、辞退するかもしれないから、入社してからしたかったの! と母さんは意気揚々に言い返してきた。
 ふーん、そうかそうかよ、でもオレ疲れたから無理……って玄関でネクタイ解いてたら、母さんの後ろから、奴が出て来たのだ。


「おかえり翔」


「なんでいんだよハイジ」
 先に帰っていたハイジはもう家にいた。
 誘導されて渋々リビングに足を運んだら、あ、あ、あ!!!! ちくしょう、オレが弱いばーちゃんまで呼びやがって強行するつもりか! 
 卑怯な奴らめ! と母さんを睨んだんだけど、皆でお祝いしたいし~とか変な踊り踊られてマジどつきてぇなって視線に殺意を込める、でも!! ソファーでくつろいでるばーちゃんは可愛いので、隣に座る。
 出勤する時、朝早くから庭掃いてたり、花に水やったり表にいるから挨拶はするけど、最近はろくな会話もしてなくて寂しかったんだよな、ああこの、ばーちゃん特有の線香とタンスの匂いにほっとするよ。
 翔ちゃんおかえりってオレの手の上に乗ったばーちゃんの手はシワが増えて腰も少し丸くなってて、ジンとした。
 もう小さい時みたいにハイジと悪さして包丁持って追いかけてくるばーちゃんじゃなくなったんだなって思った(夕飯のカレーをルーだけ全部食う事件)。
 パーティーは唐揚げとポテトとサラダと手巻き寿司、後適当につまみ、ばーちゃん海苔噛み切れんの? って聞いて、いけるって言うから、翔スペシャル作って漬物添えたらばーちゃんは喜んでた。
 主役のハイジは皆にちやほやされながら酒飲んで食って上機嫌だ。
 で、時間が過ぎてハイジが唐揚げ片手に言った。

「そうそう! 今日入社式で翔と会ったんだぞ!」
「あ?」


 そしたら皆悲鳴上げて驚いて…………?!!! おいおい、マジで知らなかったのかよ!!!
 母さんが、何で言わないの翔! って怒ってたけど、いやそこそこの会社のバイト決まったって言ったし。
 そんで今更になって、じゃあ主役が二人になったなあって、父さんSがいつもは発泡酒なのに空のコップにビールを注いできた。
 母さんが写真撮りたいってカメラ構えて、ハイジはもう酔っぱらってる。
 幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、そして会社まで一緒なんて、運命って恐ろしいわね!!
 と母さん達は興奮して、場の空気読んで、はいはいとハイジと肩を組んだ。


 組んだ。





 組んだまでは良かったのに、ハイジが「これからも宜しくな!」って何故かオレの頬にキスしてきたんだよ……?!
 何それ?!!
 で、写真撮られてるし!!

 でも誰も何も言わねー! オレだけ、止めろよ! ってハイジの体突き離して頬がむず痒い。
 母さん達は、ああーいいの撮れたぁ~みたいな、つまみ摘まんで酒飲んで写真見て笑ってる。
 え? 何コレ、逆にオレが意識してるみないな、そんな状況?!!

 そしたら、母さんがカラオケマイク取り出して、一曲お祝いの歌いいですかね? と始まった、言い訳ねえだろ一曲じゃすまない癖に、止める前に世代じゃないJPOPが流れだしてしまって、イライラしながらさっき持たされたお酒を飲んだ。
 飲み終わったら、ハイジが肩組んでもたれかかってきて、もう一杯って足してくる。
「翔君どうぞどうぞ」
「いらねえよ、いらねえし酔い過ぎだよお前」
「だって、楽しーじゃん」
 オレのコップに注ぎ終えれば残りは自分で傾けて、すげえええいやだ。
 すげええ嫌なんだ、きっとオレも酔ってきてる、酔ってるからだよな? 何か妙に胸がざわつくんだ。




 ハイジにごめんと謝らせた時に、あのまま、もうオレ達は離れ離れになってしまうんだって思ってた。

 何年か経って大学まで同じだった幼馴染がいたけど、今はもう知らない、みたいなそんな関係になるのかなって思ってた。



 のに、今ハイジが側にいて、普通に会話してるこの状況に、よくわかんないけど安心して、そうだったハイジってこんな匂いだったなって、隣にいるから嫌でも五感でヤツを感じてしまうんだ。

 バイト……正直辛くて、オレコミュ症だし、小さな事から大きな事まで、二年間色んなことがあって、でも誰にも言わなくて、言えなくて、ハイジがいたら何だかんだ愚痴って笑い話にできた事、全部全部貯めこまなきゃいけなくてしんどかった。
 今更オレに自分の全てを曝け出せる友達なんていなくて、いや、そんな友達必要ないって思ってたし、だって相談したら、何かあった時オレも相談に乗らなきゃいけないから、そんな面倒くせえって人とつるむのを避けてきた。
 でも、ハイジがいなくなってわかった。
 オレにはハイジがいたから、そういう友達が必要なかっただけで、オレには元々自分を曝け出せるたった一人の大事な幼馴染がいたんだと、わかった時にはハイジはオレの前から消えていた。

夜ベッドで不意に【なあ、ハイジ】っていつも引っ張ってた服の感触が蘇ってきて、でも何度も空気を掴んで、でもオレが突き放したんだと諦めたんだ。




 これからも宜しくな! って言われて、少し泣きそうになってるのは酒のせいだ、



ハイジが戻ってきてくれた。




 母さん達がアルバム引っ張り出してきて、宴第二ラウンドが始まろうとしていて、時刻はもう12時だ、この初老共どんだけ元気なんだよ、ばーちゃんはとっくに家に連れってた。
 ハイジも疲れたんだろう、ソファーで寝てる。

「んじゃオレも寝よ、あんま遅くまでうるさくすんなよ」
「え? 寝るならハイジ君も上連れてってよ、そこに寝られたら邪魔」
「あ? 無理重い」
「なら、隣の家に持ってといて」
「今のオレの断った理由聞いてた? 重いから無理なんだよ! 隣の家まで運べるか!」
「じゃ、騒ぐわ」
「チンピラかよ」
 クソ本当腹立つ、寝てる人間って起きてる状態より重いんだぞ?! っでも騒がれたら寝られないから仕方なくハイジを部屋に引きずってく。

 部屋のドアを足で蹴破って、一歩入ったら寝てたと思ってたハイジが目をつぶったまま鼻をくんくん鳴らして言った。



「あ、翔の部屋だ」


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