【R18】黒猫彼女を溺愛中【著 CHIYONE】

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タツミ補整

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 ズレてもいない眼鏡を思わず直してしまった。
 え? この眼鏡ってタツミが格好良く見えるようなレンズだっけ???
 それとも豹が異常に好きになる効果でもつけてもらったんだっけ???

 やだ、どうしよう心臓、可笑しくなっちゃう。
「ネネ」
「ダ、ダメ」
 後退して、腰が机にぶつかる。

 カーテンは閉まっている、だから灯りはランプだけ、天井にも灯りがあってどこにスイッチがあるんだろうって探してたの。
 部屋を入る前、その奥にお風呂もトイレも見えていたから、後で入ろうかなって。
 夕飯はタツミの眼鏡を待ってる間に唐揚げとおにぎりを食べた(二回目だけどピヨは万歳してた)。

 で、豹さんはベッドに近付いて鼻で布団をずらしたりしてた、だからそのまま寝るのかなって私も背を向けて部屋の灯りを探していたら、名前を呼ばれて……。

 息が出来なかった、タツミがカッコいいなんて初めから分かってたけど、そんなの知ってたけど…………。

 いつもは暗闇でぼやけていた彼の体に顔に耳に尻尾、こんな遠いい距離からでも鮮明に見えて、息が苦しくなる。
「ネネ?」
「来ちゃいや」
 ベッドの上でタツミの真っ白い体が映える、大きな筋肉質な体、彫りの深い目鼻に綺麗な混じりのないブロンド、この国での象徴で英雄とされている豹柄。
 淡いランプの光に浮かび上がる芸術品のような体に、一歩も近づけなくなってしまった。

 そうなんだ、私っていつもこんな人の近くにいたの、怖いような変な感覚、それと同時に薬の切れた体がドクンドクンって発情の血液を体に巡らせてる。
 何かされた訳じゃない、見ただけ、ただ、タツミを見ただけでこんな苦しくなって呼吸が制御できない、触る事もできなくなるって私は何の病気なんだろう。名前呼ばれただけで耳ジンジンしてる。

 鼻と口を塞いでタツミの匂いを嗅がないようにするけど、無理。勝手に五感がタツミを探ってしまうもの、体がどうにかなりそうだ。
 というかタツミ、眼鏡してないじゃん。
「ネネ」
「…………うん」
 エメラルドがぼうっとランプに共鳴して光る、視線が絡んだだけなのに脳までびりっと痺れて、これも魔力なのかな。
「来て」
「…………」
「おいで」
「…………」
 唇、噛んで……やだやだって小さく首振る。
「何で」
「ッ……だって」
「だって?」
 目の奥きゅうって熱くなって、どうして泣きそうなのかわからない、でも一つ言えるのは。
 鼻がツンってしてぎゅって閉じた目から涙がポロポロ零れてしまった、お洋服に胸のとこ握って。
「タツミが好きで好きで大好きだから、そっちに行ったら可笑しくなっちゃうからやなの」
「うん」
「ドキドキしてここから動けないんだもん、見てるだけでもう充ッ」
 言葉の途中だったのに、首の後ろの、いつもタツミに咥えられて移動するとこに歯が当たったなって思ったら、私の体は一瞬でベッドの上にいた。
「俺が何、聞こえないから連れてきた」
「だからダメ、ダメダメダメ!! タツミが大好きだからこんな近くにいたら」
 抱き寄せられて、ふわっと耳の所の毛を擽られて息が乱れる、真珠の体、輝く瞳、彫刻みたいな整った顔、そんな人が息のかかる距離にいて、もう体がそれだけで熱くなっていた。
「こんないい匂いしてるのにダメ?」
「ダメだよ、ダメにして? これ以上されたらネネ受け身になれない」
「受け身?」
 顔を覗き込まれて、涙を舐められてゾワッて目の奥から血が滾る、頬を滑った舌の感触に我慢していた糸がプツリと切れた。
 タツミに飛び付いてカプって肩を噛む。
 皮膚の薄い、柔らかいようで硬い筋肉質の肉に私の細い牙が食い込む。
 タツミの牙なんかより私のが細いから痛いはずだ、でも今は心臓の音止まらなくて噛み付いてフーフーって変な呼吸しちゃってどうにもならない。
 タツミはビクンってしたけど、肩に噛み付く私の頭を優しく撫でてくれた、少し牙を離して、胸ズキンってする。
 だって、タツミはいつも私を噛むけど血が滲むことはないから、でもタツミの肩には私の歯型からつぷっと赤い血が盛り上がってる。
 心臓ズキンズキンして、謝らなきゃなのに、堪えられなくて零れそうな血を舐め取った、取ったら舌にタツミの血が滲んで甘いその味にゾクゾク鳥肌が立ってしまった。
 始めて味わった生の血だった、新たな味蕾を刺激する味覚と鼻から抜ける鉄の香りと、甘い甘いタツミの味。

 ダメ、ダメダメダメ!!!! ダメ!!!!!

 必死に肩から顔を離す。もっともっと! ってなっちゃうから。
 あの味に陶酔しそうになって、夢中なりそうな自分を呼び戻して首を振る、いつの間にか小さな私がタツミを押し倒してて、タツミは私の頬を撫でながら言う。

「美味しかった?」
「しくな……い!」
「嘘」
「…………」

 タツミはぎゅって肩に出来た歯型の傷を摘まんで血を滲ませると、自分の口に持っていって唾液に馴染ませる。

その光景にごくって唾を飲んでしまう私の口に、濡れて光った指を持って来て舌をなぞった。
「甘く甘くて驚いた?」
「んんッ……」
「俺もそうなんだ、ネネから出るのはなんだって味わったことのない甘さでもっと欲しくなって体が可笑しくなる」
 口の中、指でクチュクチュされて、唾液垂れそうでキスをした。
 息がまともに出来ないような激しいキスだった、だってタツミが言うように口の中すっごい甘いんだもんサラサラの唾液だってジュースみたいで飲み干したくていっぱい舌動いちゃう。
 もっと欲しくて吸い出して飲み込んで、タツミも一緒の動きするから同じ感じなのかな、当たり前だけど二本の尻尾はいつも以上にクルクル絡んでる。
 おっきいタツミを押し倒すこの感覚嫌いじゃないかも、肉厚なお耳噛み噛みして、首筋から額までじんわりかいた汗を舐め上げて、しょっぱい汗すら甘くて下半身を熱くさせる。
 下から胸を揉まれて声が出ちゃって、次も次ももっとされたい。
 至近距離で重ならない唇、タツミがもどかしそうに舌を出すから唾液を垂らせば飲み込んでくれた、そんな仕草にゾクッてきてる。

 私の膝が勝手にタツミの下半身をグリってして、タツミが目を細める。
「そこの蜜はもっと甘いから頭狂うよ」
「いっぱい舐めたい」
「視覚が揃うだけでこんなやらしくなるんだ」
「タツミがもっと好きになる補整でも掛かっているのかな」
 下から長い腕が伸びてきて、私の眼鏡を直しながら、
「素直になれる魔法がかかってる」
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