【R18】黒猫彼女を溺愛中【著 CHIYONE】

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甘いお兄ちゃん

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「アレはボク達の十分の一の力なんだからな!」とか「全然本気出してませんから! 一ミリも!!」
 って言いながら黄色いヒヨコがつまようじサーベルで真っ黒いお尻をチョヤチョヤ突いてる。
 黒い尻尾がパッタパッタして、機嫌は宜しくなさそうだけど黙ってじいっと座ってる。
 緑と青のオッドアイはタツミを見てて、というかタツミしか見てない。

「触ったら怒っちゃうかな」
「触らない方がいい」
「ってゆうか、まさかのドロは真っ黒黒なんだ」
「黒変種、黒豹って種類はない。豹の突然変異、親兄弟が通常の豹でも発生する」
「へえ……」

 側にしゃがんでちょっとだけ頭撫でさせてくれるかなって思ったけど手近づけたらフーって牙見せられてしまった。タツミが目を細めて、
「ドーラ、威嚇しない」
「…………」
 口閉じたけど、めっちゃ睨んでくる。
 タツミが隣で膝をついて頭を撫でたら目つぶって気持ち良さそうに鼻ヒクヒクさせてる、首の後ろの方まで撫でられて、体掻かれたら伏せてお腹まで見せてるよ。
「ドロは警戒心が強くて、愛想もないし家で飼うには向いてない猫」
「ん? タツミは自分が愛想があると思ってるの?」
「え」
「………何でもない」
 そっか……タツミって自分は愛想があると思ってるんだ、へえそうなんだ。


 激しめな自己紹介が済んだ後、家に上がってご飯でも食べて帰れば、とタツミが言えばドロは黙って後ろをついて来た。
 ピヨはすっごい嫌がってたけど、洗面所はあっちだよって振り返ったら見上げた先にドロはいなくて、視線を下げたら黒豹がいた。

 獣化って便利なんだよね、細かな言葉言わなくて済むから、にゃーにゃー言うだけでくみ取って貰えるし、ドロも今は話したくないんだろうな。

 喉掻かれて目つぶってゴロゴロしてタツミの顔舐めてるし、兄様大好きだな本当に。

「急に同じテーブルにつけとは言わない。お前はここで食べな」
「……」
「急に構ってやらなくなって不安だったかドロ」
「…………」
 瞬きと目と動きと尻尾、タツミとドロはそれだけで会話してる、別にって顔プイってしてるけど、私もよくツンするけどゴロゴロって勝手に出てるから意味ないんだよなあ。

 「寂しかったからってやっていいー事と悪い事があるんじゃボケ!!」ってヨヨに尻尾啄ばまれてるし。
 「オレ達の事も撫でて下さいよお!」ってピピが目の前パタパタしてる。まあ無視されてるけど。

 で、やっぱり私もちょっと触りたくてピアスのいっぱいついてるお耳をツンツンしてみたけど、睨まれて尻尾バンされたからやめておいた。
「こらいけないドロ、睨むな」
「…………」
「いいよいいよ!! 私はもっとおっきなかっわいー豹ちゃん一人占めの触り放題だしぃ!」
 先に立ち上がって、キッチンに戻った。
 パンをオーブンに入れたり、野菜洗ったり、意外とご飯らしいご飯を作れるようになったんだ。
 タツミは直にキッチンに戻って来てくれて、後ろを向いたら、黒いのと黄色いのが戦ってる。

 タツミはもう帝都には戻らないって家着に着替えてて、玉ねぎを剥きながらあくびをした。
「あ、あくびした」
「ん?」
「眠いの?」
「うーん……少し」
「何で? 呪い?」
「違う、単に寝てないから」
「寝てないの? どうして? 呪い?」
「違う、夜更かし」
「夜更かし?? 何してるの?」

 そんなの初めて聞いた、夜更かし? って何? 
 そこが一番気になるところなのに、タツミは直に目を逸らして、
「言えない」
 って…………でも慌てて。
「あ、でもネネを不安にさせるものじゃない」
「いや不安だよ」
「でも言えない」
 見つめ合って、タツミの緑は濁らず綺麗で……。
「私に内緒話なんて、もうタツミの事なんて大○○!! …………って私が言ったら?」
「だったら言う」
「ならいいや」

 視線をシンクに戻した。
 うん、秘密の一つ二つあってもいいよ、だって私もタツミとケッコンする時に、夫婦は指輪をするらしいので、昼間ピヨと一緒に鉱石集めて指輪作ってるの内緒にしてるし。
ピヨとコソコソ何してるの? って聞かれても言いたくない、って答えると思う、でも突き放されちゃう位なら言う!



「ネネ好き」

「うん、私も好き」
「他に何が聞きたい?」
「ああ…………えっと」
 タツミは色付いたニンニクが香るフライパンでお肉を焼きながら首を傾げて、私はお肉にかける玉ねぎのソースを作ってる。
「そうだ! 仕事中苦しいの?」
 玉ねぎをしんなりするまで炒めて、調味料はタツミが調整する、ワインを入れて味見をしたタツミは顔を上げて頷いた。
「うん、苦しい」
「え…………そ、そうなんだ」
「ネネに会いたくて会いたくて会いたくて、苦しくて一秒でも早く帰りたいって思ってる」
「ん? そういう意味? 呪いは?」
「そういうんじゃない…………ネネと出会ってから、四六時中ネネが気になって仕方なくて、勝手に眼鏡がネネを映してくるし、胸が苦しい。日向でのびのび昼寝してる所とか蝶々追いかけてる所とかウサギ小屋で仲良くご飯食べてる所が、ただの日常が可愛くて可愛くて吐きそうになって、仕事にならないから、目を抑えて下を向いてる時が多々ある」
「ふ、ふーん?」
「俺が帰ってくるのベッド待ってて、枕の匂い嗅いで切なくなって抑えきれなくて、息乱しながら俺の名前呼んで、真っ赤な顔で泣きながら自分を慰めてるネネを見てしまった時は、呼吸の制御が利かなくなって動悸が可笑しくなって眩暈を催」
「そこまで細かく言う必要あるかな!!!!!」
 飼い主に似たのね? そういうのを平気で話しちゃうところ!!
 タツミは分かったって口を閉じた後、頷いて。

「そうか、ドロは恋を知らないから、俺の変化を呪いの進行と捉えたのか」

 振り向けば、「え? お前恋もした事ないの?」「じゃあ童貞なの?! ぷぷぷー」って頭ツンツンしてるけど、ピヨもそうじゃないのかな。

 焼き目のついたお肉に、私の作ったソースを回しかけて少し焦がして味を調える、お皿に移して野菜とマッシュポテトを添えたらできあがり。
 同じものを三つ作って、出来たてのステーキをタツミはドロの前に置いた。

「経験にないものの気持ちは分からない、俺の行動はお前には奇怪でしかなかった。この目の影響を全く受けてないとは言えない。それは俺にも分からない、でもネネを愛してるしお前を残して先に逝ったりなんて絶対しない。話しているつもりだったけど、言葉が足りなかった、不安にさせてごめんドロ、お前を斬るなんて言った事も許してくれ」

 膝をついたタツミにドロは飛びついていっぱい頭擦りつけてた、タツミも抱き締めて背中を叩いてる、正直昼間のあれはすっごい怖かったけど、突然のタツミの変化にドロは動揺して驚いて、でも私みたいに嫌われたくないって深く聞けなくて、それでどうしていいのか分からなくなっちゃってここまできたのかな、一人にされるのって一番辛いもんね。
 私と出会うではピヨみたいに、二人で支え合って生きてきたのかな。その関係を壊したのは私なんだ………………とりあえずは私のせいで殺し合いにならずに済んでよかった。

 ピヨの分のご飯も出来たから呼んだら、テーブルを見るや二人はワナワナ震えてた。

「チキンステーキにひよこ豆のご飯と鳥のつみれ汁、卵豆腐だよ。後、鳥ハム食べ放題」
「「ピィイイヨッ!!!!」」

 好物だらけじゃん!! って二人は目をハートにしてて、メニューを決めたのはタツミだから、タツミなりに二人を激励しているのだと思う。
 タツミが席に着いて、足元にはドロがいて、皆で頂きますした。

 今日は隣に座ってるから、抱っこじゃない分手繋ぎながらご飯が食べたいんだけど、ステーキは両手使うから難しくて。
 じゃあぴったり体くっつけて食べようってなって、お肉熱いからフーフーして? ってしてソースすくって美味しいねって食べさせ合って、パン千切ってお互いの口に入れて噛んでる最中は抱き合ったりして、顔を上げて、もっといっぱいちょうだい? って上目遣いで言えば、意識しなくてもぶわわってエッチな匂い出ちゃうし、タツミもいいよってキスしてくる。
 それじゃないよーご飯って額で押し返して、でも見つめ合ったらまたキスして、ワイン飲まされて顔も体も火照っちゃう、ふああタツミとのイチャイチャディナー楽しいよお! 太い腕を抱き締めて顔スリスリして、体ウズウズ我慢できない。
「ネネもうご飯いいや、お風呂いこ? お風呂いこタツミ、ネネお風呂ピカピカにしたよ? 入ろ入ろ」
「ありがとう、でもだめ、もう少し食べて?」
「やだぁゆっくり私を食べたらいいじゃん」
 鼻にキスしたら、タツミも鼻にキスしてきて。


「デザートはメインが終わった後」


 ウィンクしてクスって笑われて、格好良すぎて恥ずかしい位顔真っ赤になってしまう。ピヨがあまーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!! って叫んで、ドロが足元でガタガタ震えていた。



 楽しい夕飯が終わって、ドロは遠吠えすると、月に向かって夜空を駆け上がった、煌めく星に目を光らせて遠くの暗闇に自分の黒を溶かして消えた。

 ベッドの上でピヨがタツミに回復魔法をかけてもらっていた、大きな優しい手が二人を包んで、温かい緑色のオーラの中でうっとりしてる。
枕元にあるクッションに二人を静かに置いて、いっぱい疲れたよね、今日はありがとうってキスしたら黄色い頬を赤く染めて笑って、一分も立たずに嘴から寝息が聞こえた。

 それで家の中で起きてるのは、私とタツミだけ。

 お風呂も入って、今日の寝室は甘くて柔らかいサンダルウッドの香りに満たされていた。
 吸い込めば気持ちが落ち着いてくる。
 お互い肌着だけの姿で向き合って座って、タツミはスルリと私の頬を撫でた。


「ネネ好きだよ」
「うん、私も大好き」
「ネネ」
「うん」
「ネネ」
「名前……」
「うん」



「タツミの名前教えて?」
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