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2.パウだってタンレンできうも 1
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台所から戻ったらテレス兄ちゃが、布袋にパンとリンゴを詰めている。
「じゃパウパウ、にぃちゃまは出かけるからな」と、布袋を肩にかけ、木の棒を持って玄関に向かったので
「ルスバしてなきゃダメって、母たま言…
「だから、お前は家で留守番な。俺はタンジと遊ぶの」
えぇ~とパウパウは思う。
なにがどうって言葉にできないが、それはヘンだと思う。
パウと遊ばないにしても、母たまに言われたルスバンはいいのだろうか。
それに、いま袋に詰めたパンとリンゴは、パウパウのお昼の分もあるんじゃないか?
「タンジが迎えに来たら出かけるから」
「じゃパウも行く」せめてリンゴは置いて行ってほしい。
「ダァメ。子供は連れていけないの」父たまに貰った木の棒を肩でポンポンさせながら言うけど、兄ちゃだって子供じゃないか。
なんとか言い返そうとしたら
「俺は真名を貰っているからいいんだよっ」
バーン!と扉を開けて飛び出して行ってしまった。
「にぃちゃっ」追いかけて外へ出ると、丁度、小走りに門を潜って来るタンジくんが見えた。彼も、何やら袋を背負っている。
「テ~レスおっはよう」
「タンジ!今日こそ完成させようぜ」兄ちゃが駆け寄って、パウパウには目もくれずに門を出て行こうとする。
パウパウなりの駆け足で追いかけ
「にぃちゃ!パウも行く」
「来るな!俺たちの秘密基地なんだから」
「テレス。言ったら秘密じゃないじゃん」タンジくんがアハハと笑う。
二人は、パウパウを残して駆けだしていく。
四才のパウパウには追い付けない速さで、西の森の方へ駆けて行ってしまう。
西の森は川が流れているので子供は行っちゃダメと言われている。
当然、パウパウは行ったことがない。
「そっち、行っちゃダメなんだからねっ!」と大声で言っても、二人は足を止めない。
「かぁたまに 言うからねぇぇ!」と声を枯らしても、どんどん二人は走っていく。
小さくなっていく二人の姿を見ていると、なんだかパウパウは、お腹の上のほうが重くて、グルグルしてきた。
それに、喉の奥からグゥっとなにかが上がってきて、薬草畑の横で、しゃがみ込んだ。
驚いたのか小さい野鳥が、パタタと飛んで行った。
なんでか涙が出そうになるのをゴシゴシと手の平で胡麻化して、
「っにぃちゃのバぁカっえ。い、い゛もんっえ。ヒッ…パウだって、っえ、一人でッエッ…」
胡麻化しきれない涙が流れてくる。
「に゛ぃぢゃ、い゛、い゛な゛くっても、ヒッひとりで、タンレンヒックし、しちゃうもぉぉ」
どうして泣きながらだと、話せなくなるのか分からないけど、ヒックエックとなりながら、パウパウは一人でタンレンをする決意をした。
「…棒っこ」
そうだ、まずタンレンには、兄ちゃの持ってるような木の棒がいる。
「ボクトー?モッケン?」頭に沸いた言葉がこぼれる。
あれより、カッコイイのを探そう。
涙をゴシゴシして、ついでに垂れてた鼻水も袖になすりつけて、ヒリヒリする顔をあげてパウパウは鍛錬場とは逆側の家の横に向かった。
こっちには、放し飼いのニワトリの囲いとヤギの親子のいる囲い、あと父たまの馬のお家と庭があるのだ。
木も生えているから、いい感じの棒があると思うのだ。
「コッコ、トイさぁん。ニワトィさぁん」と声をかけるとパウパウより大きいニワトリ20羽くらいが、一斉に顔を向けた。黄色のヒヨコ、数羽もだ。
「コッ?」一羽が近づいてきて、片側の羽を広げ卵のある場所を指し示す。
いつも、パウパウにはこうやって”いらないタマゴ”を教えてくれるのだ。
「ううん。タマゴじゃないの。木の棒が欲しいの」
柵の入り口を開けて中に入るとニワトリ達がパウパウの周りにやってくる。
柵の上に留まった、小さな野鳥がチチチと鳴きながらそれを見ていた。
このニワトリ。かなり大きい。
タマゴは普通より少し大きい程度なのだが、なぜか親鳥たちは大きいので、取り囲まれたパウパウは外からは全く見えなくなっている。
「木の棒。ほしいの」パウパウは、もう一度ニワトリ達に言った。
すると、聞いたニワトリたちは各々、探すために動き始めてくれる。
さっそく「ココッ?」嘴に小枝を咥えて、一羽が見せに来た。
パウパウの指くらいの長さの小枝だ。たぶん、なんにも出来ないのはパウパウでも分かった。
ヒヨコたちは雑草を抜いて見せに来た。それじゃないなとパウパウは思った。
「う~ん。ケンのタンレンに使う棒なの。もっと長くて太いのがいいなぁ」と言うと
ニワトリたちは、一斉にバッっとパウパウを見た。
ヒヨコまでもだ。
皆そろって、え?って感じだ。
遠くに探しに行ってたのなんて、わざわざトトトトと速足で駆け戻ってきてパウパウを見た。
「コケコッコココケ…?」と誰かが呟く。
で、20数羽+ヒヨコでパウパウの顔をじっくり見て、体を上から下まで見てから、一糸乱れぬ動きで首を振った。
そして、なにもなかったように「コッ!コケコ~コ!」と散会した。
見事に四方に散った。
ヒヨコもテテテテテ~と小走りに去った。速い。
「え…なぁに。なんで?」
常にないニワトイさん達の動きにパウパウが固まっていると、最初のニワトリが
「コケコ、ココ」ともう一度タマゴを指す。
折角だから裏玄関から家に入り、持ってきた駕籠にタマゴを5つ貰ってきて裏玄関の扉前に置いておく。
表玄関の取っ手は高くて四才のパウパウでは届かないけど、台所につながる裏口の扉には紐をかけて、引っ張れば開けられるようになっている。
とはいえ、駕籠を持ちながら扉を開けて台所のテーブルにタマゴを入れた駕籠を置くのは、パウパウの背丈では難しいのだ。
いつものパウパウのタマゴ拾いは、母たまが扉を開けて待っていてくれるし、駕籠もすぐに受け取ってくれている。
だから、扉の前に置いておけば、あとから、持って行ってくれるだろう。
駕籠の取っ手の上に別の小鳥が乗って、パウパウを見送っていた。
「ん~、ヤギさんとこなら、棒、あるかも」
パウパウはくじけない。
もしかしたら、山羊のところには、抜けた角とかあるかもしれない。
ヤギの角が抜けるのかどうか、知らないけど。
気持ちも新たに、パウパウは山羊の囲いに向かった。
「ヤギさぁん。ヤギさぁん」
「め゛ぇぇメ゛ェェ~」一番大きいヤギさんが、柵に寄ってきた。立派な角だ。抜けてないのかとパウパウは、ちょびっとだけ残念だった。
「木の棒か、角「メ゛ェェェメ゛ぇ゛~」
「あ!や、髪の毛ぇぇぇ!!」
結論からいえば、ヤギさんは木の棒を持ってなかった。
角もくれなかった。
それどころか、囲いの柵から頭を出して、パウパウは髪の毛をモッシャモッシャされた。
「パウ…なんか臭い…」
髪の毛を引き千切られたりはしなかったが、ヨダレでベロベロにされたパウパウは、また泣きそうになった。
ちょっと、しょんもりして考えてみる
「ん~…パウ、ニワトィさんは仲良しだけど、ヤギさんとは仲良しない」
そうだ。パウパウは気づいた。
ニワトリとはタマゴを貰うのに毎日のように会っているが、考えてみたらヤギ一家とは付き合いがないのだ。
御飯をあげたりもしていない。
「じゃぁウマさんのとこもダメかなぁ」
リンゴでもあったら、仲良くなれたかもしれないのに。
テレス兄ちゃが持ってってしまった。
ウマさんは、父たまの馬で、ヴィンテという名前が付いている。
「パウパウはパウパウなのに…ヴィンテ名前かっこいい」ちょっと悔しい。
「じゃパウパウ、にぃちゃまは出かけるからな」と、布袋を肩にかけ、木の棒を持って玄関に向かったので
「ルスバしてなきゃダメって、母たま言…
「だから、お前は家で留守番な。俺はタンジと遊ぶの」
えぇ~とパウパウは思う。
なにがどうって言葉にできないが、それはヘンだと思う。
パウと遊ばないにしても、母たまに言われたルスバンはいいのだろうか。
それに、いま袋に詰めたパンとリンゴは、パウパウのお昼の分もあるんじゃないか?
「タンジが迎えに来たら出かけるから」
「じゃパウも行く」せめてリンゴは置いて行ってほしい。
「ダァメ。子供は連れていけないの」父たまに貰った木の棒を肩でポンポンさせながら言うけど、兄ちゃだって子供じゃないか。
なんとか言い返そうとしたら
「俺は真名を貰っているからいいんだよっ」
バーン!と扉を開けて飛び出して行ってしまった。
「にぃちゃっ」追いかけて外へ出ると、丁度、小走りに門を潜って来るタンジくんが見えた。彼も、何やら袋を背負っている。
「テ~レスおっはよう」
「タンジ!今日こそ完成させようぜ」兄ちゃが駆け寄って、パウパウには目もくれずに門を出て行こうとする。
パウパウなりの駆け足で追いかけ
「にぃちゃ!パウも行く」
「来るな!俺たちの秘密基地なんだから」
「テレス。言ったら秘密じゃないじゃん」タンジくんがアハハと笑う。
二人は、パウパウを残して駆けだしていく。
四才のパウパウには追い付けない速さで、西の森の方へ駆けて行ってしまう。
西の森は川が流れているので子供は行っちゃダメと言われている。
当然、パウパウは行ったことがない。
「そっち、行っちゃダメなんだからねっ!」と大声で言っても、二人は足を止めない。
「かぁたまに 言うからねぇぇ!」と声を枯らしても、どんどん二人は走っていく。
小さくなっていく二人の姿を見ていると、なんだかパウパウは、お腹の上のほうが重くて、グルグルしてきた。
それに、喉の奥からグゥっとなにかが上がってきて、薬草畑の横で、しゃがみ込んだ。
驚いたのか小さい野鳥が、パタタと飛んで行った。
なんでか涙が出そうになるのをゴシゴシと手の平で胡麻化して、
「っにぃちゃのバぁカっえ。い、い゛もんっえ。ヒッ…パウだって、っえ、一人でッエッ…」
胡麻化しきれない涙が流れてくる。
「に゛ぃぢゃ、い゛、い゛な゛くっても、ヒッひとりで、タンレンヒックし、しちゃうもぉぉ」
どうして泣きながらだと、話せなくなるのか分からないけど、ヒックエックとなりながら、パウパウは一人でタンレンをする決意をした。
「…棒っこ」
そうだ、まずタンレンには、兄ちゃの持ってるような木の棒がいる。
「ボクトー?モッケン?」頭に沸いた言葉がこぼれる。
あれより、カッコイイのを探そう。
涙をゴシゴシして、ついでに垂れてた鼻水も袖になすりつけて、ヒリヒリする顔をあげてパウパウは鍛錬場とは逆側の家の横に向かった。
こっちには、放し飼いのニワトリの囲いとヤギの親子のいる囲い、あと父たまの馬のお家と庭があるのだ。
木も生えているから、いい感じの棒があると思うのだ。
「コッコ、トイさぁん。ニワトィさぁん」と声をかけるとパウパウより大きいニワトリ20羽くらいが、一斉に顔を向けた。黄色のヒヨコ、数羽もだ。
「コッ?」一羽が近づいてきて、片側の羽を広げ卵のある場所を指し示す。
いつも、パウパウにはこうやって”いらないタマゴ”を教えてくれるのだ。
「ううん。タマゴじゃないの。木の棒が欲しいの」
柵の入り口を開けて中に入るとニワトリ達がパウパウの周りにやってくる。
柵の上に留まった、小さな野鳥がチチチと鳴きながらそれを見ていた。
このニワトリ。かなり大きい。
タマゴは普通より少し大きい程度なのだが、なぜか親鳥たちは大きいので、取り囲まれたパウパウは外からは全く見えなくなっている。
「木の棒。ほしいの」パウパウは、もう一度ニワトリ達に言った。
すると、聞いたニワトリたちは各々、探すために動き始めてくれる。
さっそく「ココッ?」嘴に小枝を咥えて、一羽が見せに来た。
パウパウの指くらいの長さの小枝だ。たぶん、なんにも出来ないのはパウパウでも分かった。
ヒヨコたちは雑草を抜いて見せに来た。それじゃないなとパウパウは思った。
「う~ん。ケンのタンレンに使う棒なの。もっと長くて太いのがいいなぁ」と言うと
ニワトリたちは、一斉にバッっとパウパウを見た。
ヒヨコまでもだ。
皆そろって、え?って感じだ。
遠くに探しに行ってたのなんて、わざわざトトトトと速足で駆け戻ってきてパウパウを見た。
「コケコッコココケ…?」と誰かが呟く。
で、20数羽+ヒヨコでパウパウの顔をじっくり見て、体を上から下まで見てから、一糸乱れぬ動きで首を振った。
そして、なにもなかったように「コッ!コケコ~コ!」と散会した。
見事に四方に散った。
ヒヨコもテテテテテ~と小走りに去った。速い。
「え…なぁに。なんで?」
常にないニワトイさん達の動きにパウパウが固まっていると、最初のニワトリが
「コケコ、ココ」ともう一度タマゴを指す。
折角だから裏玄関から家に入り、持ってきた駕籠にタマゴを5つ貰ってきて裏玄関の扉前に置いておく。
表玄関の取っ手は高くて四才のパウパウでは届かないけど、台所につながる裏口の扉には紐をかけて、引っ張れば開けられるようになっている。
とはいえ、駕籠を持ちながら扉を開けて台所のテーブルにタマゴを入れた駕籠を置くのは、パウパウの背丈では難しいのだ。
いつものパウパウのタマゴ拾いは、母たまが扉を開けて待っていてくれるし、駕籠もすぐに受け取ってくれている。
だから、扉の前に置いておけば、あとから、持って行ってくれるだろう。
駕籠の取っ手の上に別の小鳥が乗って、パウパウを見送っていた。
「ん~、ヤギさんとこなら、棒、あるかも」
パウパウはくじけない。
もしかしたら、山羊のところには、抜けた角とかあるかもしれない。
ヤギの角が抜けるのかどうか、知らないけど。
気持ちも新たに、パウパウは山羊の囲いに向かった。
「ヤギさぁん。ヤギさぁん」
「め゛ぇぇメ゛ェェ~」一番大きいヤギさんが、柵に寄ってきた。立派な角だ。抜けてないのかとパウパウは、ちょびっとだけ残念だった。
「木の棒か、角「メ゛ェェェメ゛ぇ゛~」
「あ!や、髪の毛ぇぇぇ!!」
結論からいえば、ヤギさんは木の棒を持ってなかった。
角もくれなかった。
それどころか、囲いの柵から頭を出して、パウパウは髪の毛をモッシャモッシャされた。
「パウ…なんか臭い…」
髪の毛を引き千切られたりはしなかったが、ヨダレでベロベロにされたパウパウは、また泣きそうになった。
ちょっと、しょんもりして考えてみる
「ん~…パウ、ニワトィさんは仲良しだけど、ヤギさんとは仲良しない」
そうだ。パウパウは気づいた。
ニワトリとはタマゴを貰うのに毎日のように会っているが、考えてみたらヤギ一家とは付き合いがないのだ。
御飯をあげたりもしていない。
「じゃぁウマさんのとこもダメかなぁ」
リンゴでもあったら、仲良くなれたかもしれないのに。
テレス兄ちゃが持ってってしまった。
ウマさんは、父たまの馬で、ヴィンテという名前が付いている。
「パウパウはパウパウなのに…ヴィンテ名前かっこいい」ちょっと悔しい。
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