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Childhood friend lover19
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気付いたら、あの突然の異動から三年と経っていた。
袴田さんの率いる総務部はしっかりと会社の根付いて、毎日忙しいけれど必要とされるのが、それ以上に嬉しかった。
「袴田さんって凄いッスね」
とハイジが言えば袴田さんは全くそっちを見ずにPCを操作したまま答える。
「信用も信頼も金で買えるもんじゃないし、お前等が今人から頼られてるなら、自分が努力した成果だろう。ヨカタネ(棒)」
袴田さんはたまに褒めてくれる。
そんな袴田さんは御茶ノ水に来てから、明らかに性格が変わっていた。
直ぐ威圧的に「あ?」とか言わなくなったし、まさかの笑顔で挨拶するようになったのだ。
それだけじゃない、優しいのだ。
そうなのだ、優しいのだ! こんな事ってあるか、袴田さんが他人に優しいだと?
「ハイジ、袴田さんさ病気かな」
「バカだなお前アレは病気じゃないぞ」
「ん?」
バカにバカと言われムッときたが、答えが知りたくて黙っていればハイジは両手を胸に当てて目を瞑って比類なきムカツク顔で言った。
「恋だよ」
「恋?」
「恋したんだよ、袴田さんはこの御茶ノ水で、誰かに」
「恋って袴田さんにそんな感情がある訳ないだろう、本命のマンコ以外は見ないお方だぞ」
「だからその見たくなるような本命のおマンコを見付けたってイッテェエ!!!」
それはそれは綺麗に頭頂部に肘鉄が入って、ぷぷぷってしてたらオレも思いっ切りデコピンされてしまった。
「ここ中学校じゃないから、そういう卑猥な単語に不快感を覚える人って大勢いるんですよ、慎みましょうね」
「はい」
眼鏡キラってされて、口元笑ってるけどレンズの奥の目がオレ達だけに見せる殺し屋の眼光だった。
そして、袴田さんはなんとその後、瞑想してるのかと思ったら、突然書類の裏に結婚しましょうって書き始めて何かと思ったらそれを営業事務の尾台さんに渡しに行くと言うのだ。
尾台さんは知っている、というかこの会社の有名人で綺麗で気さくで物腰柔らかで気立てもよくて、そうそう御茶ノ水を救いたいとストライキを起こす一番の要因になったのも、この尾台さんが虐められてたからだったんだ。
エクセル勉強したいってよくオレの所に質問しに来てくれて、すっごい勇気振り絞ってご飯でも一緒にどうですか! って言ったら快くOKしてくれたのに、俺も聞きたいって営業のイケメンが付いて来て、何にも楽しくなかった思ひ出。
そんなマドンナを……? 袴田さん、頭大丈夫か全然性格釣り合ってないけど?
ハイジも必死に止めてたけど、簡単に振り払って行ってしまった。
その後も懲りずに袴田さんは尾台さんにちょっかいだしてるし、営業部からの視線が痛いぞ。
そんで一緒に会社を出た訳じゃなかったけれど、改札を出たらたまたまそこにハイジがいた帰り道。
拝むようにして改めてハイジに言われた。
「本当ごめんな、ここまで巻き込んじゃってさ」
「んー? いいよ……もうここまできたら本社戻る方が億劫だわ」
「それな、向こうにいた時より給料いいし、人もいいし帰る理由がないわ」
「でも彼女に渋谷勤務だって言ってるんだろ? いいのかよ」
「ああ、それはいいよ。それより」
ハイジはいきなりオレに腕を組んできて悪戯に見上げて言う。
「何?」
「ボクが実は翔を追い掛けてこの会社入ったんだって言ったらお前どうする?」
「は?」
何言ってんだコイツって一瞬カッと顔が熱くなった、そしたらハイジはにやーってしてるから、これからかってるヤツか!!
本当ムカツク! 腕振り解いて、ちょっと歩く速度を速めた。
「どうもしねえよ、しつこいヤツだなって思うだけ」
「そっか」
「それ以外にねえだろアホ」
「そうかそうか」
ハイジは満足気に歩幅合わせてきて、家に着いたら、うちは真っ暗で、そうだ今日は新井さんちでご飯食べての日だった……!
「クソこんな日に」
引き戸に手を掛けながらハイジは言った。
「うちのばーばが甘ーくかぼちゃ煮てくれてますよ、食べにくる?」
「行く」
渋々、お邪魔して肉焼いたのと野菜の味噌汁とかぼちゃの煮物超美味しかった。
「翔ちゃんは本当に何でも好き嫌いせずに食べていい子だねぇ、うちのハイジはいくつになっても……」
「いいだろう! 健康に生きてるんだからそれが一番!」
「ばーちゃんが作ったものは何でも旨いというのに、本当に罰当たりなヤツだな」
「ありがとうね」
向かいの席でお茶を啜りながら、ばーちゃんはため息を吐いた、そして、
「はあ……こんな優しい翔ちゃんが引っ越しちゃうなんて寂しいねえ」
突然の告白にオレもハイジも目を丸くしてしまった。
「え? 何それ初耳、どういう事?」
「ん? 知らなかったのハイジ、こないだ翔ちゃんのお母さんが」
「あ、いや……別に直にって話じゃないけど」
急にご飯が喉を通らなくなって、うわ、筒抜けなのかよ……毒親め、迂闊に相談するもんじゃねえな。
ハイジが何々? って服引っ張ってくるから、だってオレ達もういい年だろって誤魔化しといた。
ちなみに新井君んちのお風呂が壊れて直るまでの一週間うちのお風呂使いに来てた事件もあった(割愛)。
まあこの三年間、オレ達はつかず離れずの距離感だった。
忙しかったしな、休みの日も誰かの為にと時間を削って仕事をしてた、けどその分笑顔と給料が返ってくるから苦ではなかったし、一番は隣に袴田さんとハイジがいたから何も怖くなかった。
そう、この怖くないっていうのが仕事においてとても重要だと思う。
失敗しても二人がいるから恐くないって自信があったから何にでも挑戦出来たし二人になら何でも話せるし、疲れたって愚痴れる仲間がいるからストレスじゃないんだよな。
出社して、今日あの人挨拶してくれるかな、ってビクビクしながら席まで行くんじゃなくて、目が合って殺気放ちながら睨まれて、からの沖田君おはようございますって作り笑顔の袴田さんすげえ痺れるから。
が、そんな平和を揺るがす兆しが見えたのもこの時だった。
袴田さんが不穏な動きをし始めたのだ、本社から何人かスーツの男を連れて会社の視察にきたり、現況報告や細かな仕事の方針まで話して、挙げ句には「私の後任の方には」と言ってるのを聞いてしまった。
後任ってなんだ? 袴田さん本社戻るのか? そりゃこんな役立たずな男二人抱えて一つに会社立て直す程の裁量持った人間だ、ここに留まらず本社に帰るべき人なのかもしれない……けど。
ハイジも気になるみたいで、明らかに雰囲気の違う本社の男に釘付けだ。
だってこれから今度はあの人と三人で今まで通りの仕事ってできるのか、っつかハイジとのこの関係も、袴田さんが早く結婚すれば? っていじりを止めて下さい! こいつ大嫌いなんでって自分に言い聞かせるように言い返して、いい感じに距離感保ってんのに、え? どうしよう、ここで上司が辞めんのはかなりの痛手だぞ。
でも、オレ達なんかより上を目指せる人に何て言って引き止めるんだろう。
そしたら、ハイジが遠くで建物の構造を説明してる袴田さん見ながら言った。
「翔」
「おう」
「袴田さんはここを出て行きたい訳じゃないよ」
「そうなのか」
「そうだよ、出て行かなきゃ行けない理由があるだけだから、ボク達がそれを後押しして解決させて、ここにいてくれって言えば大丈夫」
「…………」
何のことだよ、出て行かなきゃいけない理由って袴田さんなんかトラブル起こしたっけ。
それで、夜になって怖くなってしまった、袴田さんがいなくなって、後任とハイジと三人になる職場。
絶対今のようなパフォーマンスが出来なくなって、ハイジに迷惑かけて、ここまで来た総務部がオレのせいで滅茶苦茶になりそうで怖い。
ハイジと二人きりでいる時間も、正直怖いんだ、いつからこんな臆病になったのかわからない。
でも怖いもんは怖いんだ、だから、ちょっと保険として退職届なんかを書いてしまった。
ないよりはマシという、鞄にしまっておけば何かあった時バックレ……たいんじゃないくて、本当に心の保険。
そんで、袴田さんのXデーは直ぐに来た、無遅刻無欠勤だった意中の尾台さんか無断欠勤してる報告がきて、家に行くか問われた袴田さんは唇を噛んで迷っていた。
今までに見た事のない、表情だった、いつも即決即断力でオレ達を引っ張っていた男が肩で息をしていた、下がった眼鏡を直した指先が僅かに震えていた。
そして、その肩をポンと叩いたのはハイジだった。
「さっさと行ってくださいよ」
と袴田さんに少し睨んだように言って、ああそうかここか、と思ってオレも便乗して後押しして、そしてここに残ってくれとオレ達なりに口を揃えて言えば、なんとあの袴田さんが笑顔でありがとうと言ったんだ。
こっちが緊張して、袴田さんが出てった後力が抜けて背もたれにより掛かってしまった。
「恋ってしゅげー」
「な? 恋だっただろう」
あの人だ、もうこれで大丈夫だろう、背中を見送ってオレすげー袴田さんを評価してんだな。
それで、その日の夜は袴田さん帰ってこないんだろうし、上司の分も仕事して遅くなった。
皆は飲み会で、出払っちゃっていつの間にかオフィスにオレ一人。
でもいい雰囲気で皆が酔っ払ってる中、入ってけるタイプじゃないからこのまま帰ろうと席を立つ。
最後の確認って、鞄の中チェックしてたら、おお……ヘタレ様が書いた退職届が出てきたぞ。
これはもういらないよな? と自嘲してシュレッダーにでもかけようと思ったら。
「翔?」
ほとんどの電気が消えたオフィスで幼馴染の声が響いた。
「ハイジ……」
袴田さんの率いる総務部はしっかりと会社の根付いて、毎日忙しいけれど必要とされるのが、それ以上に嬉しかった。
「袴田さんって凄いッスね」
とハイジが言えば袴田さんは全くそっちを見ずにPCを操作したまま答える。
「信用も信頼も金で買えるもんじゃないし、お前等が今人から頼られてるなら、自分が努力した成果だろう。ヨカタネ(棒)」
袴田さんはたまに褒めてくれる。
そんな袴田さんは御茶ノ水に来てから、明らかに性格が変わっていた。
直ぐ威圧的に「あ?」とか言わなくなったし、まさかの笑顔で挨拶するようになったのだ。
それだけじゃない、優しいのだ。
そうなのだ、優しいのだ! こんな事ってあるか、袴田さんが他人に優しいだと?
「ハイジ、袴田さんさ病気かな」
「バカだなお前アレは病気じゃないぞ」
「ん?」
バカにバカと言われムッときたが、答えが知りたくて黙っていればハイジは両手を胸に当てて目を瞑って比類なきムカツク顔で言った。
「恋だよ」
「恋?」
「恋したんだよ、袴田さんはこの御茶ノ水で、誰かに」
「恋って袴田さんにそんな感情がある訳ないだろう、本命のマンコ以外は見ないお方だぞ」
「だからその見たくなるような本命のおマンコを見付けたってイッテェエ!!!」
それはそれは綺麗に頭頂部に肘鉄が入って、ぷぷぷってしてたらオレも思いっ切りデコピンされてしまった。
「ここ中学校じゃないから、そういう卑猥な単語に不快感を覚える人って大勢いるんですよ、慎みましょうね」
「はい」
眼鏡キラってされて、口元笑ってるけどレンズの奥の目がオレ達だけに見せる殺し屋の眼光だった。
そして、袴田さんはなんとその後、瞑想してるのかと思ったら、突然書類の裏に結婚しましょうって書き始めて何かと思ったらそれを営業事務の尾台さんに渡しに行くと言うのだ。
尾台さんは知っている、というかこの会社の有名人で綺麗で気さくで物腰柔らかで気立てもよくて、そうそう御茶ノ水を救いたいとストライキを起こす一番の要因になったのも、この尾台さんが虐められてたからだったんだ。
エクセル勉強したいってよくオレの所に質問しに来てくれて、すっごい勇気振り絞ってご飯でも一緒にどうですか! って言ったら快くOKしてくれたのに、俺も聞きたいって営業のイケメンが付いて来て、何にも楽しくなかった思ひ出。
そんなマドンナを……? 袴田さん、頭大丈夫か全然性格釣り合ってないけど?
ハイジも必死に止めてたけど、簡単に振り払って行ってしまった。
その後も懲りずに袴田さんは尾台さんにちょっかいだしてるし、営業部からの視線が痛いぞ。
そんで一緒に会社を出た訳じゃなかったけれど、改札を出たらたまたまそこにハイジがいた帰り道。
拝むようにして改めてハイジに言われた。
「本当ごめんな、ここまで巻き込んじゃってさ」
「んー? いいよ……もうここまできたら本社戻る方が億劫だわ」
「それな、向こうにいた時より給料いいし、人もいいし帰る理由がないわ」
「でも彼女に渋谷勤務だって言ってるんだろ? いいのかよ」
「ああ、それはいいよ。それより」
ハイジはいきなりオレに腕を組んできて悪戯に見上げて言う。
「何?」
「ボクが実は翔を追い掛けてこの会社入ったんだって言ったらお前どうする?」
「は?」
何言ってんだコイツって一瞬カッと顔が熱くなった、そしたらハイジはにやーってしてるから、これからかってるヤツか!!
本当ムカツク! 腕振り解いて、ちょっと歩く速度を速めた。
「どうもしねえよ、しつこいヤツだなって思うだけ」
「そっか」
「それ以外にねえだろアホ」
「そうかそうか」
ハイジは満足気に歩幅合わせてきて、家に着いたら、うちは真っ暗で、そうだ今日は新井さんちでご飯食べての日だった……!
「クソこんな日に」
引き戸に手を掛けながらハイジは言った。
「うちのばーばが甘ーくかぼちゃ煮てくれてますよ、食べにくる?」
「行く」
渋々、お邪魔して肉焼いたのと野菜の味噌汁とかぼちゃの煮物超美味しかった。
「翔ちゃんは本当に何でも好き嫌いせずに食べていい子だねぇ、うちのハイジはいくつになっても……」
「いいだろう! 健康に生きてるんだからそれが一番!」
「ばーちゃんが作ったものは何でも旨いというのに、本当に罰当たりなヤツだな」
「ありがとうね」
向かいの席でお茶を啜りながら、ばーちゃんはため息を吐いた、そして、
「はあ……こんな優しい翔ちゃんが引っ越しちゃうなんて寂しいねえ」
突然の告白にオレもハイジも目を丸くしてしまった。
「え? 何それ初耳、どういう事?」
「ん? 知らなかったのハイジ、こないだ翔ちゃんのお母さんが」
「あ、いや……別に直にって話じゃないけど」
急にご飯が喉を通らなくなって、うわ、筒抜けなのかよ……毒親め、迂闊に相談するもんじゃねえな。
ハイジが何々? って服引っ張ってくるから、だってオレ達もういい年だろって誤魔化しといた。
ちなみに新井君んちのお風呂が壊れて直るまでの一週間うちのお風呂使いに来てた事件もあった(割愛)。
まあこの三年間、オレ達はつかず離れずの距離感だった。
忙しかったしな、休みの日も誰かの為にと時間を削って仕事をしてた、けどその分笑顔と給料が返ってくるから苦ではなかったし、一番は隣に袴田さんとハイジがいたから何も怖くなかった。
そう、この怖くないっていうのが仕事においてとても重要だと思う。
失敗しても二人がいるから恐くないって自信があったから何にでも挑戦出来たし二人になら何でも話せるし、疲れたって愚痴れる仲間がいるからストレスじゃないんだよな。
出社して、今日あの人挨拶してくれるかな、ってビクビクしながら席まで行くんじゃなくて、目が合って殺気放ちながら睨まれて、からの沖田君おはようございますって作り笑顔の袴田さんすげえ痺れるから。
が、そんな平和を揺るがす兆しが見えたのもこの時だった。
袴田さんが不穏な動きをし始めたのだ、本社から何人かスーツの男を連れて会社の視察にきたり、現況報告や細かな仕事の方針まで話して、挙げ句には「私の後任の方には」と言ってるのを聞いてしまった。
後任ってなんだ? 袴田さん本社戻るのか? そりゃこんな役立たずな男二人抱えて一つに会社立て直す程の裁量持った人間だ、ここに留まらず本社に帰るべき人なのかもしれない……けど。
ハイジも気になるみたいで、明らかに雰囲気の違う本社の男に釘付けだ。
だってこれから今度はあの人と三人で今まで通りの仕事ってできるのか、っつかハイジとのこの関係も、袴田さんが早く結婚すれば? っていじりを止めて下さい! こいつ大嫌いなんでって自分に言い聞かせるように言い返して、いい感じに距離感保ってんのに、え? どうしよう、ここで上司が辞めんのはかなりの痛手だぞ。
でも、オレ達なんかより上を目指せる人に何て言って引き止めるんだろう。
そしたら、ハイジが遠くで建物の構造を説明してる袴田さん見ながら言った。
「翔」
「おう」
「袴田さんはここを出て行きたい訳じゃないよ」
「そうなのか」
「そうだよ、出て行かなきゃ行けない理由があるだけだから、ボク達がそれを後押しして解決させて、ここにいてくれって言えば大丈夫」
「…………」
何のことだよ、出て行かなきゃいけない理由って袴田さんなんかトラブル起こしたっけ。
それで、夜になって怖くなってしまった、袴田さんがいなくなって、後任とハイジと三人になる職場。
絶対今のようなパフォーマンスが出来なくなって、ハイジに迷惑かけて、ここまで来た総務部がオレのせいで滅茶苦茶になりそうで怖い。
ハイジと二人きりでいる時間も、正直怖いんだ、いつからこんな臆病になったのかわからない。
でも怖いもんは怖いんだ、だから、ちょっと保険として退職届なんかを書いてしまった。
ないよりはマシという、鞄にしまっておけば何かあった時バックレ……たいんじゃないくて、本当に心の保険。
そんで、袴田さんのXデーは直ぐに来た、無遅刻無欠勤だった意中の尾台さんか無断欠勤してる報告がきて、家に行くか問われた袴田さんは唇を噛んで迷っていた。
今までに見た事のない、表情だった、いつも即決即断力でオレ達を引っ張っていた男が肩で息をしていた、下がった眼鏡を直した指先が僅かに震えていた。
そして、その肩をポンと叩いたのはハイジだった。
「さっさと行ってくださいよ」
と袴田さんに少し睨んだように言って、ああそうかここか、と思ってオレも便乗して後押しして、そしてここに残ってくれとオレ達なりに口を揃えて言えば、なんとあの袴田さんが笑顔でありがとうと言ったんだ。
こっちが緊張して、袴田さんが出てった後力が抜けて背もたれにより掛かってしまった。
「恋ってしゅげー」
「な? 恋だっただろう」
あの人だ、もうこれで大丈夫だろう、背中を見送ってオレすげー袴田さんを評価してんだな。
それで、その日の夜は袴田さん帰ってこないんだろうし、上司の分も仕事して遅くなった。
皆は飲み会で、出払っちゃっていつの間にかオフィスにオレ一人。
でもいい雰囲気で皆が酔っ払ってる中、入ってけるタイプじゃないからこのまま帰ろうと席を立つ。
最後の確認って、鞄の中チェックしてたら、おお……ヘタレ様が書いた退職届が出てきたぞ。
これはもういらないよな? と自嘲してシュレッダーにでもかけようと思ったら。
「翔?」
ほとんどの電気が消えたオフィスで幼馴染の声が響いた。
「ハイジ……」
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