【R18】黒猫彼女を溺愛中【著 CHIYONE】

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ネネを過ごす1

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 ドロ君襲撃から幾日か経った。
 相変わらず、私は鳥籠生活で、でもそれが不満かと聞かれたらNOなのだ。
 だってお家楽しいし、私はお洒落や舞踏会のダンスを生きがいにしていないから、こんな引きこもった生活はいやだ!! なんて思わない。

 話相手も遊び相手も豊富で、何よりやる事が多い。
 タツミと違って魔法が使えないから家事に炊事にと、全部自分でしないといけないのよ。

 家の裏で取れた野菜も、タツミがいれば取った瞬間に目光らせて風だ水だのって一瞬でピカピカになるけど、私は井戸から水を汲んで洗って乾かさなきゃいけない。
 キッチンで洗ったら泥で排水口を詰まらせてしまうからね。

 お洗濯だって一時間はかかる、掃除もご飯作るのもやたらと時間かかるから、この年になっても疲れちゃってお昼寝必須なんだ。
 だってちょっと寝ておかないと、夜タツミとえっちできないもん! 体力温存(それでも寝落ち!!)
 洗濯物はピヨに取り込んでもらったり、草むしりとか掃除とか、皆に手伝ってもらってる。

 だから、お昼ご飯は小屋で食べて、デザートで感謝をしめすんですよ。
 今日はブルーベリーのムースとフルーツ持って来た。
 皆でご飯食べながら、こないだのドロ君マジこわだったーってピヨのお母さん達鳥肌立てて話し出して、ってゆうかもっと頑張りなさいよ、ネネを泣かして!! ってピヨの頭を啄ばんで、ボク達すっげー頑張ったし!! って二人は怒ってるけど、あんくらいなら私達でもできる、って言われてた。

 恋愛相談とかも、人? に話せたらいいのかもしれないけど、所詮私も猫な訳で、タツミと色々あったんだよね~って言えば兎さんも、仕方ないよ育ってきた環境が違うから、好き嫌いはいなめない、虫がダメだったりニンジンがすきだったりするよ~ね~って返ってきた。
 そうだな、タツミは虫あんまり好きじゃないけど、私は虫いたらもれなくチョヤチョヤしたいし、タツミは好き嫌いないけど、私は野菜全般嫌いだ。

 ウママの夫婦も言う、何でもかんでも言い合って腹の内話せる間柄が幸せ、じゃないってそんなのありえないって言うの。
 だって何でもかんでも理解してほしいなら、自分だってその人の全てを理解して受け入れなきゃならない、でも私達は個人で考え方も捉え方も違うんだから、一心同体になんてなれないんだって。

 一番は大好きって思いを念頭に、お互いを尊重して尊敬して譲り合うの事、それが長く続く秘訣なんだって、自分の思い通りなんてならないのよ、って藁もっしゃもっしゃしながら言われた、人間はどうなんだろう。

 馬様は深いなあーって寝っ転がる、私はぜーんぶ知りたいって思うけど、言わない意味もあるんだよ、それはわかってる。だから聞いてない。

 まあいいか、これは堂々巡りよ。
 ウママは藁を食みながら、私達は手綱一本で命令されれば戦火の中でも飛び込んで行く、こないだの森だって怖くて怖くて仕方なかったよって話てて、ごめんねーってぎゅううってしといた。


 なんだか、今日の午後の家事はもういいやってなって小屋を介抱して、私も猫になってお庭で遊んだ、超はしゃいでしまった。

 当たっても痛くないボールを皆で追い掛けたり、お花摘みに行ったり、ピヨの魔法ショー見たり。

 疲れたらお馬さんに乗ればいいし、入っていい森には美味しい木も実があるからいつでもおやつタイムできる、いい場所が見つかればピヨが魔方陣を作ってくれて野外でお昼寝も可。
 皆が人になったらどんな見た目なのかなって話しながら、ああじゃないこうじゃないって笑っていつの間にか寝てるの。
 今日も平和でネネ幸せ。

 タツミの魔力が掛かってる鳩時計は、どこにいても時間を知らせてくれて、その日はちょっと遠くまで遊びに行っちゃったから一時間早く小鳥さんが呼びに来た。

 真っ白い鳥の時もあるし、背に翼を生やした少女の時もある。白髪に蒼く透き通ったワンピースがとっても似合ってる、手の平サイズの彼女をタツミはポポって名付けてた。

 ちなみにピヨはポポが大好き、だけどポポはツンツンで二人に見向きもしない。

「タツミの魔法は美味しいから言う事聞いてるだけだし!」

 って金色の目を面倒臭そうにして、いつも私の肩に乗って帰る。
 でも滝が好きで、森に出かける時に、一緒に行く? って小屋を叩けば嫌な顔しながら出てくる。

 ね? こんなの、冒険に行く必要もない位楽しいのよ、だって待ってれば大好きなタツミも帰ってくるんだよ。

 仕事が早く終わる日は森まで迎えに来てくれて、そんな時は狩りをして遊んで夕飯も森で食べて、飛翔の魔法をかけてもらって皆で空を走って帰る、とっても楽しい。



 それであくる日、昼からお弁当の用意をしていた、5年に一度の豹座の流星群が見れるんだって。
 タツミがいれば一瞬で行けちゃうんだけど、そこは! 歩いて行ってみようってピクニックだ。

 この前はバケットに好きなもの挟むスタイルだったけど、今日はおにぎり。
 おかずは唐揚げとゆで卵と入れなくてもいいサラダ、フルーツにドーナツ詰めて、わぁあい食べるの楽しみぃ。
 ピヨがゆで卵の殻剥いてくれたり、フルーツ盛り付けてくれたり、そうなのです、実は私が初めて作るお弁当なのだ!

 流星群が見えるのは、もちろん夜だからね。
 タツミは今お仕事してて、夕方落ち合う、だからこれは丘の上で一緒に食べるお夕飯。
 夜出かけるなんてないから、それだけでワクワク~。

 興奮してお尻尾ピンピンだ。

 危なくない所までピヨと三人で歩いて行くけど、一応時計屋さんで貰ったコート着てきてだって。
 タツミも認める防具だなんて、ユニクロ凄い。

 タツミが一番似合ってるって言ってくれたワンピースにブーツ履いて、お弁当に水筒! 鍵はピヨが魔法で閉めてくれた。

 何かあったらボク達に任せろピヨ! ってしてくれて、何だっけ二人ってちょっとした小隊より強いんだっけ?
 こないだピピは精霊や幻獣召喚できるようになったって言ってたしヨヨは必殺技と分身術使えるようになったってピヨピヨ騒いでたんだよね。

 私は何かあるかな、新しい事は……えっと初めてお外でエッチしたとか?
 いや、張り合えてないな、黙っとこ。

 私の前をヨヨが楊枝サーベルをシュピシュピ振りながら飛んでて、後ろをビー玉水晶持ったピピが飛んでる。
 片羽で飛ぶ謎の器用さと、その玩具武器が実は強いという、見掛けによらなさ。ピピ曰くタツミが一緒にいてくれるなら魔力無限に使えるからオレ達ウルトラ強いです、だって。
 ウルトラって何? 何の単位?

 それで、三人でお歌を歌いながら歩いていたら一時間位で、

「ネネ」
「タツミ!」
 紅い夕日が生茂る木の隙間から射して、その向こうからタツミが歩いてきた、ピヨがタツミ~って先に飛んでいく、私も駆け寄って三人でぎゅう。
「ケガは?」
「ないよ!」
 顔引き寄せて背伸びしてちゅう。
 ちゅう、ちゅうちゅうちゅう!!
 いっぱいしてたら、足元に何か気配を感じて…………
「あ、黒豹ちゃん」
 オッドアイが見てきて、手の甲近付けたらクンクンしてツンってされてしまった。
「こら、ドロ挨拶」
 タツミの後ろ隠れちゃって、腰のとこからチラッてしてくる。
「一緒にお星様見に行こうね」
 言ったら目逸して先歩き出したから行くみたい、ピヨが追い掛けてヨヨがお尻をサーベルでツンツンして尻尾で叩かれて、ピピの魔法は小さすぎて食べて消されてる。

「お、仲良ししてる」
「本当だ」
「そっか、戦って絆を深める少年スタイルね」
「なるほど」

 それから、丘の上までお話しながら皆で歩いた、途中でドロは人になって、私と違って魔力があるとちゃんとお洋服着てる状態で人になれるんだよ、凄いね。
「そもそも僕が兄様を豹座流星群を見に行きませんかって誘ったんだから、お前が仲間に入れてもらった立場なんだからな」
 タツミ越しに言われて、そっかタツミとデートしたかったの。
「入れてくれてありがとう」
「フン」

「流星群はよく見るけど豹座は珍しいから晴れてよかった」

 丘の上について、藍色の空には金色の星がキラキラ輝いていた。

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